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えっ、私がこの世界を守るの?  作者: 藤崎七奈
第一部 【愛と平和】
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野営訓練

魔物が世界に姿を現しはじめてから約1年、各国の騎士達が対応していました。


そしてオリーブはというと、『フリュエール王立学院』の初等部へと入学しました。

ここは王侯貴族の通う名門の一貫校で、学院の入り口にはペガサスの像が立っています。


もちろんカインも一緒に入学しました。


「カイン、これから学校楽しみね!」

「そうだね。勉強楽しみだな」

「カインは頭がいいから、すぐ1番になると思うわ」

「そうなれるように、頑張るよ」


カインは少しでもオリーブの力になれるようにと剣を習いはじめていました。



そして学校にも慣れはじめた頃、初等部に入ってからの初めての夏休みがやって来ました。


「夏休み、カインはどうするの?」

「どうもしないよ。父さんは宰相だから王都から離れられないし」

「そっか」

「オリーブは?」

「私も特に何も変わらないかな。あっでも、エルフの里で毎年夏に野営訓練って言うのがあって、それに参加出来るように今年は頼もうと思ってる」

「許してもらえるの?特にオリーブのお父様に」

「う~ん、たぶん」

「そうか。僕も剣、頑張らなきゃ」

「カインも剣の練習始めたんだもんね」

「まぁね、オリーブにはまだまだだと思うけど…」

「カインなら大丈夫よ。いつもすぐ何でもこなしちゃうんだから」

「だと良いんだけど」


カインと学院で別れたオリーブは、馬車で城に帰るとさっそく父カーティスに会いに行きました。


「父様!」

「オリーブ!お帰り」


カーティスは執務室で仕事中でしたが、オリーブが自身を訪ねて来た事が嬉しくなり椅子から立ち上がりオリーブに近付きました。


「ただいま!あのね、父様」

「どうしたんだい?オリーブ」

「今年は野営訓練に参加したいの」

「野営訓練?!学校にそんな訓練があるのか?!」

「違うわ。エルフの里」

「またエルフの里か…」


カーティスはオリーブからエルフの里と言う言葉を聞き、複雑な表情をしました。


「エルフの里でね、毎年夏に野営訓練があって、今年はそれに参加したいの」

「そんな危険な訓練、ダメに決まってるだろ」

「そういうと思って今まで言わなかったの。長老さんもちゃんと親の許可がなきゃダメって言うし。でももう私も初等部に入ったから、今年は出たいの!」

「ダメだ!」

「父様はいつもダメしか言わない!」

「オリーブ。お前はまだ小さいんだ」

「じゃあ、どうして私に剣を教えてくれたの?強くなってほしかったんじゃないの?」

「それは…、だな…」

「私は強くなりたいの。カインも剣をはじめたし、負けられないの」

「カインは男の子だからいいんだ」

「男の子なら何でいいの?」

「それはだな…」

「どうして男の子はよくて、女の子はダメなの!」


すると側で話を聞いていた宰相のヒューストンが話しかけてきました。

(※執務室にはカーティスとその傍らにヒューストンがいた)


