第25話 帝国の支配とハマーニの村
とある宿...。
創文家は宿屋の息子に、自分が書いた話をたくさん聞かせてあげた。
たとえば、「悪の国」の話など...。
とある国の王はとてもいじわるな性格でした。強さ、財宝、自由、その全てを手に入れたいという欲望を持っていました。
王はまわりの人々を傷つけてでも欲望を満たそうとしました。自分の邪魔をする者、言うことを聞かない者を次々と捕らえました。
平和だった国は悪の国へと変わり、人々は日々おびえて過ごしました。
平和を取り戻したい! 正義と勇気ある者たちが立ち上がりました。勇者たちは知っていたのです。人は醜い欲望を持ち続けると、叶えた夢も幸せにも終わるが来るということを。
勇者たちは捕らえられた人々を助けるために王と兵士たちと戦いました。
少年「戦いはどうなったの⁉︎」
創文家「君の想像にお任せするよ」
少年「教えてよー! 結末ちゃんと書いてるんでしょ?」
創文家「物語は続きを想像するのも面白いんだよ」
少年「ふぅん。勇者たちは勝利して、国の平和は戻った! 僕はそう信じるね」
創文家「信じたいね。勇気ある者たちのことを...」
トウトーンの洞窟の外...。
アスベルの過去の話を聞いたアシュロン。
シャペン「そんな過去があったのか!」
ベンツ「電聖の候補だけあるな」
アシュロンは、ナエラたちの友人であり、1人旅立った竜騎士を探しに行くことにした。
アスベル「わくわくすんなあ」
マージビーンズを投げると、しまっていたドラグーン号が飛び出した。
マージビーンズはただの豆ではなく、いろんな物を収納できる不思議で便利なアイテムだ。
アンドファン「出発進行!」
ナエラ「デントレインの中ってこんな感じなのね」
ナエラはウキウキしている。
ジェピット「風呂もキッチンもあるんだぜ」
キキーッ!
ドラグーン号は急停止した!
アスベル「どうしたんだ、アンドファン」
みんなは運転室に入った。
アンドファン「見ろよ、塀が...」
全員窓の外を見た。すると大きく厚い塀がそびえ立っていた!
その塀の上で見張りをしているのは『帝国』の兵士たちだ。制服には帝国の証である、紫と銀のエムブレムがついている。
ソロフィー「小さな村をも支配してるだなんて」
優しいソロフィーは悲しんでいる。
帝国は、独自の『帝国制度』を作り上げ、この世界を手中におさめようとしている。自分たちを支持する市民たちの平和は守るが、帝国に反対する国を反逆と扱い、その市民らを次々と捕らえて奴隷として働かせている。
帝国制度の恐ろしさは、世界中に知れ渡っていった。
ミィテ「この塀は村人が外に逃げないようにしてるのね」
キーブレー「地形から見て、村は山を削って作られたみたいです。少し掘れば鉱石やら石炭やらが出てくるはずです。隣は広い林ですし、自然素材を採取することも容易です」
キーブレーは得意なPCを使って検索した。
クレイブル「資源に溢れてるのを利用したんだな」
村の名前はハマーニ。ハマーニを支配しているのは『フィンストン』のKブロックだ。
帝国兵「いいか奴隷ども。今日も精を出して働いてもらうぞ」
村人「ヒィィ...」
オルチマン「これっぽっちしか集められんのか。この田舎村は林と隣接しているから素材がよく取れると期待していたが、奴隷の仕事ぶりが悪いか。もっとしごく必要があるな」
オルチマンは、Kブロックのリーダーだ。その太いたれ眉からは想像できないほど冷徹な男だ。
帝国兵「オルチマン隊長、イッザーケ殿が参りました」
オルチマン「イッザーケ殿。どうなさいましたかな」
イッザーケは、赤くはねた髪型が特徴の、帝国に雇われている傭兵だ。
イッザーケ「ほーう。ふざけるのが大好きなアホ奴隷がおるぞ」
ハマーニの村には少年少女もいた。
ホルシロ「毎日毎日、日が暮れるまで素材集めをやらされて...メガネは割れるし、体は砂だらけだし...僕もう耐えられないよ。ころがって漫画読みたいよー」
ホルシロは小声で泣き言を言っている。ムフフな漫画が大好きなヘタレ男だ。
ユーレイラ「こんな生活いつまでも続かんよ...」
ユーレイラもヒソヒソ声だ。ユーレイラはみんなのまとめ役の少女だ。
ユーレイラ(そうは言うても、ただ立ち向かうだけではウチらの力じゃとても帝国にかなわんのよ。どうしたらええの...)
ホルシロ「僕の父さんと母さん、今どこにいるんだろう。帝国が押しよせて来た時、村の外に出てたからなあ...」
ワイリム「ぎゃー‼︎ 痛い! にんちゃん、助けて」
ワイリムは石を運ぶ時、手を切ってしまった。
ニンドラ「わいちゃん、大丈夫⁉︎ だれか、絆創膏ちょうだい」
帝国兵「そこ! 私語をつつしめ!」
帝国兵はムチをふるった!
ピシャーンッ‼︎
ワイリムとニンドラ「わーっ」
ホルシロ「痛‼︎ 僕までムチの対象⁉︎ ヒソヒソ声で話してたのに」
ホルシロの後ろには、大きな体のヨロイメルと、背の低い少年サミークがいた。
ヨロイメル「ついに! 日々集めたねんどでヨロイメル2号の完成だー‼︎」
ヨロイメルは、自分と同じ背丈の、巨大なねんど像を作り上げた。でろんでろんだ。
サミーク「ヨロイメルくん! 今すぐ隠して! 遊んでるとこ兵士に見つかるって!」
イッザーケ「上等やんけ...」
イッザーケが近づいてきた。鬼の形相でこちらをにらんでいる!
サミーク(隣にいる僕まで一緒に遊んでたと思われて、殺される⁉︎)
死を覚悟したサミーク!
イッザーケ「あーあーあーあーあー‼︎」
バゴン! バゴン! バゴン!
イッザーケは、まぬけな表情に早変わり。右手の何発ものパンチでねんど像を壊した。
ヨロイメル「ああっ。オレのヨロイメル2号に何すんだよー!」
サミークはずっこけた。
サミーク(な、何だこの傭兵、変人だ。帝国って変
だ、もう嫌だ‼︎)




