日常
「オリビア様、首元に怪我が…」
「えっ?」
ジュリアスはオリビアの首に赤いのがあるのに気付き指摘しましたが、すぐにそれが何かに気付き否定しました。
「あっ、いえ、見間違いでした」
「そうですか?送っていただいて、ありがとうございましたジュリアスさん。それじゃあ」
『まさかブライアン様、聖女様にお手を?まぁ、王妃様になられる方ならいいか…、あの方が王妃様なら護衛しなくてすみそうなので、私の仕事も減りそうですし、何より目の保護になりそうです』
ジュリアスはオリビアを部屋まで送ったあとそんな事を思っていました。
「ただいまオリビア」
「おかえりブライアン」
ブライアンは部屋に帰るなり、すぐにオリビアを抱き締めました。
「ブライアン?」
「オリビア、まずは話がある」
「うん、分かったわ」
2人は部屋の中のソファーに隣同士に座り、話をする事にしました。
「君を罪人と街に噂を流した奴の正体が分かった」
「そうなのね。誰だったの?」
「父様、サルテ王の1番上の子供だ」
「えっと、それはどういう事?」
「どうやら母様と結婚する前に恋人がいたらしい。その人と間に子供が1人いたんだ」
「その子供がって事?」
「そう、オリビアの名を利用し私の失脚を狙っていた」
「ブライアンの失脚?!」
「サピロス奪還をした国民に人気のオリビアを陥れ、即位した私もろとも陥れるつもりだったようだ」
「なんて酷い人かしら」
「どうやらイグナシオ王国とも裏で繋がっていたようだ」
「そんな…」
「でももう捕まえた。だから安心してほしい」
「じゃあブライアンはもう失脚しないのね?」
「そうだよ、オリビア」
「そうそれはよかった、本当に」
「だからねもう君も、ここにいなくていいんだ」
「えっ?」
「オリビアに対する噂も私が挽回しておいた。だから安心して欲しい。嬉しくないのかい?」
「嬉しいわ。でもどうしてそんなに寂しそうなの?ブライアン」
「オリビアには隠せないか…」
オリビアはブライアンの頬に手を添えました。
「大聖堂に戻っても、時々会いに来るわ。それに精霊でいつでも会話が出来るじゃない?」
「うん…、そうだね…」
「また、そんな寂しそうな顔して…」
オリビアはブライアンを抱き締めました。
「絶対会いに来るわ、そんな顔しないで」
「うん…、オリビア…」
「なぁに?」
「キスして」
オリビアは抱き締めていた手を緩め、ブライアンの頬に手を添えながらキスをしました。
「これでいい?」
「うん、初めてオリビアからしてもらった」
「そうね」
その夜ベッドの中では、ブライアンがオリビアに抱きついていました。
「明日からオリビアがいない…」
「そうね」
「しばらくここで寝ようかな」
「どうして?」
「オリビアと寝た場所だから、オリビアを思い出しながら寝れるなって」
「それは、お好きにどうぞ」
「オリビア、すぐに会いに来てね」
「分かったわ、来るようにするわ」
「私はオリビアにしか甘えられないんだからね」
「そうなの?ならっ、すぐに来なきゃね」
オリビアが大聖堂を離れてから約1ヶ月、大聖堂へ帰る日がやってきました。
「じゃあね、ブライアン」
「うんまたね、オリビア」
宮殿の入り口で2人は抱き合いながら別れの挨拶をすると、オリビアは馬車に乗り込み大聖堂へと帰って行きました。
大聖堂へと着くと、一緒に乗ってきたジュリアスがオリビアをエスコートし馬車から降りました。
「ありがとうございます、もうここで大丈夫です」
「いえ、ちゃんと中まで送るようにと陛下から言われていますので」
「分かりました。ジュリアスさんも大変ですね」
「陛下の大切な方ですから、大変ではありません」
「ふふっ、別に恋人でも何か約束しているわけでもないですよ?」
「そうなのですか?」
「はい」
「そうですか…、なら私にもまだ…ボソッ」
「オリビア様!」
「モルガ」
大聖堂の入口へ着くなり、オリビアの姿を見たモルガが中なら飛び出してきました。
「ただいまモルガ」
「オリビア様…、心配したんですからね…」
「うん、ごめん。心配かけたわね」
「オリビア様、それでは私はこれで」
「ありがとうございました、ジュリアスさん。また手合わせして下さい」
「はい、受けて立ちます。では失礼します」
ジュリアスは馬車へ乗り込み帰って行きました。
「オリビア様、こっち!」
「えっ?」
モルガはすぐにオリビアの手を引き、大聖堂の中へ連れていきました。
「皆んな…」
中へと入ると教徒達、騎士団の団長達が既にオリビアの帰りを待っていました。
「てか皆んなもう飲んでるの?」
「遅いぞオリビア」
「そうだ、遅いから飲んでた」
「待ってる間に飲んでました」
「モルガも?」
「もちろん!」
「そっか」
いつものメンバーでいつもの場所で、オリビアのお帰りなさい会が始まりました。
「おかえりオリビア」
「ただいまレオ」
オリビアが席に着くと、すぐに左隣の席のレオナルドが話しかけてきました。
「オリビア様、ジュリアス様と仲いいんですね?」
「えっ?まぁね、宮殿で何回も顔合わせたから」
「手合わせとか言ってませんでした?」
