プロポーズ
オリビアが大聖堂へ帰った後、ブライアンはジュリアスを部屋へ呼びました。
「オリビアが君に渡してくれってさ」
ブライアンはジュリアスに、オリビアの作ったお菓子を手渡しました。
「本当に私に作ってきてくれたんですね、オリビア様」
「何か約束したとか言っていたぞ」
「えぇ、まぁ。オリビア様のお話は何だったのですか?」
「その話の前に、ジュリアス。お前の家は伯爵家だったな?」
「はい、そうです」
「ではレオナルドをこれから鍛えあげろ。そしてそれなりになったと思ったら報告してくれ」
「分かりました。ですがあまり時間はかからないかと」
「そんなにレオナルドはいいのか?」
「えぇ、素質があります」
それから数日後、レオナルドが大聖堂にオリビアに会いに訪れました。
「よっ、モルガ」
「あっ、レオナルドさん。オリビア様なら部屋にいますよ」
「分かった」
レオナルドはモルガにオリビアは部屋にいると言われ、宿舎の部屋へと向かいました。
『たまには、いきなり行って驚かしてやろう(笑)着替え中だったとしても、オリビアなら許してくれるだろーしな(笑)』
レオナルドはニヤつきながらオリビアの部屋の前まで行くと、ドアに片耳をつけ中の音を聞いてみました。
『静かだな、寝てるのか?なら寝顔にキスしてやる(笑)』
レオナルドはワクワクしながら、そ〜っとオリビアの部屋のドアを開け隙間から中を覗いてみました。
するとオリビアがソファーに座りながら、ボロボロ涙を流していました。
「どうした?!オリビア!」
驚いたレオナルドは、慌てて部屋の中に入りオリビアに近付きました。
「レオ…、何でここに…?(泣)」
レオナルドはソファーに座りながら、オリビアを抱き締めました。
「どうした?何があった?オリビア」
「レオ…、あのね…」
「うん?何した?」
「猫のレオが…、死んじゃったの…」
「はっ?猫?」
「これ…」
レオナルドはオリビアから少し体を離しオリビアの言った方向を見ると、テーブルの上には開いた本が置いてありました。
それを見たレオナルドはオリビアに聞きました。
「猫のレオって、その本に出てきたのか?」
「うん…、凄くいい子なの…。口が悪くて、ぶっきら棒なんだけど、とっても優しいの…。なのに病気なっちゃって…」
「あぁ…、そうか…」
「凄くレオにそっくりなの…」
「だから俺は猫じゃねぇ」
しばらく経ちオリビアは、すっかり泣き止みました。
「面白かった」
そう言いながらオリビアは、開いていた本を閉じました。
「あぁ、そう」
「またブライアンに借りてこよう」
「ブライアンと会ったのか?」
「あっ…」
「んっ?」
「うん、そうなの。本貸すって言ってたから借りてきた」
「へぇ、よくあいつオリビアに会ったな」
オリビアはまずいと思いましたが、本当の話をしながら何とかレオナルドを誤魔化しました。
嘘を付くとすぐにバレてしまうからです。
「なんか顔見たくなったって言ってた」
「ふ〜ん」
「何にもないからね?」
「分かってるよ、オリビアはそういうの器用じゃないって知ってる。いつも真っ直ぐだからな」
「それは褒めてるの?」
「褒めてるよ」
レオナルドは隣に座るオリビアを自身に抱き寄せました。
「レオ、キスして」
オリビアはレオナルドの目を見ながら言いました。
「あぁ、いっぱいしてやる」
レオナルドは可愛いことを言ってきたオリビアの頬に触れながら、深く口付けてきました。
角度を変えなかなか止めてくれないレオナルドに、オリビアは唇を離して言いました。
「もういいよ」
「オリビアから言ってきたんだから、もっとしてやる」
そう言うとレオナルドは再び深く口付けてきました。
唇を吸ったり舌を押し付けてきたりと、レオナルドはまた長くしてきました。
「オリビアの唇柔らかいな」
「もう、苦しいのに」
「何が?胸?」
「そっちじゃない」
「それなりにあるから苦しくなったのか?」
「そこまで大っきくない」
「正直だな」
「レオ」
「何だ?オリビア」
するとオリビアは微笑みながらレオナルドに言いました。
「騎士、このまま続けていいからね」
「はっ?何が?」
「何でもない」
「何がだ?言え」
「言わない」
「いいから言え、隠すな」
「まだ言わない」
「くすぐるぞ」
「えっ、やだ。キャー!やめて」
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そして数ヶ月が経ちオリビア達も17歳になった頃、ブライアンがレオナルドを呼び出しました。
「何だよ話って」
「いいから、そこに座れレオナルド」
「はぁ…」
レオナルドは宮殿のブライアンの部屋に招かれ、面倒くさいような表情をしながら向かい合わせに長椅子に座りました。
「オリビアの事を聞きたい」
「オリビアの事?」
「どう思っている?ちゃんと話せ」
「お前にはやらねーぞ、振られたんだろ?オリビアから聞いた」