「カーティス、男の子だからいいとは筋が通らないぞ」

「いや、しかしだな…」

「エルフの里の者はオリーブ様を可愛がっているんだろ?」

「今の所は…」

「お前そろそろ子離れしろよ、カーティス」

「それとこれとは話が違うじゃないか」

「ナディア様も言っていたが、エルフの首長はオリーブ様に沢山の事を教えてるそうじゃないか」

「まぁ、そのようだが…」

「その野営訓練とやらも、いい経験になるんじゃないのか?」

「それはそうかもしれないが…、ナディアと話してから決める。オリーブは自分の部屋に戻りなさい」

「は~い」


オリーブはカーティスに言われ自身の部屋へと入りました。


その頃ナディアに泣きついたカーティスは「オリーブの好きにさせてあげなさい」と言われなくなく承諾しました。



そして待ちに待った夏休み、野営訓練の日がやってきました。


朝早くからオリーブはエルフの里へと向かい、今はロニセラ、ネリネ、リコリなどエルフの者達と一緒に訓練所でヘデラの話を聞いています。


「今から野営訓練へ行く者は各自荷物を背負い、出発するのじゃ」


野営訓練は一泊2日の工程で行い、ネリネ、リコリも参加します。もちろんロニセラもです。


そしてヘデラは皆に話したあとオリーブにだけ話しかけました。


「オリーブは今日と明日の訓練が終わるまで、精霊女王と精霊獣の力を使ってはダメじゃ。自分の力だけで乗り越えるのじゃ。それがお主の今回の課題じゃ」

「分かりました。長老さん」

「何かあったら私に任せなさい、オリーブ」

「うん、任せてオリーブ」

「ありがとう2人共」

「オリーブ、今日はずっと一緒ね」

「一緒だね」

「えぇそうね、ずっと一緒ね」


側で聞いていたネリネ、リコリがオリーブに今日は一緒だと楽しげに話しかけました。


「お前ら、さっさと出発するぞ」

「待って〜、ロニセラ〜」

「ちょっと待って〜」

「待って下さ〜い」


ロニセラはそう3人に話し掛けると、さっさと出発して行ってしまい3人は慌てて後をついていきました。


訓練に参加するものは合計で20人。

まずは50キロ先の宿営地まで大きな荷物を背負い歩いて行きます。

途中で休憩を挟みながら宿営地まで、ただひたすら皆で歩きます。


そして宿営地ヘ到着すると、今度は背負ってきたテントを設置し炊事の準備をしてから皆で食べます。


その後、後片付けをし少し早いですがテントで就寝。


オリーブはネリネ、リコリ、そしてロニセラと同じテントで寝ました。

(※オリーブ達が寝たテントはロニセラが背負ってきた)


順番は左からはロニセラ、ネリネ、リコリ、オリーブです。

皆疲れていたのかそれぞれ寝袋へ入ると、すぐに眠ってしまいました。


『オリーブが双子で遠い…』


1番端のオリーブの方を見ながら、密かにロニセラがそう思っていたことは皆さん内緒ですよ☆


そして夜、ここからが本番です。夜間戦闘に入ります。

翌日の朝の日の出まで、4人一組の5チームに別れ夜襲ありの実戦訓練です。


怪我をしても回復ポーションがあるので問題ありません。


もちろんオリーブのチームはネリネ、リコリそしてロニセラです。


皆で茂みに隠れながらオリーブは呟きました。


「あぁ、こんなことしてるって父様にもしバレたら、何て言われるかしら」

「オリーブのお父さんそんなに厳しいの?」

「厳しいと言うか、何というか…」

「オリーブはリコリが守ってあげる」

「ありがとう、リコリ」

「私も守るわオリーブ」

「ネリネもありがとう!」


すると突然ロニセラがオリーブの背中を軽く小突き、オリーブが少し怒って言いました。


「何するのよ、ロニセラ」

「俺にも頼れ」

「分かった、ありがとう」

「分かればいい」


「ロニセラってもしかしてオリーブの事…(笑)」

「こんな時にお姉ちゃんたらっ、でも…(笑)」


エルフの双子が顔を見合わせヒソヒソ言いながら笑い合っていた時、ロニセラが真剣な顔になり言いました。


「お前ら警戒しろ、敵が来てる」


オリーブ達はすぐに後から夜襲にあい戦闘に入りました。


その後も何度も夜襲や戦闘になりながら何とか耐え、そして朝日が昇り大変な夜間戦闘が終わりました。


その後、設置したテントを片付け荷物を背負いまた来た道を帰ろうとしましたが、ロニセラは今夜も別のチームと組み夜間戦闘に参加するとのことで、オリーブ達3人と別れロニセラは宿営地へ残りました。


オリーブ達を交ぜ里へ帰る組の人達、合計10人で里を目指し歩き出しました。


『オリーブにだけは、ぜってぇ負けらんねぇ』


帰っていくオリーブの背中を見ながら、ロニセラはそう思っていました。


オリーブ達が里へ到着したのは日が沈む少し前でした。


疲れ切ったボロボロの状態でそのまま帰ろうとしたオリーブをネリネとリコリが止め、2人に怒られながら汚れた顔を拭き髪を整え、王女オリーブに見えるようキチンと戻しオリーブは帰りました。


城につくとオリーブはすぐにお風呂に入り、余程疲れていたのかご飯も食べずにベッドに入るとあっという間に眠ってしまいました。

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