13 第三章 第五話
それぞれのチーム、それぞれの敗北。
気持ちはひとつ、仲間の奪還。
「待っているんです」
誰を? 何を? いつまで?
聞きたいことはたくさんあるが、私も、待った。
「こんにちは、皆さんおそろいですね」
そろってねえよと振り向くと、
転送おじさんことメイジさん、藪雨銘寺、見参。
「各国、話は通してきました」
ようやく、説明してもらえました。
ことの発端は魔族領のとある王国。
その国の第……とにかく下から数えた方が早いような底辺継承権の王子が、突然乱心した。
今までも継承権争いが絶えなかったその王国、そういう場合の解決策がシステマチックに出来上がっていたとか。
簡単に言うと反乱・暴乱・乱心鎮圧マニュアル完備。
ところがその底辺王子には、なぜか国ご自慢の解決策が通用せずにあれよあれよという間に実権を握られてしまった。
で、実権の次は王位が欲しいとなった底辺王子、候補を漁るがお気に召さない。
そして目を付けたのは、はるか昔に国を出たリノアさん。
当時は結構上位の継承権だったとか。
そして魔族領にもその名が鳴り響いていたトップランカーにしてミラクル美少女のアイネにご執心、と。
「さっきも言った通り、各国に話は通してきました」
「国として表立った協力はできませんが、僕に言ってもらえれば大概のことは通しますので」
なぜ国家絡み?
「その馬鹿王子が調子に乗って各国に無理難題を言い出したんですわ」
「あの馬鹿ひとりだけ何とかできれば戦争しなくてすむので、ぜひみなさんのお力をと」
なんでひとりだけ?
「無敵らしいんですよ」
「噂では怪しげな魔導具に取り憑かれてから変になっちゃったとか」
「無敵な馬鹿が権力握るとろくなことにならないですよね」
無敵じゃ勝てない。
「信じてもらえるかどうか分からないんですが、ご神託があったそうなんです」
ご神託?
「某国肝入りの占い師が、みなさんのことご指名したんですって」
占い師?
「うさんくさいですけどね、なんか『鏡の賢者』関係者とか言ってて実績とか考えると無視できないそうです」
占いの内容は?
「すみません、極秘なんですって。 みなさんだったら何とかしてくれるの一点張りで」
だいたい分かった。
時間が惜しい。
「今すぐ行きましょう」
「もうすぐ結婚式が始まるんで直接式場までお送りしますね」
それを先に言え。