挑発
大聖堂の中へと入り2人は席へと着きました。
2人の席の近くには、いつものメンバーが顔を揃えていました。
オリビアは近くの席に座ったブライアンに、さっそく声をかけました。
「今日はちゃんといるのね、ブライアン」
「もちろん。それに私がいろいろと今回はやったからね」
「ありがとうブライアン、いろいろしてくれて」
「いいよ、オリビアのためなら」
次にオリビアは、ブライアンの隣りの席にいたジュリアスに声をかけました。
「今日はありがとうございます、ジュリアスさん」
「いえいえ、あなた様のためですから」
「今日はお酒も飲むんですか?」
「えぇ、特別に許可をいただきました」
「ブライアン、あんまりジュリアスさんをいじめないであげてね」
「分かりましたよ…」
ブライアンが少しだけ気まずそうな顔し、それを見たオリビアとジュリアスが微笑みました。
その時オリビアは、ふいに気付きました。
『しまった、他の男と話すなってレオに怒られる!』
そう思い隣にいたレオナルドの顔をすぐにオリビアは覗くと、特に怒っている様子はありませんでした。
『よかった、レオも大人になったのね』
オリビアが安堵し前に向き直った時、レオナルドが隣に座るオリビアの肩を抱き寄せながら、オリビアのこめかみに「チュッ」っと軽くキスをしました。
「ちょっとレオ、皆んなの前で…」
「いいだろ、いつもしてんだから」
『いつもしているだと…(怒)』(その場にいた男性陣一同心の声)
『何か皆んなの肩から、湯気が出ているような気がするのは気のせい?』
オリビアは皆の方を見ながら、そんな事を思っていました。
「レオナルド明日から、びっちり訓練します。楽しみにしておくように(怒)」
するとジュリアスがレオナルドにそう言いました。
「ジュリアスさん、俺明日からしばらく休みです(笑)」
「あぁ、そうでしたね(怒)」
「少し疲れてれるんじゃないですか?ジュリアスさん(笑)」
「そうかもしれませんね(怒)」
『レオ、ジュリアスさんにいつもこんな態度なの?』
オリビアがそう思っていた時、他の団長達もレオナルドとジュリアスの駆け引きを見ながら、言い返すレオナルドを凄いと思っていました。
そんな場の空気をモルガが読み取り、話を切り替えました。
「オリビア様」
「なにモルガ?」
「オリビア様のお姉様、相変わらず綺麗でしたね」
「そうね、昔からモテてたわ」
「妹さんも、可愛らしい方でしたね」
「あぁ、ジゼルね。そうね可愛くなっててビックリしたわ」
オリビアはふとブライアンの方を見ました。
『やっぱりジゼルが気になるみたいね。目が少し泳いだわ』
そうあの時、オリビアの投げたブーケを受け取ったのはオリビアの妹ジゼルでした。
そして尻もちをついたジゼルに、手を差し伸べたのはブライアンでした。
『ジゼルなら私に嫉妬もしないし一石二鳥だわ。この2人くっついてくれないかしら(笑)』
オリビアそう思いながらブライアンを見ていたのを、隣に座るレオナルドは気付いていました。
しばらく経ち、オリビアとモルガはまた一足先に部屋へと戻りました。
モルガは一緒にオリビアの部屋へと来ると、オリビアのドレスの着替えを手伝ってくれました。
「オリビア様、今日は本当に綺麗でした」
「ありがとう、モルガが泣いてるのが見えたわ」
「だって感動しちゃって。美男美女があんな綺麗な教会で結婚式とか、素敵すぎます」
「ありがとう褒めてくれて。本当に嬉しいわ」
「私もいつか結婚式やるなら、あそこでやります!」
「えぇ、その時は是非呼んでね」
「もちろんです!」
モルガが部屋を出ると、移動やらで疲れたオリビアはすぐにベッドに潜りました。
『ここも今日で最後か。少し寂しいけど明日からの方が楽しみだわ』
そう考えながらオリビアが目を閉じたとき、レオナルドが部屋へ入ってきました。
「レオ、今日は早いわね」
「さすがに、あんな奴らといつまでも飲みたくない」
「そう」
「ジュリアスさん、全く変わんねーし」
「それはレオもでしょ」
「まぁな」
レオナルドは着ていた服を脱ぎソファーに適当に掛けて置き、薄着姿になるとすぐにベッドに入りオリビアを抱き寄せました。
「オリビアあったけぇ」
「レオ、冷えてるね」
「俺あんま体温高くないから、冷えやすいんだ」
「そうなんだ、私は常に高い方だから温めてあげる。そんな薄着じゃ、レオ風邪引きそうだし」
「助かる。そういやさっきブライアンのこと見てたろ?」
「えっ、見てたかな」
