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デントラー  作者: 山石木一ろき
3/32

第3話 ミニウェポンと野盗

『野盗に注意』


 ペンキで書かれた看板が、あちこちに立っていた。


挿絵(By みてみん)


ジギガン「この山は野盗が多い。俺は村人に頼まれて奴らをこらしめてやったが、まだ何人かは潜んでいるだろう」


 ジギガンがこの山一帯をドラグーン号に乗って移動していた理由はそれだ。


ジギガン「このドラグーン号に乗っていれば襲われることはないがな」


アスベル「あー‼︎ ……さっきどこぞの令嬢が、1人でこの山を越えるって……」


 ミィテのことが頭をよぎった。


ジギガン「なんだと? それは危険だ。デントレインに乗せて運んでやろう」


 ジギガンとアスベルは、手分けしてミィテを探し始めた。




 


そのころ…。


ミィテ「ふう、山を越えるのって大変ね」


 後ろの茂みからガサッと音がした。振りむくと、悪人面のむさ苦しい男2人組が木の影から飛び出してきた。


挿絵(By みてみん)


ガイゼギ「オレはガイゼギ」


 背はそこそこだが筋肉のついた体格で、眉毛が黒く太い。


挿絵(By みてみん)


アボゼギ「オレはアボゼギ」


 背は高く、額に緑の布を巻いていて、顔色が悪い。


挿絵(By みてみん)


アボゼギ「簡単に説明すると、オレたちゃ野盗2人組」


ガイゼギ「姉ちゃんよぉ、金と()()()()()()持ってんだろ? よこせよ」


ミィテ「やだ。って言ったら?」


 ミィテは顔色を変えずに答えた。


ガイゼギ「無理矢理ぶん殴ってとる」


 ガイゼギはすぐに頭に血がのぼる。


アボゼギ「落ち着け、ガイゼギ。さっきこいつはディガイアン商会の令嬢だって言っただろ? だから、誘拐して身代金をとればいいんじゃないか?」


ガイゼギ「おう、そうだな」


 2人の会話はミィテに丸聞こえだ。


ミィテ「ぶん殴る? 身代金? つまり、あんた達は完全に悪人で決まりね」


 ミィテはバッグから、剣の形をした手のひらサイズのキーホルダーを取り出した。キーホルダーに付いているボタンを押すと、素早く空に向かって放り投げた。


 くるくると回転しながら、キーホルダーは空中でぐんぐんと大きくなり、本物の剣となってミィテの手に戻ってきた。


挿絵(By みてみん)


ミィテ「ずいぶんとなめられたものね。ディガイアン商会は、()()()()()()を開発した会社。ボタン1つで、キーホルダーから本物の武器になる。これは誰もが知ってる」


 ミィテはニヤリと笑った。


ミィテ「でも、ディガイアン商会の令嬢のあたしの強さは知らないのね」


 ミィテの姿が消えた。


ガイゼギ「何⁉︎」


アボゼギ「どこへ⁉︎」


 ガイゼギたちはキョロキョロと辺りを見渡した。


挿絵(By みてみん)


ミィテ「バックサーベル‼︎」


 ガッ‼︎ ガッ‼︎ 


挿絵(By みてみん)


 バックサーベルは、瞬時に敵の背後を取り、切り下ろす剣技だ。盲点からの斬撃は、守備が緩んでいたガイゼギたちに大きなダメージを与えた。


ガイゼギ「速すぎる......」


アボゼギ「いつの間に背後に......」


挿絵(By みてみん)


 ボロボロになった2人の前に立ったミィテは、さわやかな表情で、


ミィテ「相手の気配もわからない間抜けな野盗さんでしたねぇ。ディガイアン家の人間はみんな強いのよ。ふふふ」






 アスベルは走っていた。

辺りは沢山の木がびっしりと茂っていて、視界は悪い。


アスベル「くそー。あいつ、どこにいるかわからねぇ」


挿絵(By みてみん)


 嫌な予感がしている。ミィテの身に何かあるような気がする。アスベルの野生の勘だ。






 ミィテの前に、どこからともなく静かに男が現れた。


挿絵(By みてみん)


ガイゼギとアボゼギ「はっ。レフトゼロさん!」


 レフトゼロは、髪を後ろで1つに結び、額にバンダナを巻いている。歳はアスベルと変わらないだろう。小柄だが鋭い目つきで相手を威圧する。


挿絵(By みてみん)


 レフトゼロは()()()()()()()()だ。はぐれデントラーは、デントラーとしてチームに参加していない者のことだ。


 レフトゼロはデントレインを手に入れるため、他のデントラーを倒して奪おうと企んでいて、ガイゼギたちを利用していた。


ガイゼギ「オレ達、あの女にボコボコにやられたんです」


アボゼギ「レフトゼロさん、あんな奴、やっつけちゃってください」


 アボゼギは恥を捨てて言った。ガイゼギは開き直って言った。


ミィテ「悪いことを企んだりするからでしょ。バーカ」


 ミィテはあっかんべーをした。


レフトゼロ「貴様ら、そんな()()に負けたのか?」

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