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えっ、私がこの世界を守るの?  作者: 藤崎七奈
第三部 【不変と誠実】

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通じ合った想い

「陛下、奴を街中で見かけました」

「なに?!でっ、捕らえたか?」

「いえ、逃げられました…。申し訳ございません」

「そうか、お前も非番なのにわざわざご苦労だった」


ジュリアスはオリビアと別れたあとすぐに宮殿へ向かい、ブライアンへ報告しました。


「オリビア様と街中で会い、彼女が奴を見つけました」

「オリビアが街に?そうか」

「1人でいたので、もしかしたら何かを感じ取り街にいたのかもしれません」

「そうかもしれないな。念のためオリビアの周辺に警備を配置しろ。彼女は1人で無茶をしかねない」

「承知」


そしてオリビアも大聖堂の自室へと戻り、今日の出来事をエルリアと話していました。


『あの人、私を見てた?』

『そんな感じだったわね』

『何だか気味が悪い目をしてたわ』

『そうね、気を付けた方がいいかもしれないわね』

『ん?何か人の気配がする』


オリビアは近くに人の気配を感じ、窓際に行き外を見渡しました。


『ブライアンがオリビアに何かしたのかもね』

『きっと今日の事で私に何かあると思ったのね』

『きっと、そうね』

『これであの変な人、私に近寄れなくなったかも知れないし、まぁいいわ』


そうこれでオリビアに近寄れなくなった謎の男は、標的をレオナルドへと向けていきました。


『聖女に警備がついて近寄れなくなったな…。近くで見たいが、まぁいい精霊だけつけておこう。それにしても便利だな精霊ってのは。精霊に術をかけるとか、イグナシオ王国はすげーぜ。サピロスを奪った聖女を捕まえたら俺をこの国の王にしてくれるとか、ヒヒヒこの術があれば聖女なんてイチコロだ。待ってろ必ず俺の手に落としてやるからな(笑)だがその前に聖女に近付く邪魔な奴がいたな。まずはそいつからだ』



翌日、レオナルドがオリビアの下を訪れようと騎士団の宿舎を出ると、例の男に遭遇しました。


「聖女に近付いてんのはお前だよな?」

「はっ?誰だお前?」

「俺に聖女よこせ、よこすなら何もしない」

「やるわけねーだろ、てめぇはアホか」

「そうか、なら死ね!」


男がそう言った次の瞬間、レオナルドの目の前になぜかオリビアが現れました。


「オリビア!何でここに!」

「私あんたの事ずっと邪魔だったの」

「えっ?」

「小さい頃からベタベタ私の側にくっついて来て、正直うっとうしかった。もう消えてくんない?」

「何を言ってるんだオリビア?!」


レオナルドは思わず声を荒げて言いました。


「ほらっ、すぐそうやって強引に何でもやろうとする。もう本当アンタにはうんざり」

「オリ…、ビア…?(汗)」

「だから私この人と一緒になる。ねっ?タナー様」


レオナルドの前に現れたオリビアはタナーと言う男の側に行くと、肩に手を置きながら頬にキスをしました。


「あぁ、聖女様」

「そんな…」


オリビアはタナーと言う男の腕に自分の腕を絡ませ、肩に頭を乗せました。


それを目の当たりにしたレオナルドはショックのあまり、その場に崩れ落ちました。


『レオ、しっかりして』


するとネックレスの中にいたオリビアの分身が現れ、レオナルドの肩に手を置きながら話しかけました。

(※分身のオリビアはレオナルドにしか見えない)


