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えっ、私がこの世界を守るの?  作者: 藤崎七奈
第三部 【不変と誠実】

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謎の精霊

「それは男か?モルガ」


オリビアの部屋に来たモルガがオリビアにお客さんが来ていると言い、それを近くで聞いていたレオナルドがモルガに言いました。


「いいえ、綺麗な女性です。ミスティと言えば分かると」

「それは本当に?本当にミスティって言ったの?モルガ」

「はい、そうですけど?」


モルガから名を聞いたオリビアは慌てて部屋を出ると、大聖堂の入り口にいた女性に近付き声をかけました。


「姉さん!」

「オリビア!」


オリビアを訪ねてきたのは、姉のミスティでした。

2人は抱き合いながら、再会を喜びあいました。


「オリビア、しばらく見ない間に綺麗になったわね」

「姉さんこそ、相変わらず綺麗よ」

「オリビア」

「姉さん」


2人は笑い合いながら、しばらく額をくっつけていました。


「姉さん、どうしてここへ?」

「母さんに買い物やらいろいろ頼まれたの。そのついでに寄ってみたのよ」

「そう、本当に久しぶりね。姉さん」

「えぇ、オリビアも元気そうで安心したわ」


他愛のない会話をしていた2人に、レオナルドが近付き話しかけてきました。


「オリビア、俺そろそろ行くから」

「あっ、レオ」

「えっ、もしかしてレオくんなの?」

「はい、お久しぶりです。お姉さん」

「まぁ、見違えたわね。もしかしてオリビアに会いに来てたの?」

「えぇ、まぁ」


レオナルドの立派な騎士としての、軍装姿を初めて見たミスティは驚いていました。


「邪魔をしたわね。ごめんなさい」

「いいの、レオはもう帰るから。レオまたね」

「もう帰るんで大丈夫です。じゃあなオリビア」


レオナルドの背中を見送った2人は会話を続けました。


「姉さん、顔がほの字になってるわよ?」

「久しぶりに見たから緊張しただけよ」

「はいはい、昔からレオが好きだったもんね?姉さんは」

「それはオリビアでしょ。いつもレオくんにくっついてたじゃない」

「私じゃなくて、レオがくっついてたのよ」

「まぁ、確かにそうね。そして今もレオくんはオリビアにくっくいてるのね」

「ここに時々、あぁやって顔を見せに来るの」

「そっか、相変わらず2人は仲がいいのね」

「それより姉さんは?いい人いないの?」

「いるといえばいるかな」

「まっ、姉さんくらいの綺麗さなら誰もほっとかないわよね」

「オリビアこそ本当に綺麗になったわ。私よりも綺麗よ」


そう言いながらミスティは、久々に会ったオリビアの頬を撫でました。


「それはないわ、姉さん方が絶対綺麗よ」

「これじゃあレオくんも大変でしょうね」

「レオが大変?」

「ライバルが多いってことよ」

「ライバル?何のライバル?」

「相変わらず天然は変わってないか。そこがまた良いんだろうけど」

「んっ?」

「じゃあ私もそろそろ行くわね。日が沈む前に帰らないと」

「えぇ、気を付けて帰ってね」

「またねオリビア!」

「またね〜!」


大聖堂前の広場に止めていた荷馬車の御者をしながら、ミスティは家へと帰っていきました。


『姉さん、あぁやっていつもオリーブでも売ってるのかしら。慣れてるわ』


ミスティを見送り大聖堂の中へと入ると、モルガがどこかで聞いていたのか話しかけてきました。


「聞きましたよ、オリビア様」

「えっ?何を?」

「お姉さん、レオナルドさんが好きだったんですか?」

「えぇ、昔はね。今はいい人がいるみたい」

「そりゃあ、あれだけの美人なら寄ってきますよ。オリビア様といい本当に美人姉妹ですね」

「ありがとうモルガ」


その頃、大聖堂の近くにはまたあの例の男がいました。


『俺の聖女様に近付いてるのは騎士の男か…。ふん、この精霊の力があれば造作もない。少し調べるか』


 

それから数日後の夜、騎士団の宿舎で寝ていたレオナルドは、また不思議な白い空間に来ていました。


* * *


『あれっ?またここか』

『レオ』

『オリビア!』


レオナルドはオリビアに声をかけられると、すぐに側により抱きつきました。


『レオ子供じゃないんだから、私を見てそのすぐ抱きつくのやめなさいよ。本当のオリビアにも嫌われるわよ?』

『別にいいだろ』

『全く…』


そう言うと目の前にいたオリビアは、レオナルドのオデコにデコピンをしました。


『いでっ…!』


するとレオナルドは仰向けに倒れ、起き上がれなくなりました。


オリビアは倒れたレオナルドの上に、四つん這いに覆い被さり顔を覗きました。


『お前はオリビアの分身だろ?』

『そうよ、よく覚えてたわね?レオ』

『触れたいのに、身体が動かない』

『ここは私の世界だから、アナタに主導権はないの』

『また出てきてくれたのか?オリビア』

『そうよ、レオに伝えたなきゃいけない事があって』

『伝える?』

『レオを狙ってる人がいるわ。だから気を付けて』

『俺を狙ってる?』

『そう。恐らく精霊を使ってるわ』

『精霊?オリビアが使ってるやつか?』

『えぇ、私と同じものよ。だけど私とは少し違う精霊のようだわ』

『オリビアと違う精霊?』

『うん、そうなの。私とは違うわ。だから気を付けて』

『それってオリビアは知ってるのか?』

『分身の私が知ってるんだから当たり前でしょ。だけどレオを狙ってる事までは気付いてないわ』

『そうか、分かった。だけど君が俺を守ってくれるんだろ?』

『もちろん守るわ。それが私の役目だから。だけど私にも限界があるの。だからこうやって出てきたんでしょ?』

『分かった、気を付ける。オリビアは分身でも優しいんだな』

『うるさい』


(※分身のオリビアは感情のままに行動しているので、本体よりも性格はキツめ)


