第28話 冷血将軍イレータ
ここはハマーニの村。
アスベルは帝国兵に捕まり、遠くへ連れて行かれてしまった。
ハマーニの村の住人、現帝国の奴隷のユーレイラは、アスベルが塀の一部を破壊したことに気づいた。
ユーレイラ「みんな、聞いて! 何があったんかわからんのやけど、塀が壊れてるんよ!」
ホルシロ「ええっ。塀が壊れてるぅ⁉︎」
ホルシロはバカみたいに大声を出した。
ユーレイラ「しっ。声が大きいんよ。……逃げるチャンスみたいやの」
ニンドラ「やったあ! 早く外へ逃げよう」
ワイリム「ハマーニを離れるのはぐるじいけど、奴隷生活の方がぐるじい」
ニンドラ「しっかり! わいちゃん!」
ワイリムは、大好きなキャンプファイアーの炎の香りをずっと吸えていないので苦しんでいる。
サミーク「キャンプか…なつかしいな」
サミークは、村でみんなとキャンプをしたことを思い出した。平和な日々……。
サミーク「それより、逃げるって、このままダッシュするの⁉︎」
ヨロイメル「はははは、帝国兵がウヨウヨしてるねえ。どうする? どうするぅ?」
ヨロイメルは体をうねらせて変な踊りを踊っている。
ユーレイラ「それしかない! 行くよ、みんな準備はいいね? ……走れー‼︎」
ホルシロ「ああっ、ちょっと待って、靴紐がほどけ……あ。そもそも奴隷だからスニーカー履いてなかった」
みんな転げそうになった。
サミーク「こんな時に笑かさないでよ! 僕、ただでさえ走るの遅いんだから。ホルシロくんよりマシだけど」
ユーレイラたちは無我夢中で村の外へ走った!
ハマーニを支配するフィンストンKブロックリーダーのオルチマンはすぐに気づいた!
オルチマン「む! 脱走者だ! こざかしい真似を。者ども、早く追いかけろ‼︎」
帝国兵「はっ‼︎」
???「あんな雑魚は放っておけ」
オルチマン「その声は…」
フィンストン冷血将軍イレータが現れた。財力と知能と力を兼ねそろえた、水色の髪をした女だ。
オルチマン「これはこれは、イレータ将軍。どうしてここへ…」
オルチマンは焦った。
イッザーケ「ほーう…」
イレータ「少し予感がしてな」
イッザーケ「あー! あー! あー! あー! あー!」
ドゴッ‼︎ ゴッ‼︎
イッザーケはお決まりのまぬけ面でイレータの足を何度もパンチした!
オルチマン「イッザーケ殿、なんてことを!」
オルチマンは必死に止めた。イレータのおそろしさを知っているからだ。
イレータ「傭兵ふぜいが出しゃばるな‼︎」
ゴシュッ‼︎
イッザーケ「うわっ…うわっ…うわっ…」
イレータの冷凍顔面ガカトがイッザーケの頭をかち割りそうになった。イッザーケはなんとか耐えた。
イッザーケ「ちっ。おもんない、おもんない…」
常日頃おもしろさを求めるイッザーケは、今の一撃はおもしろくなかったようだ。鼻血を拭いている。
イレータはイッザーケの胸ぐらをつかんだ!
