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デントラー  作者: 山石木一ろき
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第17話 かけらと竜騎士

 町長は『伝説のかけら』について話し始めた。


 かけらを体に取り込むことによって、自分の中に『潜在能力を手に入れる』ことができるという。潜在能力は、修行して経験を積むことで、今の能力を突破し、さらなる強みを目指すことができる。


 かけらを体に取り込むには、自分とかけらの波長が合うことが条件だ。波長が合うかどうかは手に取ってみないとわからない。


ジェピット「なんだ、伝説のかけらか」


シャペン「聞いたことある」


クレイブル「俺も」


 3人は伝説のかけらの存在を知っていた。ジギガンと共に旅をしていたからだ。


クレイブル「ジギガンさんはすでにかけらを手に入れてる、そう言ってた」


アスベル「じゃあジギガンのおっさんってかなり強いのか」


町長「少しお待ちください」


 町長は立ち上がって床をぱかっと開けた。続いている階段を降りると、少しして、両手に収まるほどの大きさの箱を持って上がってきた。


町長「ご覧ください」


アシュロン「これが……伝説のかけら‼︎」


 箱の蓋を開けると、2つの伝説のかけらが姿を現した。割れた宝石のかけらのようだった。見とれてしまうほど幻想的で美しい。


 だが、これらはただの宝石ではない。強くみなぎるオーラを感じる。


町長「どうやらこれを見つけた人は波長が合わなかったようで、私の所で預かることになりました。いつか波長が合う人が現れると信じて、大事にしまっておいたのですよ。きっと正義感のあるお方だろうと」


アスベル「オレが使う!」


 アスベルは片方のかけらに触れた。

 

シャペン「おいっ、ずるいぞ」


 シーン


 何も起こる気配がない。


クレイブル「残念ながら波長が合わないんだな」


アスベル「なんだ」


 アスベルはつまらない顔をした。


ジェピット「全員、波長が合うか試そう」


 ミィテとアンドファンがかけらを手にしたその時、かけらは眩しく光り出した!


ミィテ「きゃっ」

アンドファン「うわっ」


 刹那の光が消えた時には、かけらも消えていた。


シャペン「今ので体に取り込めたっていうのかよ」


ミィテ「波長があったのね‼︎ でも、特に変化は感じないわね」


アンドファン「他人がその能力に気づかないのはもちろん、自分自身も自覚がないんだ、潜在能力ってもんは」


ミィテ「修行すれば変化がわかるわね。楽しみだわ」


アンドファン「俺も楽しみだ」


アスベル「オレたちもかけらが欲しいっ!」


町長「いろんな噂が流れていますが、この星には伝説のかけらがいくつも散らばっていると言われています。場所も様々らしいですよ」


 町長は箱をしまいながら言った。


町長「試しにトウトーンの近くにある洞窟の中を探されてみては? 人があまり行かない所なら、かけらは誰にも発見されず取り残されているかもしれませんよ」


アスベル「オレは伝説のかけらを絶対見つけてやる! ジェピット、シャペン、クレイブルの分もな!」


シャペン「頼もしいリーダーだな、おい」


ジェピット「張り切っていこうぜ!」






アスベル「うまい飯と情報を聞かせてくれてありがとうな。じゃ」


町長の娘「アシュロンの方、お待ちください!」


 町を出ようとしたアスベル一行を追いかけてきたのは、町長の娘とその友達だ。


ナエラ「先程は申し遅れましたが、私、町長の娘のナエラといいます。そして、こっちは」


ソロフィー「私はソロフィーよ。あなたたちに聞いてほしい話があるの」


 2人には無鉄砲な友達がいるらしい。彼は竜騎士。町で一番、修行に励んでいたのだという。


 数日前のことだ。1日の修行が終わって町に帰ってきた彼は、ひょんなことから伝説のかけらを1つ見つけたんだ、とナエラとソロフィーに話した。波長が合い、かけらを体に取り込むことができた彼は、最強の竜騎士になると言い出して、次の日の朝、強さを求めてさっそく町から旅立った。


ソロフィー「彼なら、本当に最強の竜騎士になれるかもしれない。それくらい意思が強いのよ。応援したいけど、 どんな危険な目にあってるかわからないわ……だって無鉄砲中の無鉄砲なんだもの」


 心優しいソロフィーは心配でたまらないらしい。


ナエラ「無茶してるに決まってます。1人じゃとても心配。私たちもかけらを手に入れて強くなりたいんです。友達をサポートしたいから」


 同じく優しいナエラはスカートのすそをにぎりながら震えている。


ソロフィーとナエラ「伝説のかけらを探す旅にお供していい?」


アスベル「ふぅん、最強の竜騎士を目指してる奴……か」


ジェピット「アスベル、返事は決まってるよな」


アスベル「もちろんだっ。アシュロンには強い奴が必要だ。そいつを仲間にする。お前ら、オレについて来い」


 アシュロンはナエラとソロフィーを仲間に加え、洞窟へ向かった。






門番「ウトウト、ぐがー、ぐがー。……はっ、アシュロンの人たち、もう出て行ったんだ。ん? あれっ」


 トウトーンの町の門番は、立ったまま寝落ちしそうになっていた。



門番「えらいこっちゃ」


 町で暴れていた山賊の2人がいないことに気づいた。縛っていたはずのロープが切られて落ちている。


門番「完全に逃げられた。……まあいいか、もう反省しただろう」


 ガベシとジベシは、すでに町の外だった。


ガベシ「良い情報を仕入れたな、ジベシ」


ジベシ「やったな、ガベシ」


 隠し持っていたくだものナイフでロープを切り、町長の家の裏に隠れて、伝説のかけらの情報を盗み聞きしていたのだ!


ガベシ「早くアニキに知らせにアジトに戻ろうぜっ」


ジベシ「褒めてくれること間違いなしだなっ」

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