* * *


翌朝レオナルドは目を覚まし胸元のネックレスを触りながら、レオナルドは呟きました。


「さすが分身、このオリビアも素直じゃない(笑)だが俺を狙ってるとはどう言う事なんだ?それにオリビアとは違う精霊を使ってるとは何なんだ?」



そしてその頃オリビアも不穏な気配を感じ取り、エルリアと心の中で話していました。


『エルリア、最近私の回りに何かいるわね』

『そうね、あの精霊達はいったい何なのかしら。こっちが気付いてないとでも思ってるのかな?』

『そうなんじゃないの?だけど前より数が少ないわね』

『あの精霊の持ち主が何か企んでるんじゃないの?』

『みたいね、少し街を探索する?』

『そうね、見つかるか分からないけど、街に行ってどこに行ったか探った方がいいかも』

『了解』



エルリアとそう話をした翌日、オリビアは1人街の中を探索する事にしました。


『う〜ん、いないわね』

『そうね、いないわね。でもちゃんとオリビアの後を付いてきてるわ謎の精霊達』

『まっ、それは仕方ないわよね。変に遠ざけても怪しまれるし。このまま気付かないフリをするのが1番よね?』

『このまま泳がせておいた方がいいわ。じゃなきゃ何するか分からないし』

『面倒はごめんだわ』

『だけど本当に何なのかしら。何故オリビアを狙うのかしら』

『それは私も気になるわ。何がしたいのか目的が知りたいわ』


と、その時です。オリビアが心の中でエルリアと話をしながら歩いていると、誰かと角でぶつかってしまいました。


「あっ、ごめんなさい」

「いえ、こちらこそ失礼しました」

「あっ!ジュリアスさん?」

「えっ、オリビア様ですか?」


何とぶつかった相手は、私服姿のジュリアスでした。


「ジュリアスさんの私服姿はじめて見ました」

「今日は非番なんです。オリビア様こそ、そのような格好で街にいらっしゃるとは驚きです」

「私はもともと庶民なので、こっちの方が落ち着くんです」

「そうですか、何を着ても似合っていらっしゃいますよ」

「ふふっ、ありがとうございます」

「今日は何か街に用事でもあるのですか?」

「いえ、特にはないのですが、息抜きに1人で来たんです」

「そうですか、では一緒にお茶でもいかがですか?私も似たような者なので」

「えっ、ジュリアスさんとですか?」

「はい、ですが無理にとは言いません。オリビア様のご都合もあるでしょうから」

「いえ大丈夫です、一緒にお茶します。ちょうどそろそろ休もうかなと思っていました」

「では参りましょうか?」

「はい」


オリビアはジュリアスと近くにあった喫茶店へと入り、珈琲とケーキをごちそうになりました。


「とても美味しかったです。よくあの店に行くんですか?」

「えぇ、時々ですが」


オリビアとジュリアスは喫茶店を出ると、歩きながら楽しそうに話をしていました。


「ジュリアスさん甘いの好きだったんですね?今日のお礼に今度何か作ってあげますね」

「本当ですか?それはとても楽しみです」


すると歩いていたオリビアが突然、立ち止まりました。


「あっ、あの人」

「どうかされましたか?」

「あの謎の精霊の気配がします」

「えっ?」


オリビアはこちらを見ていた謎の男に気付き、オリビアと目が合うと逃げた男をとっさに追いかけました。


「逃げられた…」

「オリビア様!」

「ごめんなさい、逃げられました」


謎の男に逃げられたと、後から追いついてきたジュリアスにオリビアは言いました。


「いえ、アナタ様が気にすることではありません。これは私の仕事です」

「でも…」

「大丈夫です。オリビア様はもう帰られた方がいいです。後は私に任せて下さい。私も奴の顔を見ましたので、心配なさらず」

「そうですか?分かりました」

「はい、お任せを」

「今日はありがとうございました、ジュリアスさん」

「いえこちらこそ、今日は会えてとても嬉しかったです。オリビア様」

「ふふっ、何だか恋人と別れ際にするような挨拶ですね」

「あっ、これは失礼しました」

「それじゃあ、また宮殿で」

「はい」


『恋人と別れ際にするような挨拶か…、あんなに明るいオリビア様とそうなれたら、きっと幸せだろうな…』


オリビアの背中を見送りながら、この後しばらくジュリアスは、オリビアに色々なシチュエーションで自身の名前を呼ばれる妄想をしていた事は、皆さん内緒です。

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