イレータ「いいか。よく覚えてろ。私は傭兵が嫌いだ。自分たちは戦場の花形なんだと調子に乗るからな」
イッザーケ「くっ…」
オルチマン「イレータ将軍‼︎ わしの部隊が無礼なことをして申し訳ありません‼︎」
イレータ「フン…!」
イレータは手を離した。
イッザーケ(これがフィンストン軍トップのオーラ……‼︎ 俺でも勝てへんのか……)
イッザーケは、イレータのオーラに圧倒されて息が上がっている。
イレータ「それよりだ。オルチマン。さっきの金髪の捕虜…
奴はあのジャルベルの息子だ」
オルチマン「なんとっ‼︎ それは本当ですか⁉︎」
イレータ「見ただろう。ドラゴニオンソードはレアな技だ。すぐにわかる。よし、あの捕虜をマルヴォーフ城の地下牢へ運ぶよう命じろ!」
オルチマン「はっ!」
イレータ「奴を私の力の一つにしてくれるわ‼︎ はっはっはっはっはっ‼︎」
イレータは握り拳を作った。
ホルシロ「捕虜を力の一つに⁉︎ おそろしいこと聞いちゃった…」
ホルシロは地獄耳だった。
ニンドラ「ホルシロ、何立ち止まってんの。早くもっと遠くへ逃げるよ!」
ニンドラはホルシロの耳を引っ張った。
ホルシロ「あででで!」
ハマーニの林。
ミィテ「どうしよ…。アスベル連れてかれたし…」
ソロフィー「どこへ連れていかれたのかしら」
ため息をつくミィテと心配するソロフィー。
ナエラ「アスベルくん、怖い目にあってなければいいんだけど…」
キーブレー「アスベルさんの生命力を信じるしかないです…」
祈るナエラとキーブレー。
クレイブル「はあ…。帝国兵の数の多さに圧巻されて、アスベルを助けられなかった」
ジェピット「こうやって今も林に隠れてんだもんな」
くやしがるクレイブルとジェピット。
ベンツ「いい作戦が浮かばない」
シャペン「かっこ悪いけど、このままじゃ、あの大軍に勝てっこないぜ」
悩むベンツとたじろぐシャペン。
アンドファン「単純に、こっちも数が必要だ」
アンドファンの編み出した作戦。
デメトロン「よぉ」
アシュロン全員「ビクーッ‼︎」
みんな後ずさりした。
ナエラ「だっ、誰⁉︎ 帝国兵⁉︎」
ナエラは小声で話す。
キーブレー「帝国のエムブレムはついていないようですよ…」
キーブレーもヒソヒソ声だ。
ジェピット「いつのまに近づいてたんだよ」
ジェピットは心臓を抑えている。
シャペン「気づかなかったぞ、幽霊かよっ」
シャペンはこんな時も冗談めいたことを言う。
ベンツ「気配を完全に消してたんだ…!」
ベンツは驚いている。
アシュロンはデメトロンの強いオーラを感じていた。
デメトロン「なんか困ってんのか? お前ら。金払うんなら協力するぜ」
シャペン「へーい! 協力してくれるんなら!」
シャペンは手を挙げた。
クレイブル「待て待て待て! 絶対怪しいぞ」
デメトロン「まあ、言っておくが、俺はマ〜ジで高いぜ?」
ナエラ「じゃあやめときます」
きっぱり!
全員ズコーッ‼︎ ナエラはきょとんとしている。
ソロフィー「みんなも感じてると思うけど、オーラで相当な実力の持ち主だとわかるわ。力を借りられるのなら、借りたい。だけど、本当にあなたが帝国の者じゃないのか証明してもらわないと」
デメトロン「疑い深いねぇ。んじゃ、証明してやるよ」
デメトロンは塀の方は向かって行った。
アンドファン「あいつ何する気だ?」
ドカン‼︎ バコン‼︎ メキメキッ‼︎ ズババッ‼︎
ジェピット「すごい音だ」
なんと! デメトロンは大量の帝国兵の死体を引っ張って帰ってきた!
デメトロン「おらよ。これ見ても疑うか?」
ナエラ「きゃーっ。人殺しーっ‼︎ 大量虐殺ーっ‼︎」
デメトロン「何ビビってんだよ。お前らも帝国兵倒すんだろ?」
ベンツ「帝国の者ではないようだが、変わった奴だな…」
ベンツはひいている。
ミィテ「あたしが交渉するわ」
ミィテはデメトロンに近づいた。
キーブレー「ミィテさん!」
デメトロン「俺を満足させる金額が出せるか?」
ミィテ「ふふん。あたしを誰だと思ってるの?」
ミィテはニヤリとほほえんだ。




