07 第二章 第三話
家の前、倒れているのは、ふたり!
「セシエリアさんっ、ヴァニシアッ」
「ずるいぞロイ殿、なぜセシエリア殿はいつまでもさん付けなのだ」
余裕そうなヴァニシアを後回しにして、セシエリアさんを抱き起こす。
「すみませんロイ、リノアが……」
セシエリアさんが俺を呼び捨てなのは、よほどの緊急事態のみ。
「何があったんですか」
武装魔車の大爆発は我が家の中まで聞こえた。
飛び出そうとしたヴァニシアを止めたセシエリアさん。
「みんな離れない方が良いです」
万全の準備を整えた三人。
セシエリアさん、ヴァニシア、そしてリノア。
全員で外に出ると、家の前にはいかにも怪しげな男。
ヴァニシアの大剣、セシエリアさんの徒手格闘、
余裕でふたりを吹っ飛ばした男は、
嫌がるリノアをさらって消えた。
歯噛みする俺、意気消沈するみんな。
家の中から、通信機のコール音。
「マツカゼに着信ですっ」
魔導通信機改零式、通称マツカゼ。
使用魔素量軽減と本体の小型軽量化、そして複数端末の同時会話機能。
仲間たちに配布された新型通信機から、連絡が来ていた。
『ロイさん、いませんか?』
アランさんからの連絡は、少し遅かったようだ。