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えっ、私がこの世界を守るの?  作者: 藤崎七奈
第三部 【不変と誠実】

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復讐

オリビアがブライアンと会い楽しく過ごしていた一方、レオナルドに取り押さえられ宮殿の牢獄にいたタナーは、ふつふつと怒りを燃やしていました。


『何で俺が牢なんかにいるんだ…。くそっ!お願いだ、もう一度、もう一度だけでいい。俺に精霊の力を貸してくれて!絶対に聖女を手に入れる!俺をこんな所に閉じ込めたあいつらに復讐する!その力さえあれば、必ず聖女を手に入れる!お願いだ!』


『本当か?本当に復讐を果たしたら聖女を手に入れるか?』


『あぁ、もちろんだ!サピロス何かいらねー!俺が王になったらイグナシオにくれてやる!だからもう一度だけ力を!』


『まぁ、良いだろう。お前の事は利用だけさせてもらう。だがこれで最後だ。もう次はない』


『あぁ、分かった。これでこの国は俺の物だ!』


タナーは密かにイグナシオ王国の手を借り、レオナルドなど自分を捕らえた騎士達に復讐を果たそうとしていました。


そしてそんなタナーの不穏な動きを、ジュリアスは敏感に感じ取っていました。



__________________



そんなことが裏で起こっているとは知らないブライアンとオリビアは、長い椅子に隣同士に座り2人仲良くお喋りしていました。

(※ブライアンがオリビアの隣に座ってきた)