『私があんな事を言うと思う?』

「えっ…」

『ほらっ、よく見て。レオが1番、私を誰よりも分かってるんじゃないの?あれは本当に私?レオが知ってるのは本当にあのオリビア?』


するとレオナルドは分身のオリビアが触れている肩に自分も手を置きながら立ち上り、目の前のオリビアの方をよく見ました。


「見た目は似ているがオリビアはそんなこと言わない!お前はオリビアじゃない!」

『正解、これは幻覚よ』


そう言うとオリビアの分身は姿を消しました。


「俺に幻覚を見せたな!」

「なぜ分かった?」

「ふん、お前と違って俺はオリビアと繋がってるからだ!」

「くっそ…、ならこれはどうだ!」

「何だこれ…」


今度は目の前に謎の男、タナーが数十人現れました。


「また幻覚か!」

「だがこれは本物を当てるまで、お前を攻撃するぞ?」

「ならば切るまで」


レオナルドは腰に下げていた剣を取り出し、構えると切りはじめました。


その頃オリビアにもレオナルドの状況が、精霊により伝わっていました。


「ブライアン!大変!」

「オリビア?」

「あの例の男がレオの前に現れたわ!場所はジェイドの騎士団近く!」

「分かった!」


オリビアは急いで精霊を使いブライアンへ伝えました。


『エルリア、私って姿を消せる?』

『もちろん。何をする気?』

『レオを援護するわ』

『オッケ〜、なら行くわよ!』

『えぇ!』


オリビアは念のため変装をし姿を消しながら、レオナルドの近くにエルリアの力で瞬間移動しました。

(※瞬間移動はかなりの魔力を消費するため、普段はやりません)


オリビアはレオナルドを見つけると、すぐに近くにあった木の上に移動し状況を確認しました。


『レオ苦戦してるわ。数が多いのね』

『あの偽物の中に本物がいるみたい』

『ならその偽物の数を減らしてあげる。精霊さん弓になって』


オリビアは精霊に頼みその場で弓を作りました。


『えっと、偽物は…、あれね』


さっそくオリビアは弓を構え偽物を矢で刺しました。


レオナルドも何かに気付きこちら側を見ましたが、姿を消しているオリビアを見つけれずすぐに前に向き直りました。


『きっとそろそろ誰かクリスタルの人がくるはず。レオ、それまで頑張って。私も手伝うわ』


オリビアはそう思いながらレオナルドを手伝い、何十本か弓で射った所で偽物はいなくなり、1人だけが残されました。


『本物はあいつね。ねぇ、エルリア。あの人の精霊なんか変じゃない?』

『術で操ってるみたいね』

『精霊を操ってるの?』

『そうみたい、どうする?』

『もちろん、術を解くわ』

『そうこなくっちゃ!後は任せんしゃい!』


エルリアはすぐに精霊達を操っていた術を解きました。


術を解かれた精霊達は、いっせいに何処かへと皆飛んでってしまいました。


『これでもうアイツは何も出来ないわ。後はやっちゃってレオ。本当は最後まで見たいけど見つかったら面倒だし、帰りましょ?エルリア』

『えぇ〜!最後まで見ないの〜?』

『早く帰るわ。姿消してるから魔力もなくなりそうだし』

『はいはい分かりましたよ』


オリビアが大聖堂へ戻ったあと、精霊達がいなくなり何も出来なくなってしまった男をレオナルドが取り押さえ、その後に駆け付けたジュリアス達により、男は宮殿の地下の牢獄へと戻されました。