「見てた。ガン見してた。俺よりよく見えたのか?」
「ちらっとしか見てないわよ。レオの方がブライアンよりイケメンだもん。よく見えるわけないでしょ」
「じゃあ何で見てたんだよ?」
「妹のジゼルと何となくブライアン、気が合いそうだなって思って見てたの」
「へぇ、本当だろうな?」
「嘘言ってどうするの?」
「はいはい」
「はいはいって、もう嘘じゃないのに」
「分かったよ、俺はオリビアを信じてる」
「最初からそう言えばいいの」
「オリビア」
「なにレオ?」
「愛してる」
「うん、私も愛してる」
2人は深く口付け合いました。
「レオ、お酒の香りがする」
「オリビアもな」
「何だかこれだけで酔いそう」
「酔ってもいいぞ?酔ったオリビア可愛いからな」
「そんなに私、酔うと変わる?」
「変わる、子供ぽくっなる」
「えぇ〜、何かそれヤダ」
「それがいいんだよ。普段と違うからな」
「う〜ん、レオも酔って変わるとこ見たい」
「俺だって少しは酔う」
「少しでしょ?」
「あぁ」
「何か悔しい」
「なんで拗ねるんだよ(笑)」
「ねぇ、レオ」
「なんだ?」
「これから、ずっと一緒にいられるんだね」
「あぁ、そうだ。これからはずっと一緒だ。オリビア」
その夜2人は、これから共に一緒にいられる喜びを互いに感じながら、寄り添い眠りにつきました。
翌日、大聖堂へ宮殿からの馬車が到着し中にはブライアン、ジュリアスが乗っていました。
そして同じ馬車にレオナルド、モルガと共にオリビアは乗りこみ、新しく2人が住む新居へと向かいました。
「ねぇ、ブライアン本当にここ?」
「そうだよ、オリビア」
オリビアの目の前には豪邸が建ってあり、本当にここなのかとブライアンに聞きました。
「ちょっと、やり過ぎじゃない?ブライアン」
「そんなことはない、聖女様が住むんだから」
「あぁ、そうなんだ…」
「オリビア様、私が荷物をお運びいたします」
「あっ、ありがとうございます。ジュリアスさん」
ジュリアスはオリビアの荷物を持つと、家の中へと運んでくれました。
「気に入ってくれた?オリビア」
「えぇ、まぁね。広くて何だかすごいけど」
家の中へと入ったオリビアは、辺りをキョロキョロと見渡していました。
「広さはそのうち慣れるよ」
「ありがとうブライアン、ここまでしてもらって」
「いいさ、聖女様との約束だからね」
「オリビア様!」
すると、そこへモルガがやってきました。
「オリビア様の部屋どこにしますか?2階ですか?」
「そうね。2階かしら」
「じゃあ見に行きましょう!」
「えぇ」
オリビアとモルガは2階へと階段を上がり、2人で部屋をいろいろ見て回りました。
オリビアが2階へ行ったのを見たジュリアスは、側にいたレオナルドに話しかけました。
「レオナルド」
「何ですか?ジュリアスさん」
「君も私と同じ伯爵家になった。そういう振る舞いも、これから教えるから覚悟しておくように」
「げっ」
「その言葉使いもだ。オリビア様に恥をかかせるような行動は慎め。お前の振る舞い1つで、オリビア様が周囲から白い目で見られ傷付くんだ。いいな、分かったか?」
「はい、分かりました」
ジュリアスはレオナルドの側にさらに近寄り、耳元で話しかけました。
「それからお前が何かしたら、いつでもオリビア様を奪う。それを肝に銘じろ。幸い俺はオリビア様に好かれているからな。オリビア様の心がお前から離れれば、俺に向けさせるなんて造作もない。悔しかったら早くその腕で俺を負かせてみろ。レ・オ。ふっ(笑)」
ジュリアスはそう言うと、近くに置いてあったオリビアの荷物を持ち2階へ登っていきました。
「オリビア様、お部屋は決まりましたか?」
「あっ、ジュリアスさん。まだ迷ってるんですけど〜」
レオナルドは、その場に固まってしまい動かなくなりました。
そんなレオナルドに気付いたブライアンが話しかけました。
「どうした?レオナルド青ざめて。ジュリアスが何か言ったか?あいつ結構言うときは言うからな」
「あぁ…、まぁ…」
「珍しいな、レオナルドがそんな顔をするとは。どうせオリビアを奪うだとか、何か挑発されたんだろ?」
「あぁ…、まぁ…」
「なら、奪われないようにしろ」
ブライアンはレオナルドの肩に手を置きながら声をかけました。
「私はお前の方を応援する。ジュリアスは正直私も嫌いだ。完璧すぎてイラつく時がある。早くお前が団長になれ。それでオリビアの話を毎日聞かせてくれ」
「ブライアン、お前いい奴だったのか?」
「今更、気付いたか」