「うん、暇だったから相手してもらってたの」
すると先程ジュリアスと話していた会話を聞いていたモルガがオリビアに話しかけ、それを聞いたコルディエが驚いた様子で話に混ざってきました。
「はっ?ジュリアスさんとやり合ってたのか?オリビア」
「えっ?そうですけど?コルディエさん」
「国一の男とか?」
「えっ?そんなに強いんですか?ジュリアスさんって」
「そりゃあそうだろ。騎士団トップのクリスタル、なおかつその中の団長だぞ。そりゃ強いだろ」
「まぁ、言われてみればそうですね」
「オリビア様、まさかジュリアス様とくっついちゃったんですか?」
「ないない、それはないわ。きっと子供だと思われて私なんて相手にもされてないわよ」
「案外そうでもない感じ、しましたけどね?」
「それはモルガの思い込みすぎよ」
するとまたレオナルドがオリビアに話しかけました。
「そんなに強いのか?ジュリアスさんってオリビア」
「うん、強かったよ。レオ」
「俺とどっち強い?」
「今はジュリアスさんかな」
「そうか、オリビアは正直だな」
「超えるつもりなんでしょ?」
「あぁ、もちろん」
「今のお前じゃまだまだ無理だ」
「うるせぇ、グレン兄ちゃん」
しばらく皆と飲んだあとオリビアとモルガは、一足先に部屋へと戻り休むことになりました。
「エルリア、しばらくノエルには私寝てる事にしといて」
『分かったわ』
オリビアは自室へ入るなり素早く寝間着に着替え、自分の部屋のベッドにダイブしました。
「自分の部屋最高〜、自由だ〜、ヤバいもう眠気きた…」
オリビアが眠ってしまってから数時間後、隣の部屋から物音が「カタカタ」と聞こえてきました。
『んっ?隣から何か音がする…、レオかな?また隣に泊まるのかも…』
オリビアは隣からの音がレオナルドだと思い、特に気にせずそのまま目を閉じていました。
すると「ガチャッ」っとドアの開く音がし、ゆっくり足音がこちらに近付いてきました。
『えっ、何かこっち来てる?気のせい?』
違和感を感じたオリビアが目を開け、横を見るとレオナルドがいました。
「レオッ!何してんの?!」
「一緒に寝ようかと思って」
「ちょっ…」
驚いているオリビアをよそに、レオナルドは部屋へと入るとすぐにベッドの中へと、勝手に入ってきました。
「勝手に部屋、入って来ないで!」
「悪い、起こしちゃわりーと思って」
「ってそれより約束は?」
「何もしねーって」
「本当にしない?」
レオナルドはベッドに入るなり、側にいたオリビアを抱き寄せてきました。
「こうやってブライアンと寝てたんだろ?」
「何でそれをレオが知ってるの?」
「アイツが自慢気に言ってきた。毎晩オリビアと一緒に寝てるって」
「ブライアンと会ってたの?知らなかった」
「あぁ、すぐに帰ったからな」
「そう、まぁいいわ。私眠いから寝るから」
「本当に一緒に寝ていいのか?」
「はっ?そっちからベッド入ってきたんじゃん」
「そうだけど…」
「何もしないなら別にいいわよ。それじゃあ、おやすみ」
「あぁ、おやすみ…」
『そうか最初から何もしなければ一緒に寝てくれたのか…。さすがブライアンだな…って、オリビア目の前のこの状態で今更だけど俺寝れるのか…?』
レオナルドはそう思っていましたが、どうやら疲れていたようでその後2人共、朝までぐっすり眠りました。
そして翌朝…
先に目を覚ましたのはレオナルドの方でした。
『オリビアが何で目の前に?!あっ、そうだ昨日俺からベッドに入ったんだった…、ブライアンこれを毎日繰り返してたのか?あいつ賢者だな…』
しばらくレオナルドは、そのままオリビアが起きるまでの間、起こさずに寝顔を見ていました。
「んっ…、レオ起きてたの…?」
「あぁ、いてて…」
「んっ?頭痛いの?二日酔い?」
オリビアが目を覚ますと、レオナルドが隣で二日酔いなのか頭を抱えていました。
「そうかも…、昨日オリビアいなくなってから、かなり飲まされた」
「珍しいわね、レオが二日酔いなんて。すぐ治してあげる。はい、どう?治った?」
「まだ治んない」
オリビアはレオナルドの酷そうな二日酔いを、すぐに治してあげました。
「えっ、もう治ったでしょ?」
「治らない」
レオナルドはそう言いながら、隣にいたオリビアを抱きしめてきました。
「もうレオは…。今日は休みなの?」
「あぁ、休み」
「そう」
「オリビア、早く俺のこと好きだって言えよ」
「言わない」
「ならっ、今日だけキスしていいか?」
「ダ〜メ、もうしないって約束したでしょ?」
「それはいつまで待てばいいんだよ?」
「さぁ?」
「さぁって…」
オリビアは自身を抱き締めるレオナルドの手をどかすと、ベッドから起き上がりました。
「オリビア」
「んっ?」
「何か首の後の所、赤いぞ」
「えっ、首?」
するとオリビアが起きるのを側で見ていたレオナルドは、首の後ろに赤い何かがあるのに気付きました。
「引っ掻いたんじゃないか?」
「そんなことしたかな…」
「見てやる」
「うん」
オリビアはレオナルドが見やすいよう、後ろに下ろしていた髪を片側に寄せ前へと流しました。




