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えっ、私がこの世界を守るの?  作者: 藤崎七奈
第三部 【不変と誠実】

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それぞれの心

「もしかして君も精霊を使うの?」


オリビアの手の中に何もない所から剣が現れましたのを見たタナーは、オリビアも精霊を使うのかと聞いてきました。


「えぇ、あなたと違って精霊を操って何かいないわ」

「へぇ〜、そこまで分かるんだ?」

「精霊の術を解く事も簡単ですよ?」

「嘘だね。術をかけた人しか、そんなこと出来ないね。てかさぁ〜、もしかしてその剣で俺を倒す気?」

「そのつもりだけど?」

「女の子を相手にするのは、流石にちょっと気が引けるな〜」

「それは倒してから言ってくれる?」

「そんなこと言っちゃっていいのかな?」


するとタナーはオリビアに斬りかかりましたが、オリビアはすぐに剣を出し防ぎました。


「あれ〜?不意打ち狙ったのにおかしいな」

「精霊早く使えば?身体強化しないの?すぐ疲れちゃうわよ?」

「そうだね。そうしようかな」

「あなたは精霊が見えるの?」

「あぁ、見えるよ」

「そう、なら良かった」

「どうして?」

「だって、それっぽちの精霊じゃ私には勝てないからよ。見たところ10人くらいしかいないようだし。それにさっきジュリアスさんと戦ったからか、あなたの精霊、少し元気ないわよ?大丈夫?そんなんで私とやれるの?」

