第19話 トウトーンの洞窟
トウトーンの洞窟。
飛び交う数多の小さな影は、コウモリのモンスター、プチバッターの大群だった!
プチバッター「キッキッキッ」
ナエラとソロフィーはミニウェポンを投げた。ナエラのは杖、ソロフィーのはブーメランだ。全員武器を構えた。
プチバッターは血を求めている。そして血に飢えている。鋭く尖った小さなキバをむき出しにして、アスベルたちに襲いかかった。
アスベル「よけるぞっ」
洞窟内を飛び回るプチバッターは、一匹一匹は体も攻撃力も小さいが、群れになると1つの大きなモンスターとなる。
剣や槍やハンマー……武器を振り回せばプチバッターの噛みつく攻撃は阻止できそうだ。
だが。
クレイブル「う……なんだ……」
ソロフィー「頭がグワングワンする……」
プチバッターは超音波を放ったようだ。人間の耳には聞き取れない音を出す技だ。
超音波によって頭が混乱し、右と左がわからなくなってふらついた。
ジェピット「いでっ」
アンドファン「気をつけろぃ」
ジェピットとアンドファンはぶつかった拍子に頭を打った。
アスベルとベンツ「任せろっ」
アスベルとベンツは、運良く岩壁の裏に回っていたため超音波をかわしていた。
アスベルは神技の構えをとり、ドラゴニオンソードを放った。光が生んだドラゴンは、プチバッターを次々と切り裂いていった。
ズババシュッ‼︎
ベンツ「残りはオレがやる」
ベンツはスパイラルガトリングを繰り出した。
洞窟内に銃声が響き、複数の弾丸が螺旋状に放たれた。
ズドドドッ‼︎ ドドドッ‼︎
数多の小さな影は地面に散らばった。2人のコンビネーションで見事にプチバッターを一掃した。
仲間たちは超音波の混乱から覚めた。
クレイブル「強いなぁ、お前たち」
ベンツ「わかれ道、俺はさっき右を行った。左に行ってみるか」
左の道を選んだ。奥へと進んでいった。洞窟の構造は、いくつもの道に分かれていた。道を記憶するにはメモを取るべきだ。
先頭を歩くベンツの足が止まった。地面にキラキラ光る『何か』が落ちている。
アスベル「伝説のかけらだ!」
並ぶようにして2つかけらが落ちていた。アスベルはすぐさま両方を拾った。
アスベル「取り込んでやる!」
やる気満々のアスベルだが、かけらは反応しない。
ソロフィー「私たちも試させて」
ソロフィーから順にかけらに触れていった。
ナエラとシャペンが祈りながらかけらに触れたその時だ! かけらは強く輝き、2人の体に吸い込まれるように消えていった。
シャペン「当たりだぜ!」
ナエラ「これで自分の潜在能力を引き出せるようになったのね」
シャペンとナエラは喜んだ。
アスベル「ちきしょーっ」
ジェピット「気長に行こうや、なっ、リーダー」
拗ねるアスベルにジェピットが声をかけた。
アンドファン「またわかれ道だ。ベンツ、どの道へ進む?」
ミィテ「ねぇ、あれって……奥に人がいるわよ」
ミィテが指差す先に、青白い光が見える。伝説のかけらが輝いているわけではなさそうだ。人が1人しゃがんでいる。じっとしている。
ナエラ「いやぁぁぁ、虫!」
突然大声をあげたナエラは、ソロフィーにくっついた。蝶のようなものが横切った。
ベンツ「こいつらはアントフライだ」
シャペン「なぁ、ベンツ。この洞窟の中のモンスターは、みんなして大群で登お出ましするのかよ」
次々と姿を現したのは、名前の通り、アリの体に蝶のような羽が生えたモンスターだった。体長は先程のプチバッター同様小さめだが、数が多い。
アスベルたちは再び武器を構えた。
アスベル「あれは……こいつらの親玉か?」
アスベルが気づいたあれは、アントフライと似ている外見だが、さらに大きな体をしたモンスター、ジアンフライだった。
ジアンフライは、手下であるアントフライたちにがっちりと囲まれて守られている。奴の表情は、アジトに足を踏み入れられたことに腹を立てているように見えた。
アスベル「奥にいるあいつ、このままだとあぶねぇぞ」
アスベルは、おーい、と叫んだ。だが、青白い光に包まれた人間は返事をしないうえ、しゃがんだまま動かない。
ソロフィー「ケガしてたり体調が悪くて動けないのかも」
助けに行こうにも大群によって道は塞がれているため、簡単には奥へ行けない。
アントフライは自由自在に飛び、四方八方に狙ってきた。
ジェピット「ぐわあっ」
クレイブル「うぐっ」
アントフライは、ジェピットとクレイブルの肩に噛みついた。
ナエラ「大丈夫ですか⁉︎ 傷を見せて。回復します」
ナエラは2人に駆け寄って杖をかざした。
アスベル「人食いか」
ベンツ「それだけじゃない。こいつらは毒を持ってる。腹の毒針で刺されないように気をつけるんだ」
シャペン「おっかねぇ」
ズババッ‼︎
シャペンはファイアソードで斬りかかった。アントフライたちは次々に焼けていった。
シャペン「お、燃やすのいいじゃん」
ミィテ「げほっ。シャペン! 沢山倒してくれたのはいいけどね、洞窟内でこんなに燃やしたら超煙たいんだけど!」
ミィテはバックサーベルで敵を斬りつけつつ、サーベルを振った時に生じる風圧で炎を消した。ソロフィーもブーメランを勢いよく投げて、燃え広がる炎を消していった。
ベンツの乱射はアントフライの羽を破り、アントフライたちはヘロヘロと地面に落ちていった。
アンドファン「だいぶ数を減らせたか……」
アンドファンはハンマーを地面におろしてふぅと息をついた。
アスベル「来るぜ、親玉が!」
ジアンフライは護衛のアントフライたちを押しのけ、アシュロンに襲いかかった。




