思い思われ
それから数日が経ち、家のリビングのソファーで寄り添いながら座り、オリビアとレオナルドは仲良く過ごしていました。
「こうやっていられるのも今日で最後だな」
「そうだね」
「体は慣れたか?」
「うん、だいぶ」
「ならもう少し激しく出来るな」
「もうこれ以上いいよ」
「遠慮すんな」
「してない。レオ野生人みたい」
「あぁ、俺猫だから」
「ついに認めましたね、レオ様」
「またレオ様かよ」
「そうだ、あの本返さなきゃ」
「猫のレオとか言う奴?」
「そうそう。本当にレオにそっくりな猫だった」
「ふ〜ん、オリビア号泣してたもんな」
「だってレオが病気になっちゃうんだもん」
レオナルドは側にいたオリビアを自身に抱き寄せて言いました。
「俺はいなくならないからな」
「うん、絶対いなくならないで。側にいて」
オリビアもレオナルドに寄りかかりました。
「あぁ側にいる、ずっと」
「側にいなきゃ私どうなるか分からないからね」
「分かった。側にいる、絶対離さない」
「レオはいい子ね」
オリビアは隣に座るレオナルドの頭に手を伸ばし撫でました。
「たまには猫扱いもいいかも」
「そう?」
するとレオナルドはオリビアの肩に寄りかかってきました。
「ほんと、おっきい猫」
「このまま寝れそう」
「少し寝る?」
「あぁ、このまま少し寝よう」
「いいよ」
2人はそのままソファーに横になり、オリビアは自身に寄り添いながら眠るレオナルドをしばらく見ていました。
『本当にすぐ寝ちゃった。何となく寝てない感じはしてたけど』
『オリビアの顔、夜中ずっと見てたわよ』
『えっ、本当?エルリア』
『本当よ。嬉しかったんだと思うよ。オリビアと一緒になれて』
『そう、そんなに私を思ってくれてたのね。何処にも行かないのに。私がまだ何処かに行くと思ってるの?早く私を信用して、レオ』
エルリアと心の中で話しながら、オリビアはレオナルドの頭をそのまま撫でてあげました。
* * *
その頃、レオナルドはあの何処までも真っ白な世界が続く不思議な空間に来ていました。
『レオ、久しぶり』
『オリビア!』
レオナルドはオリビアを見るなり抱きつきました。
『あんたは本当すぐ私に抱きつくわね』
『別にいいだろ』
『愛してくれてるのは分かってるわ、だけどもう少し私を信用して?』
『信用してる』
『まだ信用してない。もう何処にも行かないし、すぐ側にいる。いつもちゃんとレオを思っているし、愛しているわ。もっとよく私を見て理解して』
* * *
ソファーで眠っていたレオナルドは目を覚ましました。
するとオリビアが誰かと話す声が何処からか聞こえてきました。
どうやらキッチンの方で使用人の1人と料理を作りながら話しているようです。
レオナルドは寝たフリをしながら聞き耳を立てました。
「はい、幼なじみなんです」
「まぁそうなのですね。では昔から仲が良かったのですか?」
「そうですね、レオは昔から私の側に、いつもいたので仲は良かったです」
「まぁ良いですわね。ではその頃から旦那様の事が好きだったのですか?」
「う〜ん、その頃はまだ幼すぎて側にいるのが当たり前な感じで、好きとかではなかったと思います」
「あら、そうなのですね。ではいつ頃から、そんな幼馴染が好きになっちゃったのかしら?」
「えっと、それは離れてからです。いつも側にいたレオが振り返っても何処にもいなくて、寂しいなって思った時に私好きだったんだな気付いたんです」
「そうなのですね、じゃあもうその頃から思いは伝えていたのですか?」
「いいえ、気付いた時にはもう私は聖職者だったので、今まで通りを装っていました」
「まぁ、純愛ですわね。伝えようとは思われなかったのですか?」
「それは、まぁ。でも伝えたらきっと私のために無茶をすると分かっていたので、伝えようとは思わなかったです」
「本当に愛していらっしゃるのですね」
「はい、とっても」
「旦那様カッコいいですものね」
「えぇ、凄く」
「奥様、味付けはこれでよろしいでしょうか?」
「はい、大丈夫です」
『オリビア、俺をそんなふうに思ってくれていたのか…』
レオナルドはオリビアの真意を聞き、密かに泣いていました。
その後しばらく経ち、オリビアがソファーで寝ているレオナルドの所へ見に来ました。
「レオ、そろそろ起きて」
「あぁ」
「ごはん出来てるよ」
「分かった」
食事をしながら目の前に座るレオナルドの様子が、どことなくおかしいなとオリビアは思っていましたが何も聞きませんでした。
その後オリビアは食器を洗い、お風呂に入りました。
オリビアは湯船に浸かりながら泡をすくいました。
『どうせまた、レオ来るんだろうな』
そんな事を考えていると、扉が開きレオナルドが入ってきました。
「やっぱり、来ると思った」
レオナルドはお湯に浸かりオリビアを後ろから抱き寄せました。
「1人で入るって言ったのに」
「いいだろ一緒に入ったって」
「もう」
「オリビア」
「なに?」
「俺の事、好きだったのか?」
「さっきの話聞いてたの?」
「あぁ」
「寝たフリしてたのね」
「聞こえただけだ」
「まぁ別に、聞かれて困るようなことじゃないからいいけど」
「じゃあ、ずっと俺のこと好きだったのか?」
「あぁ、まぁ、そうなるかな」
「マジかよ…」
「そんなに驚く?」
「あぁ、知らなかった」
「言ってないもん」
「言えよ、そう言うの」
「ごめん」
「俺だけがずっと好きだと思ってた。お前はそこまでじゃないって」