「あぁ、振られたよ。『レオが好きだ』って言われた」
「ならもう話はねーだろ」
「違う、そうじゃない。これからどうしたいのかを聞いている」
「これから?」
「そうだ、これからだ」
レオナルドは一瞬、考える素振りを見せたあとに言いました。
「結婚しようとは思ってるけど」
「オリビアは聖女だ、結婚は出来ない。どうするんだ?」
「聖女をやめさせる。そんで2人でどっか行こうと思ってる」
「騎士はどうする?」
「辞めるしかねーだろうな。国に仕える騎士が、元だとしても聖女と結婚なんて出来ねーからな」
「そうか」
「さっきから何なんだ?ブライアン」
「オリビアはまだ何も言ってないんだな?レオナルド」
「はっ?何のことだ?」
「本当は話すなと言われたんだが…」
「何を?何かオリビア言ってたのか?俺との事」
「あぁ、そうだ」
「何て言ってたんだ?お前にオリビア、何を言った?」
レオナルドはオリビアがブライアンに自分との事を言っていた事に驚き、ブライアンはオリビアに悪いと思いながらも、自分が2人のために何か出来る事をしたいと思いレオナルドに話しました。
「自分をこのまま聖女として認めてほしいって言われた」
「このまま聖女として認めてほしい?」
「レオとの将来を真剣に考えている。きっとこのままだとレオは私のために騎士を辞めるかもしれない。だけど私はそんな事してほしくない。だからこのまま自分を聖女として扱えってな」
「…オリビア」
「認めなければ自分の力を封印すると脅されたよ。レオナルド」
「そんな…、オリビアそんなこと一言も…」
「愛されてるな、レオナルド。私なんて入る隙間もない」
「そういえば前に、このまま騎士を続けていいからって言った日があったな…」
「そこでだ、レオナルド。貴族になる気はあるか?」
「はっ?貴族?」
「聖女と暮らしていくならば、それなりの地位をお前にやらねばならないだろう」
「それでオリビアと暮らせるのか?」
「あぁ、そうだ。もちろん騎士も続けられる。どうする?」
そして2人が話をした日から数週間後、大聖堂へレオナルドが訪れオリビアを外に連れ出しました。
互いに庶民の服に着替え、手を繋ぎながら歩いていました。
「たまには、こういうのもいいだろ?」
「そうだね、いいかも」
「髪飾り付けたんだな?」
「うん、デートだって言うから付けたの」
「似合ってるな」
「ありがと。所でどこに行くの?」
「もう少しで着く」
「ここって…」
それは以前モルガやブライアンと共に訪れた川沿いでした。
「少し座ろう」
「うん」
レオナルドとオリビアはその場に隣同士に座り、オリビアは近くに咲いていたシロツメクサを1つ摘み手に取りました。
「ここでモルガと花冠作ったの懐かしい」
「そうだな。オリビア、ごめん」
「んっ?何が?レオ」
「この間ブライアンから聞いた、俺との事を言ってたって」
「えっ…、それって…」
「聖女としてこのまま扱えって言われたってブライアンが」
「ブライアン…、言わないでって言ったのに…」
「本当だったんだな」
「もしかして全部聞いたの?」
「全部かは知らないけど、俺に騎士を続けてほしい、だから自分を聖女として認めろって言ってたって。じゃなきゃ自分の力を封印するって脅されたって」
「全部レオに話したのね、ひどいわブライアン…、もう少し経ってから自分で言おうと思ってたのに…」
「オリビア俺は嬉しかった。俺のためにそこまで考えてくれたんだな」
「レオに騎士を辞めてほしくなかったの。せっかくここまで頑張ってきたのに、私のために辞めようとしてなかった?」
「あぁ、本当はもっと功績あげてから一緒になるつもりだった。だけどオリビアと通じ合ってから、すぐにでも一緒にいたくなった。だから辞めようか考えてた」
「やっぱり」
「それでだな、オリビア…」
「うん?」
するとレオナルドが少し気恥ずかしそうに話し出しました。
「ブライアンが俺に貴族にならないかって言ってきたんだ」
「貴族?レオが?」
「そうだ俺が貴族だ。どう思う?おかしいか?」
「レオが貴族でしょ?う〜ん、まぁ、想像はつかないかな」
「だよな。オリビア」
「んっ?」
するとレオナルドはオリビアの手を取り、少し改まった感じで目を見ながら言いました。
「俺と、一緒になろう」
オリビアは急に言われた予想外な言葉に驚き、レオナルドに聞き返しました。
「えっ?一緒って?」
「結婚しよう、それで一緒に王都に住もう」
「王都に住む?2人で?」
「ブライアンが聖女と暮らすなら、俺に貴族の爵位と王都に家をくれるって言うんだ」
「それ本当に?」
「あぁ、本当だ。そうすれば騎士も続けられる」
「じゃあこれから私、レオと一緒に暮らせるの?」
「そうだ、もちろんオリビアは聖女としてな」
「凄い!うん、もちろん一緒になる」
「オリビア、必ず幸せにする」
「うん」
レオナルドはオリビアを抱き寄せ、2人はキスをしました。




