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10 第三章 第二話
「一同、最大警戒!」
リーダーの号令前に動いていた皆を、誉めるべきか叱るべきか。
ノルシェは探査機の前へ。
「激しく点滅する赤がイチ、方位フタマル、距離はヒトマルマル、速度は徒歩、他にはありませんっ」
すぐに愛用の短剣を構える。
あの言い方、誰が教えたのだろう。
マクラは幌馬車の前で可愛らしく叫ぶ。
「シブマ1号、バトルモード」
誰が見ても近寄りたく無い凶悪な姿に変形した我らがシブマ1号バトルモード。
あの姿自体が、マクラを守護する盾となろう。
乗り込んでくれさえすれば、マクラは安全だ。
「このまま、行きますっ」
アイネはドレス姿のままで、長弓を構える。
願わくば、接近戦になってドレスが汚れませんように。
っていうか、私たち以外でアイネのあの姿を見た野郎は、
絶対に精神支配魔導具の刑で脳のシワをつるっつるにしてやる。
それにしても、皆の動きは大正解ではあるが、リーダーちょっと寂しいよ。
見えたっ。
うぇっ、何あれ。
すんげぇ気持ち悪いのが、にやにやしながら近付いて来やがるんですが。