「オリビア、この本面白いから読んでみて?」

「本当?どんな内容なの?」

「それは読んでからのお楽しみだよ」

「うん、分かった。じゃあ借りて行くわね」

「もしかしたら泣いちゃうかも」

「えっ、そう言う感動的なものなの?」

「うん、そうなんだ」

「分かったわ、ちゃんと読むわ。ブライアン元気そうで安心したわ」


オリビアは隣に座るブライアンの顔を見ながら言いました。


「オリビアに顔色チェックするって言われたからね」

「なら、次もチェックするからね」

「は〜い」

「なんだかブライアンの顔を見ると、落ち着くわ」

「そうなの?」

「えぇ、とっても優しい気持ちになれる。ブライアンって人を魅了する力があるわよね」

「それはオリビアの方だと思うけれど?」

「そんな事ないわ。何となくブライアンが王になる事は、既に決まっていた事だっんだなって最近思ったの」

「それは言い過ぎだよ、オリビア」

「ううん、そんな事ない。私達が出逢ったのもきっと偶然じゃないわ」

「あぁ、それは一理あるね。私もそれは思っていた」

「私このままだとブライアンの奥さんになる人に、物凄〜く嫉妬されそうで怖いわ。だからと言って会うなと言われても何だか寂しいし、どうしたらいいのかしらね」

「だったら私の側にいればいいんだよ。そしたら何も悩まなくてすむだろ?」

「側に?無理無理、私には無理よ」

「王妃になる気にまだなれないの?オリビア」

「無理よ、王妃なんて。私そんな器じゃないわ」


オリビアはブライアンに自分の妃、つまり王妃になってと言われていました。


オリビアはそれが冗談だと思い、毎回軽く受け流していました。


「まだ時間がかかるか…。その本読んだらまたすぐ来て?オリビア」

「えっ?うん、それは別にいいけれど」

「絶対だよ?」

「分かったわ」

「よし、オリビアを王妃に大作戦だ」

「何それ(笑)あっ、嫉妬されない人、1人いたわ」

「まさかモルガ?」

「そう!」

「ない、絶対にない。私は無理」

「そうかしら?いいと思ったのにな」

「普通に考えれば、モルガが嫉妬しないわけないよ。忘れたの?窓から飛び降りようとした事?」

「確かに、それもそうね。なんなら1番発狂するかもしれないわね(笑)」

「そうだね(笑)」

「きっとモルガ、今頃くしゃみしてるわよ(笑)」

「それは間違いないね(笑)」


ブライアンと久しぶりにたくさん話をし、オリビアがそろそろ大聖堂へ帰ろうかと思っていたその時でした。


『ドクン!』


突然オリビアの心臓が大きな音を立てて鳴りました。


「レオ…?」

「どうしたのオリビア?レオナルドが何?」


急に顔色を変え様子のおかしくなったオリビアに、ブライアンが心配そうに声をかけました。


「ブライアン…、嫌な予感がする…」

「えっ…?」

「早くクリスタルの騎士団に行かなきゃ!」

「落ち着いてオリビア、一緒に行こう」

「えぇ」

「まだ何も起きてないかもしれないし」

「そうね、でもレオが倒れたのが見えた気がしたの…」

「まだ分からないよ。とにかく急ごう」


オリビアが嫌な予感がすると言うので、ブライアンと2人急ぎクリスタルの騎士団が普段いる場所へ急いで行きました。


クリスタルの騎士団は王族を守るという義務があるため、宮殿のすぐ近くに団の拠点はあります。


2人がクリスタルの騎士団の拠点へと着くと、既にたくさんの騎士が倒れていました。


「いったい何が起こっている…」


ブライアンが立ち止まり愕然としていると、オリビアが近くで叫びました。


「レオ!」


オリビアはレオナルドを見つけると、すぐに側へ駆け寄り屈みました。


レオナルドは怪我をしながら側にあった木に、もたれかかっていました。


「どうしたの?何があったの?」

「オリビア…、宮殿に来てたのか…?」

「うん、ブライアンに会いに来てた」

「そうか…」


ブライアンもレオナルドの側に近付き、屈み声をかけました。


「レオナルド、何があったのか話せ!」

「俺にもよく分かんねーよ…、この間捕まえた奴が突然現れたんだ…」

「この間?精霊使ってた人?」

「精霊とかよく分かんねーけど…、たぶんそいつだ…」


それを聞いたオリビアはブライアンに話しかけました。


「ブライアン、その人って牢に入ってたのよね?」

「そうだ、入っていた。もしかしたら、また抜け出したのかもしれない」

「でも私その人が使ってた精霊の術を解いてあげたの。だから精霊はいないはずよ。なのに何で…」

「やっぱオリビア…、あの時近くにいたのか…」

「もうそんな話、今はどうでもいいでしょ!でっ、その人は今どこ?レオ」

「あそこだ。今ジュリアスさんが相手してる…、だけどいつまで持つか…」


レオナルドはオリビアに聞かれ、指を差して教えました。


「ブライアン、レオをお願い」

「分かった、だけど気を付けるんだよ。オリビア」

「分かってる」

「レオナルドを治療したらすぐに行くから、それまで無茶しないようにね」

「それはその時によるわ」


レオナルドの言った方向にオリビアが行くと、そう遠くない距離にジュリアスが1人例の男と剣で戦っていました。


『また精霊を操ってる。一体どう言うこと?』

『すぐに術を解いてあげるね』

『待って!エルリア!』

『どうしたの?オリビア』

『術は解かないで』

『分かったわ。何か考えがあるのね』

『えぇ』


オリビアがエルリアと心の中でそんな事を話していると、ジュリアスが男にふっ飛ばされこちらへの方向へ転がってきました。


オリビアは慌ててジュリアスを受け止め、声をかけました。


「大丈夫ですか?ジュリアスさん」

「オリビア様…、恥ずかしい所を見られてしまいました…」

「いいえ、ジュリアスさんはとても強いです。精霊を相手にここまでやるなんて」

「彼は精霊を使っているのですか…?」

「はい、だからとても強いんです。精霊の力を操り身体強化してるんです。なので体力の消耗も遅いんです」

「そうですか、それは強いはずです…」

「後は私はやります。ジュリアスさんは休んでいて下さい」

「いえ、聖女のあなたにそのような事はさせられません…」

「いいんです、たまには頼ってください。それに精霊を使っているなら私にしか相手が出来ないと思いますし」

「しかし…」

「私頭にきてるんです。皆んなをこんなに怪我させて…」


オリビアはジュリアスを、その場にゆっくりと横に寝せました。


「本当なら精霊を操っている術を解けば簡単なんですけど、それじゃあすぐに終わっちゃうので、私が少しずついたぶってあげます」

「オリビア様…」


オリビアはその場で着ていた上着を脱ぎ、半袖姿になりました。


そして履いていたロングスカートの裾を、太ももまで破りスリットを入れました。


「何をしているのですか?」

「今日は動きにくい格好できちゃったので、破いてるんです」

「そこまでしなくても…」

「服なんていっぱいあるのです大丈夫です。エルリアは皆んなの治療してて」

『分かったわ。オリビアのお手並み拝見ね』


長い髪を後で軽く束ねオリビアは立ち上がり、レオナルドの方を一度見たあと例の男タナー下へ近付いていきました。


(※レオナルドにもオリビアのあげた精霊が沢山いますが、まだまだ実力不足で使いこなせていません)


男は近付いてきたオリビアに気付くと、さっそく声をかけてきました。


「あれ〜?君ってもしかして聖女様?」

「えぇ、初めまして聖女のオリビアと申します」

「俺はタナー、君の夫になる人だよ」


「あっ?」(レオナルド)

「えっ?」(ブライアン)

「はっ?」(ジュリアス)


するとそれを聞いていたレオナルド、ブライアン、ジュリアスがそれぞれ声を出しました。


「何だかいろんな所から声がした気がするな。君ってモテるんだね。ますます手に入れたくなったよ」

「そうですか。ところで何故こんな事を?」

「なぜって復讐だよ。俺を捕まえた奴らにね」

「なら、もう終わりましたよね?」

「復讐はね」

「他にも何か?」

「だから君を手に入れるんだよ。さっきも言ったろ?」

「あぁ、そう…」


『精霊さん、剣になって』


オリビアは精霊に頼みその場で剣を作り、手の中に収めました。

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