「好きじゃなかったらブライアンを脅さないよ」
「あぁ、そうだな」
その後、ベッドに入った2人はレオナルドがオリビアに詰め寄っていました。
「今日は手加減、出来そうにない」
「…うん、分かった」
「オリビア愛してる」
「うん、私も愛してるレオ」
そしてその夜もレオナルドは、隣で眠るオリビアの寝顔を見ていました。
『ごめんオリビア、俺はお前にこんなに愛されていたのに自分の方が愛していると思っていた。目の前の事しか見ていなかったと気付かされた。本当に我がまま子供だ。少しずつかもしれないが、俺はお前にふさわしい男になるようにする。だからこれからも俺の側にいてくれ、オリビア』
レオナルドは隣で眠るオリビアにそう心の中で話しかけ、オリビアを抱き寄せながら眠りにつきました。
翌朝、玄関の前でオリビアとレオナルドは抱き合いながら、長いキスをしていました。
「行ってらっしゃいのキスってこんなにするものなの?」
「そうだ」
「ふ〜ん」
レオナルドはまたオリビアに深く口付けました。
「じゃあ行ってくる」
「行ってらっしゃい」
「夕方には帰るから」
「うん、分かった。気を付けてね」
「あぁ、行ってきます」
それから1週間が経ち、オリビアはブライアンに会いに宮殿を訪れました。
「本ありがとう、猫のレオ悲しかったわ」
「そうだろ?」
「レオにそっくりね」
「だろ?そうだと思ったんだ」
「だから貸してくれたのね。ありがとう」
「あぁ。新婚生活はどう?」
「楽しいわ、毎日が新しい」
「そう、なら良かった。そうだ、オリビア」
「なに?ブライアン」
「使用人からクレームきてるよ」
「えっ!本当?私何かしちゃった?」
「違うよ、逆さ」
「逆?」
「奥様は全てご自分でやってしまうので、仕事があまりないってさ」
「まぁ、そんな事を。分かったわ気を付けるわ」
ブライアンとも話が終わり、そろそろ日が暮れる頃だと気付いたオリビアは、クリスタルの騎士団の方へと向かいました。
「別に1人で行けるのに、ブライアン」
「いいんだよ、これくらい」
「ありがとう」
オリビアとブライアンはクリスタルの騎士団の出入り口で、レオナルドが出てくるのを待っていました。
「レオ!」
家に帰るため出入口から出てきたレオナルドを見つけると、オリビアは名を呼びました。
『レオ?俺をレオと呼ぶのは…』
レオナルドが振り返ると、そこにはオリビアがいました。
「オリビア、なんで?」
「一緒に帰ろうと思って待ってたの」
そう言いながら近付いてきたオリビアの側には、ブライアンがいました。
「ブライアンに会いに来てたのか?」
「あぁ、そうだ。私とずっと2人きりで会っていた。なぁ、オリビア?」
「えっ、まぁ、そうね…」
『ブライアンわざと挑発するように言ってるわ、でも今のレオなら…』
ブライアンはレオナルドを妬かせてやろうと思い、故意に煽るようなことを言いました。
「そうか、なら一緒に帰ろう。オリビア」
「うん!じゃあね、ブライアン」
「あぁ、また…」
レオナルドはブライアンの挑発には乗らず、オリビアの前に手を差し出し2人は仲良く並んで帰っていきました。
ブライアンは呆気にとられました。
レオナルドとオリビアが手を繋ぎながら、楽しそうに話す姿を見ながらブライアンは思いました。
『あいつ変わったな…』
そんなブライアンにジュリアスが話しかけてきました。
「レオナルドを変えたのはオリビア様です」
「ジュリアス見てたのか?」
「えぇ、オリビア様は本当に凄い方です。あっという間にレオナルドの心を入れ替えてしまいました」
「そのようだね」
家へと帰ったオリビアとレオナルドは夕食を食べ終え、リビングのソファーで寛いでいました。
レオナルドはオリビアを後ろから抱き締め、オリビアは後のレオナルドに寄りかかっていました。
「今日ジュリアスさんに、めっちゃやられた」
「そうなの?」
「あぁ、ほらっ」
レオナルドは腕を前に出し、かすり傷をオリビアに見せてきました。
「ホントだ、じゃあ私が治してあげる」
オリビアはすぐにレオナルドの腕に祝福をしました。
「はい」
「ありがとうオリビア。よかった、聖女の力失われてなかったんだな」
「えっ?うん、なくなってないよ」
「俺と結婚したから、消えたんじゃないかと思ってた」
「大丈夫よ、消えてないわ。レオは心配症ね」
「オリビアの事はいつも心配だ。手に入ってからは尚更」
「ありがとう、その気持ちだけで嬉しいわ」
「本当はさっきもブライアンに言い返そうとした」
「そうね」
「オリビアと2人きりでずっといたとか、ワザと言いやがってアイツ…」
「ふふっ、確かにそうね(笑)でも抑えたんでしょ?」
「あぁ、もう子供みたいな事はやめようと思ってな」
「そう、やれば出来るじゃない。レオ」
「だろ?」
「うん、よく出来ました」
オリビアは少し振り返り、レオナルドにキスをしました。
「オリビアのために、これからも抑える」
「うん、レオなら出来るよ」
「あぁ。でっ、ブライアンとはどれくらい2人きりでいたんだ?」
「えっと、3時間くらい…」
「あぁ?(怒)」
「ごめんなさい、つい…」
「会うときは1時間までって言ったよな?」
「はい…」
「だから迎えにきたのか?俺の機嫌とるために」
「あっ、バレちゃった…?」
「オリビア(怒)」
「ひぃ!」
「今日は覚悟しておけ」
「うぅ…」
「今日の夜は楽しみだな、オリビア」
「鬼畜…」
「何か言ったか?」