「あぁ?何だって?(怒)君1人倒すくらい楽勝だけど?(怒)」


タナーはオリビアに挑発され怒りました。


「そう、ならよかった。でもその前に、あなた本当に精霊が見えるのよね?」

「見えるよ」

「なら、分からないの?私の回りの精霊達の数が」

「えっ…?」


タナーはオリビアに言われ、オリビアの回りにいる精霊達をよく見ました。


「まさかこれ全部、君の精霊なの…?」

「そうだと言ったらどうする?もう降参する?」

「嘘だ!そんなのありえない!!」


オリビアの回りにいた無数の数え切れないほどの精霊達に震え上がったタナーは、自分の精霊を使いながら本格的にオリビアに向かって行きました。


オリビアはまるで遊ぶように自然に動きながらタナーの攻撃をかわし、少しずつタナーの体に傷をつけていきました。


「はぁ、はぁ」

「もう終わり?全然大したことないのね。アナタの実力だと精霊がいなきゃ、きっと騎士の1人にも勝てないわよ?それで復讐なんてよく言える」


どうやらタナーはろくな戦闘訓練も受けておらず、すぐに息切れし疲れてしまいました。


「何で、どうして、精霊使ってるのに!」

「だから精霊の数があなたとじゃ違うのよ」

「クソっ!」

「でっ、その精霊どうやって手に入れたの?」

「うるさい!」


その後もオリビアはタナーの攻撃を交わしながら、本当に少しずつタナーに傷を付けていきました。


「イグナシオ王国からその精霊もらったの?」

「知らない!」

「イグナシオ王国には精霊を操る人がいるの?」

「言うわけねーだろ!」

「さっさと答えたら?次はどこに傷をつけようか」

「幻覚も使えないし、お前何なんだ!」

「ただの聖女だけど?」

「聖女がこんなに強いのかよ!」

「全然質問に答えないわね、もう少し痛めつけなきゃダメかな」


オリビアはそう言うと、両手両足(※四肢)を切り落とされる幻覚をタナーにかけました。


「ギャーー!!!」


タナーは急にかけられた幻覚に、恐怖のあまり地面に転がりました。


オリビアは持っていた精霊の剣を解き、その場にしゃがみながらタナーに話しかけました。


「うるさいわね、治してほしい?」

「はい!お願いします!」

「なら、この精霊どこで手に入れたの?」

「イグナシオ王国です!」

「やっぱりね」


『ブライアン、終わったわ。幻覚かけたから、こちらの言うこと聞くと思うわ』

『分かった、ありがとうオリビア。幻覚は、かけたままにしてて大丈夫?』

『問題ないわ。解いたらまた抜け出して何かするかもしれないから、このままかけといてあげる』

『それは助かる』


オリビアはブライアンに精霊を使いそう報告し、タナーの使っていた精霊達の術を解き、その場を去ろうと立ち上がりました。


するとオリビアの体に横から『ふわっ』っと何かがかけられました。


「ジュリアスさん」

「その格好では寒いですよ、オリビア様」

「ありがとうございます」


ジュリアスはタナーが地面に転がったのを見ると、戦況を読み終わったと判断しオリビアの所へすぐに近付き、自身の白いマントをオリビアにかけてあげました。


「怪我は大丈夫ですか?ジュリアスさん」

「はい、もうすっかり」

「なら良かったです」

『私が皆んなを治しておいたわ』

「エルリアありがとう」

「オリビア様、先程からエルリアとは何の事ですか?」


ジュリアスはオリビアの言う「エルリア」と言う言葉は何なのか不思議に思い、聞いてきました。


「あぁ〜、天使です。皆んなの怪我を治したのはこの子なんです」

「そうなんですね、天使様ありがとうございます」



その後オリビアはブライアンに宮殿へ連れて行かれ、ドレスに着替えさせられていました。


「よく似合っているよ、とても綺麗だ。オリビア」

「ありがとう、でもなぜ私にドレス着せるの?」

「あんな格好のまま帰せないからだよ」

「そうなんだ…」

「全く自分の服を破るなんて、少しは周りの目を気にしなきゃダメだろ」

「あぁ、はい…、すみません…」

「君の足を何人の男が見たと思ってるの?」

「足くらい別に…」

「足くらい?」

「いえ、何でもないです」

「せっかくだから宮殿の中をそのまま歩こうか?案内してあげる」

「はい」


ブライアンはオリビアをエスコートしながら、宮殿の中庭へ連れてきました。


「まぁ、素敵な所ね」

「気に入ってもらえて良かった」

「でも私がこんな所まで来てもいいのかしら?」

「いいんだよ、オリビア」


すると突然ブライアンはオリビアを後ろから抱き締めてきました。


「ブライアン?」

「オリビア、私じゃダメか?とても好きなんだ。オリビア」


オリビアは急なことで驚きましたが、自分の気持ちをハッキリ言うべきだと思い、ブライアンに言いました。


「…ごめんなさい、ブライアン。私はレオが好きなの」

「そうか…、すまなかった…」


ブライアンはショックを受けすぐにオリビアを離しました。


離されたオリビアは振り返りブライアンの顔を見上げました。


「でもブライアンの事も凄く大事だと思ってるわ。それだけは分かって?」

「いいよ、そんな気休め」

「えっ…」

「そろそろ帰った方がいい。モルガが心配する」

「ブライアン、本当に私はあなたの事も大事だと思ってるわ。本当よ?」

「大事と好きは違うんだろ?」


少し思い詰めたいつもと様子の違うブライアンにオリビアは戸惑いましたが、曖昧にするのは良くないと思い言いました。


「…違うわ」

「分かったよ。ジュリアスに送らせる。その服はあげるから、気を付けて帰って」

「ブライアン…」


その後オリビアは馬車へ乗り込み大聖堂へと帰りました。


「オリビア様どうかなさいましたか?ご気分でも悪くしましたか?」

「いえ、大丈夫です…」


帰りの馬車の中、目の前に座るどこか暗い表情のオリビアに気付いたジュリアスが、話しかけてきました。


「今日の事で疲れてしまわれたのですね?今日はゆっくりお休みになって下さい」

「違うんです…」

「他に何かあるのですか?」

「先程ブライアンをとても傷付けてしまいました。もう私とは会ってくれないかもしれません…」

「そうですか…」


『こんなに綺麗に着飾った悲しげなオリビア様、うん、なかなか悪くない…。いやいや、ダメだそんなこと考えちゃ』


勘のいいジュリアスは、ブライアンがとうとうオリビアへ気持ちを伝えオリビアがそれを断り、そして優しいオリビアはブライアンを傷付けたと思い、胸を痛ませているんだとすぐに気付きました。


大聖堂へとオリビアが帰ると、さっそく待っていたかのようにモルガが出迎えました。


「オリビア様!どうしたんですか、その格好?!」

「うん、ブライアンがね…」

「本物のお姫様見たい…!」

「ありがとう、モルガ」


「オリビア様、私はこれで失礼します」

「送っていただいき、ありがとうございました。ジュリアスさん」


2人で見つめ合いながら言葉をかわすジュリアスとオリビアを見ながら、モルガは思っていました。


『まるで本物のお姫様と騎士ナイト見たい…、素敵〜!ヤっバい、妄想で鼻血出そう…、これで3日は食える!』


「ごちそうさまです!」


「えっ?」(オリビア)

「はっ?」(ジュリアス)


「ヤベっ、声に出でた…、あはは(汗)」


その後オリビアは自室に入り、そのままの状態で何もせず、ただベッドの上に座り込んでいました。


ブライアンをうまく傷付けないよう、もっと何か言えなかったのかと、そんな事をオリビアは思っていました。


どれぐらいその状態でいたのかも分からないまま時間が流れ、すると部屋のドアをノックする音が聞こえてきました。


「はい」


オリビアはベッドから下り部屋のドアを開けると、何と目の前にはレオナルドが立っていました。


「えっ、レオどうしたの?」

「オリビア、何か急に休みなったから来たんだけど…」

「んっ?もしもし?聞こえてる?」


レオナルドはオリビアの格好を見るなり、凝視したまま固まってしまいました。


「その、格好は、何だ…?」

「えっ?あぁ、これ?ブライアンがくれたの。髪型もセットしてもらった。どう?似合う?」


オリビアはそう言うと、その場で一周して見せました。


「似合う…(照)」

「そう、なら良かった。入って」

「あっ、あぁ」


2人で部屋の中のソファーへ腰掛けると、オリビアがある事に気付きました。


「んっ?レオ、ネックレス貸して」

「えっ?あぁ」

「私の加護が消えてるから、もう1回やってあげる」


レオナルドはネックレスを外しながら言いました。


「今日オリビアの分身が俺の前に出てきた、だから消えたのかもしれない」

「そう、きっとレオを守ろうとしたのね」

「だと思う、傷が深くなかったのはそのおかげだ」


オリビアはレオナルドからネックレスを受け取ると、目を閉じ唱えました。


「女神のご加護を」


「はい」

「ありがとう」


レオナルドは加護をしてもらったネックレスをオリビアから受け取り、首に付けるとオリビアの目を見て言いました。


「オリビア綺麗だよ、よく似合ってる」

「あっ、ありがとう…」

「ブライアンにさせられたのは気に食わないけどな」

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