第22話 アスベルの過去 Part1 〜槍太陽弐夜団〜
トウトーンの洞窟の外...。
アスベル「俺、すでにかけらを取り込んでるのか⁉︎」
ベンツ「いつ手に入れたか忘れたのか?」
アスベル「今思い出してるところだ。......あ‼︎」
ミィテ「思い出した?」
アスベル「ああ。昔、マーグベルスが持ってた宝石みたいなものを触ったことがあるんだ。そういやあれ、伝説のかけらだって言ってた」
ジェピット「マーグベルス? 誰だそりゃ」
アスベル「槍太陽弐夜団のリーダーだ。すげぇ強い軍団だったんだ。俺にとって...」
アスベルは話し始めた。
デドン歴806年。今から8年前、アスベルが8歳の時の話だ。
アスベルの住むボルボトーンの村に、数年前からとあるデントラーチームがよく訪れるようになっていた。
彼らは『槍太陽弐夜団』と名乗った‼︎ そんじょそこらのチームとは違い、かなりの実力を持っていた。
マーグベルス「レオンベルス号の頭によじ登るガキがいるとはな」
リーダーのマーグベルスは焦る様子はない。
レオンベルス号とは槍太陽弐夜団のデントレインの名前で、獅子のような立派なデザインだ。アスベルはレオンベルス号の頭部で仁王立ちしている。
バリカン「景色眺めたらさっさと降りてこーい」
サブリーダーのバリカンものんきだ。
アスベル「遊びじゃない! これは証明だ! 度胸試しだ!」
バリカン「何する気だ」
仲間たち「見ろよ。またアスベルが面白ぇこと考えてるぜ」
アスベル「ここから飛び降りて地面に着地する。成功したら槍太陽弐夜団のメンバーに入れろ!」
マーグベルス「単に脅しじゃねえか」
バリカン「高いぞ、怖いだろ」
アスベルの言っていることはみんな冗談だと思っていたが、なんとアスベルは本当にレオンベルス号から飛び降りた。
ゴッツーン‼︎
バリカン「岩に頭ぶち当てたぞ‼︎」
マーグベルス「何で頭から落ちるんだよ!」
アスベル「いでぇぇぇよぉぉぉっ、チクショー‼︎」
ミズナ「目が覚めた?」
目の前にミズナの顔が。アスベルは痛みで気を失っていた。頭を触ると包帯が巻かれている。ミズナが手当てしてくれたらしい。ミズナはアスベルにとって、歳の離れた面倒見のいい姉のような存在だ。
アスベル「マーグベルスたちは⁉︎」
ミズナ「店で食事してるわ。アスベルの話で持ちきりよ」
ドタドタドタッ
ミズナが切り盛りしているのはこのレストラン。村で唯一の飲食店だ。ミズナの住居とつながっている。
レストランは槍太陽弐夜団のメンバーで貸切状態。にぎやかだ。
酒を飲んでいるワミツォロゴが声をかけた。
ワミツォロゴ「おっ、アスベル! 目が覚めたのか」
アスベル「ああ、へっちゃらだ! マーグベルス‼︎ 俺、着地したぞ! 仲間にしてくれよ‼︎」
マーグベルス「失敗じゃねぇか。よくその程度ですんだな...」
アスベル「俺が強いってことが証明できただろ?」
マーグベルス「もうあんな危険な真似はするな」
アスベル「なんだよ! 約束と違う...」
フーシュロン「リーダーは約束交わしてないと思うぜ」
チーズをつまみながら言った。
アスベル「なあ、俺を仲間に入れたくない理由はなんなんだよ。俺、毎日必殺技の特訓してるんだぜ。村の大人にだって組み手でいつも勝ってるぞ」
バリカン「リーダーがなかなか答えを言わないんで、サブリーダーの俺が教えてやるよ。リーダーがお前を旅に連れて行かないのは、お前がまだ世間知らずなガキだからだよ。お前の言う〝強い〟ってのは、世界には通用しないレベルだ」
マーグベルス「教えてどうする。気づかせないと意味ないだろ」
アスベル「世界には通用しないって、メカジジイにも何回も言われたな...」
リュマンボゲ「アスベルのじいさん、めちゃくちゃ厳しいもんな。わっしゃっしゃっ」
酒樽を持ち上げて滝飲みしている。
アスベル「旅に出るのに歳は関係ない! 充分戦力になるぞ、俺は! そこらのガキと同じにしないでほしいね」
ウオヒッシ「お前8歳じゃん!」
ブーマゴン「まだまだチビだな」
ウオヒッシとブーマゴンは料理を取り合いしながら言った。
ヒマンブス「取り合いはよしなさいよ。ブーマゴン、あんたも子供と間違われるくらい背が低いけどね」
ブーマゴン「うるせー、ヒマンブス! 肥満ブス! ブーブー! ブヒブヒ!」
ヒマンブス「ひどーい! あんたそれ悪口よ!」
アスベル「...俺より幼稚じゃねぇか?」
クリジモンツ「メシの時だけはたしかにそうかもしれない。ウィーック」
酔っ払いのクリジモンツが言った。
アスベル「それに、俺のこと世間知らずって言うんなら、旅しながらいろいろ覚えていきゃいいじゃん」
アコヤリシゴ「いろいろって何よ?」
ジュースをおかわりしながら聞いてきた。
アスベル「えーっと...」
槍太陽弐夜団は口を揃えて言った!
「準備上手になれ! 暇があれば武器を磨く、直す! 道具を買い揃える! 食料を調達する!
聞き上手になれ! 人に会えば情報収集! 冒険のカギとなる!
トラブルに強くなれ! 危険を判断する! チャンスを逃さない!」
マーグベルス「とまあこんな感じで、修行以外にも大事なことはたくさんあるということだ」
アスベル「そ、そんなこととうにわかってらぁ」
圧倒されてご機嫌斜めだ。
次の日...。槍太陽弐夜団は再び旅に出発しようとしていた。町と町の紛争を止めに行くのが目的だ。
ミズナ「少し離れているけど、また戻ってきてくれるかしら」
ベガボルト「騒がしい連中だった。だが実力は期待できる」
アスベル「もう会えなくなるかもしれないのか...」
マーグベルス「よし、出発だ」
シュゴオオオッ
マーグベルス「望遠鏡用意!」
マーグベルスが望遠鏡を覗き込むと、アスベルのドアップ顔が‼︎
アスベル「町までどのくらいで着くんだ?」
全員「おいーっ‼︎ いつのまに乗り込んだんだよ‼︎」