そしてレオナルドはこの功績とジュリアスの推薦により、何とクリスタルへと昇進しました。


「なっ、あれオリビアだろ?」

「んっ?何が?」

「とぼけても無駄だ、あの弓の射り方はオリビアだった」

「さぁ?何のこと?」


数週間後、大聖堂のオリビアの部屋にレオナルドが来ていました。


「俺を助けに来たんだろ?」

「レオが全て片付けたんでしょ?凄いじゃない」

「その口いつか割らせてやるからな」

「あっ、そうだ。ネックレスちょっと貸して?」

「話そらすな。ネックレスは渡さない。これは俺の物だ」

「分かってるわよ、すぐに返すから」


オリビアは棚の方へ移動すると何かを取り出し、またソファーに座っていたレオナルドの方へ戻ってきました。


「すぐ返せよ」

「分かってるって」


オリビアはレオナルドからネックレスを受け取ると、手を重ねながら合わせ目を閉じました。


「精霊の恵みを…」


そう唱えたオリビアの回りが一瞬だけ白く光りました。


「よし、上手くいった」

「何をした?何か光ったぞ」


オリビアは目を開け持っていたネックレスを一度確認し、レオナルドの隣に座るとネックレスを付けてあげました。


「私の誕生石、タンザナイトを付けたの」

「えっ?タンザナイト?」

「これよ」


オリビアが指を差した先には、ネックレスの下の先の方に宝石が埋め込まれていました。


「これがオリビアの誕生石?」

「そう。レオの事だから自分の誕生石よりも、私の誕生石の方が喜ぶんじゃないかと思って。色味もこっちの方がレオ好きだと思うし」

「あぁ、その方が嬉しい」

「ついでに精霊の恵みも施しといたから、これからもっと強くなるわ。私からレオへ、クリスタル昇進のお祝い」

「ありがとオリビア、すげー嬉しい」

「喜んでもらえて良かった」

「あのな、オリビア」

「なにレオ?」


するとレオナルドが改まった感じで話し出しました。


「あの時、一瞬だけオリビアを疑った。俺を遠ざけようとした偽物のオリビアが本物に見えた、ごめん」

「でもそれは幻覚だったんでしょ?なら別にそれは気にすることないわ」

「あぁ、すぐにこのネックレスの中のオリビアが現れて、俺に言ってくれたんだ。本当にあれはオリビアかって」

「そう、私の分身、役にたってるのね」

「あんま姿は見せてくれないけどな」

「いいわよ、あんまり姿見せなくて」

「いや、俺はもっと分身でもいいから会いたい」

「そっ」

「なんだ妬いてるのか?」

「妬いてない」

「自分に妬くのかよ、オリビアは(笑)」

「うるさい」


少し拗ねてしまったオリビアの肩を、レオナルドは自身に抱き寄せながら話しかけました。


「俺はお前しか見てないって言ってるだろ?」

「うん、そうだね」

「お前も俺しか見てねーよな。最近そう思うわ」

「……(照)」

「顔真っ赤だぞ」

「そんな事…、ないもん…」

「そんな赤い顔じゃ説得力ねーぞ」

「好き」

「えっ?今なんて言った?なっ?オリビア?」

「知らない、分かんない、覚えてない」

「オリビア、俺は好きだ。オリビアは?」

「…好きです(照)」


照れたように好きだと言ったオリビアに、レオナルドは肩を抱いている手とは逆の手でオリビアの頬に手を添え、優しくキスをしました。


「俺でいいの?」

「うん」

「一生離さねぇよ?」

「うん、いい。レオがいい」

「やっと言ったな、たくっ。お前がどんだけ今後嫌がっても、もう離さないからな?」

「大丈夫。離れないから」

「オリビアはいちいち言う事も可愛いな」

「わぁっ!」


レオナルドはオリビアを自身の膝の上に横向きで座らせました。


「もっかい俺が好きだって言え」

「さっき言ったじゃん…」

「いいからもう1回」

「もう恥ずかしいから言わない」

「じゃあキスして」

「えっ?」

「オリビアからキスして」


オリビアはレオナルドにキスをしました。

それはとても甘いとろけるようなキスでした。


その夜、いつものように2人でベッドで寝ていると、レオナルドはまたあの不思議な白い空間にいました。


* * *


そこにはオリビアだけではなく、無数の小さな何かが飛んでいました。


『オリビア、こいつらなんだ?』

『これは精霊よ』

『精霊?』

『そのネックレスの宝石に、沢山の精霊が宿ったの』


オリビアはレオナルドの付けていたネックレスを指差しました。


『宝石に精霊?』

『そうよ、だからこれからは私とこの子達がレオを守るわ。私が防御、精霊達は身体強化よ』

『そうか、また会いに来てもいいか?オリビア』

『ダ〜メ』


* * *


レオナルドは目を覚まし、隣で眠っている愛しいオリビアを抱き寄せました。


「やっぱ本物が1番いいな」


レオナルドはそう呟くと、そのまま眠りへと再び入っていきました。


「いでっ!」

「ん〜…、レオどうかした?」

「オリビア頭ぶつけてくるな」

「そんなことしてない」

「この石頭が」


翌朝レオナルドはまたオリビアと頭がぶつかり、痛いと言い自分の頭を抱えていました。


「レオが自分でぶつけてくるんでしょ」

「本気で頭突きされたら、俺負けるな…」

「ふふっ、1個レオに勝てるの見つけちゃった(笑)」

「やべっ、余計なこと言ったな…」

「おはようレオ」

「あぁ、おはようオリビア」


2人の甘い朝が開けようとしていました。

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