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デントラー  作者: 山石木一ろき
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第14話 忘れない師匠の言葉

 アスベルは、ウォーノと逆の方向にドラグーン号を探しに行こうとするハロハゴミーの目の前に立ち、剣を突き立てた。


ハロハゴミー「おおっと。どいてもらおうか」


 ハロハゴミーはケガしていないほうの手で斧を構えた。ウォーノはうんざりした顔をしている。


ウォーノ「あいつらのデントレインだぜ? 運転手のお前には関係ないだろ。そこをどけよ」


アンドファン「関係大ありだ‼︎」


 アンドファンは怒鳴った!


アンドファン「お前たちが大暴れしたここは、オレの乗務区の駅だ! つまり、お前たちの不善を片付けるのはオレの仕事の範囲! 逃すわけにはいかないんだよ」


ウォーノ「ふーん。電車の運転手ってのはそんなに必死に頑張るもんなのかい」


 両脚で馬の腹を蹴った。


 ヒィィーン…


 馬はフラフラしながらアンドファンを押しのけて走った。


アンドファン「知りたいか。運転手とは何なのか」


ハロハゴミー「運転手は運転手だろ」


 ハロハゴミーは鼻で笑った。


 ガッ! 


 ハロハゴミーの腕をアスベルはつかんでウォーノめがけて投げ飛ばした! 2人はぶつかった。馬から転げ落ちたウォーノの上にハロハゴミーが乗っかった。


ウォーノ「ってぇな」


アスベル「アンドファン、こいつらに教えてやれ。オレも聞きてぇ。お前の話」


 ジェピットたちもうなずいた。


アンドファン「教えてやろう。オレが必死な訳を」






 アンドファンが運転手の見習いだった頃の話だ。運転するときは必ず、アンドファンの横に師匠がついていた。運転するのはいつも同じ、古い電車だった。


 師匠と話しているとよく言われたことがある。


師匠「たとえ乗客がいなくても、仕事を怠らないこと。平常運転を心がけること。運転手として夢と誇りを持つこと。人の役に立つ喜びを感じること」


師匠は続けて言った。


師匠「全て当然のことだ。しかし世の中にはそれをしない者もいる。当たり前のことを当たり前にできる運転手が胸を張れるのさ」


  アンドファンはその言葉を忘れることはないだろう。


その後…。アンドファンは操縦試験に見事合格した。いよいよ1人での運転が任されることになった。


師匠は、アンドファンと入れ替わりに運転手をやめることになった。


アンドファン「続けてください、師匠」


師匠「もう歳だからな」


アンドファンは、明日からさっそく単独運転を開始することになった。所属することになったのは、山を通る乗務区だった。


アンドファン「山を越えたい人々が沢山乗ってくるだろうな」


 次の日の朝。


師匠「車両基地に来てくれ」


 基地に着くと、いつも運転していたあの古い電車がそこにあった。だか、外装はきれいな水色に塗り替えられ、車内のイスも床も新品同様に交換されていた。


アンドファン「これは…あの電車ですよね。いつの間に?」


師匠「君が試験に集中している間に、整備士の仲間に修理を頼んだんだ。私はもう運転はやめるが、こいつはまだまだ現役というわけだ」


 師匠はアンドファンに電車のカギをわたした。


師匠「アンドファンくん。この電車を君に託そうと思ってる。乗ってやってくれ」


 アンドファンはカギを受け取ってうなずいた。


アンドファン「わかりました。……師匠、今までありがとうございました」


感謝の気持ちがあふれ、声が少し震えた。2人は向かい合って敬礼した。






  乗務区はまさにこの路線だ。師匠から譲り受けたその電車は、アンドファンの相棒、水色の電車だ。


アンドファン「師匠に託されたその日から、相棒と共に仕事をしてきた。師匠の言葉をずっと守り続けて。笑われるかもしれんが、友情が芽生えたんだ」


アンドファンはウォーノたちに向かって言った!


アンドファン「俺のこの思いは理解しがたいだろう……仲間を大事にしない奴にはな‼︎」


ウォーノとハロハゴミー「‼︎」


ハロハゴミー「……はっはっはっ。俺はウォーノのちょうどいい駒なのかもしれんな」


 ハロハゴミーはそう言いながらもウォーノの隣にいてくれている。


 ヒィィーン…


 弱々しい声で鳴いた馬は、今なら自分を盾にしたウォーノから逃げられるかもしれないのに、逃げずにいる。


ウォーノ「……」

 

 ウォーノは黙っている。


アンドファン「師匠の言っていた『乗客を無事に最後まで送り届けること』の意味。それは、仲間を守り抜くこと。それができる者こそが、運転手として、そして人として……」


 アンドファンはハンマーを振り上げた!


アンドファン「胸を張れるんだあああ‼︎」


 ハンマーをウォーノの足に振り落とした。ウォーノは避けきれず、片足にダメージを食らった。急いで体勢を整え、反撃した。


ウォーノ「うるせぇ‼︎」


アンドファン「ぐあぁっ」


アシュロン「大丈夫か、アンドファン!」


 アンドファンは右肩を負傷した。


クレイブル「動揺してるんだろ。自分の愚かさに気付かされてな」


シャペン 「アスベル。さっきケガしてるオレたちの代わりにオレがやるって言ったな」


 シャペンは傷を抑えながら言った。


ジェピット「こいつらを改心させるために、とどめ刺すのお前に頼むぜ、リーダー!」


アスベル「おう。言われなくてもオレに任せろっ!」


ゴゴゴゴゴ……‼︎


アスベル「人から夢を奪おうって人間にはこうだ! ドラゴニオン……‼︎」


 神技(じんぎ)の構え‼︎


 アスベルの体と剣が光出した。剣の先から大きな形が浮かび上がった。光が作り上げたドラゴンだ!


シャペン「これがドラゴニオンソードか」


 必殺技をずっと見たがっていたシャペンは言った。


ミィテ「レフトゼロに食らわせたのよりも確実にパワーが上がってるのがわかるわ」


 ズババシュッ‼︎


 一直線に飛んでいく光のドラゴンは2人に襲いかかった。喰いかじるような鋭いダメージだ!


ウォーノ「ち、ちくしょう」


 パキン‼︎ ガシャンッ‼︎


アスベル「ああっ‼︎」

 

 アスベルの剣が欠けた!

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