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12 第三章 第四話
目が覚めると見知らぬ天井、ではなかった。
ここはロイさんの家、リノアさんの部屋。
ベッドの横には、おねむマクラ。
ずっと手を握ってくれていたようだ。
怪我がないかを確認し、起こさぬようにそっと抱きしめる。
やがて目覚めたマクラと共に居間へ。
マクラは何も話さず、にぎった手も離さず。
怖い思いをさせてごめんと謝りたかったが、まずは自分の罪を知ることが先。
居間には全員集合、ではなかった。
リノアさんとニエルさんがいない。
もちろんアイネも。
ロイさんに向かって、深く頭を下げる。
一同、無言。
私、涙が出ないのはなぜだろう。
肩に手を置かれた。
見上げれば、ロイさん。
「手を貸してくれますか」
ようやく、泣けた。




