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えっ、私がこの世界を守るの?  作者: 藤崎七奈
第三部 【不変と誠実】

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膝枕

その夜ブライアンとオリビアは2人でご飯を作り食事をし、後片付けを済ませたあとソファーに隣同士に座り寛いでいました。


ブライアンはオリビアの膝に頭を置きながら言いました。


「オリビア」

「何?ブライアン」

「何だか新婚夫婦みたいだね」

「まぁ、確かにそうね」

「こうして毎日オリビアに会えて不謹慎かもしれないけれど、とても嬉しい」

「そう」


するとブライアンは頭を起こし隣に座り直して言いました。


「必ずオリビアを守るから。君が私のためにしてくれた事を罪になんてさせない。だからもう少しだけ待って?」

「うん、分かった。ブライアンを信じるわ」

「オリビア」

「なぁに?ブライアン」

「キスしていい?」

「ダメって言ったらしない?」

「ううん、する」


ブライアンはオリビアを抱き寄せると、軽く触れるだけのキスをしました。


「本当はこのまま君をここに閉じ込めて置きたいと思ってる」

「どうして?」

「そしたらいつでも会えるだろ?」

「そんなに寂しかったの?大聖堂を離れて」

「あぁ、凄く寂しかった…」


ブライアンはまたオリビアの膝に頭を置き、オリビアはブライアンの頭を撫でました。


「大聖堂で君と過ごした時間は特別だった」

「前に言ってたわね、大聖堂にいる方が宮殿にいるより居心地がいいって」 

「うん、だってずっと大聖堂で過ごしてきたんだ。そりゃそうだろ?」

「確かにね、宮殿にブライアンが行ってから、しばらくは大丈夫かなって心配だったわ」

「本当は何度も大聖堂に帰ろうとした。だけど私が消えるわけには行かなかった。ずっと苦しかった。いつまで聞き分けのいい、良い子でいなければいけないんだろうって」

「大聖堂に初めて行った時もそう思ったの?」

「そうだね、そうかもしれない。私は君と違って行きたくて行ったわけじゃないから」

「でも私はそのおかげでブライアンに会えたわ。大聖堂にブライアンがいなかったら今頃私どうなってたか…」

「君は1人でも大丈夫だったよ。きっと」

「ううん、あの広い部屋に隣に誰もいない状態で、孤独に過ごしたんじゃないかと思うと、とても苦しいわ」

「言われてみれば、君が来るまで私はそうだったかも」

「でしょ?あの部屋は子供には広すぎるのよ」

「うん、そうだね。子供には広すぎるかもしれない」

「ブライアンはきっとこうやって甘えられる相手が欲しかったのね」

「えっ?」

「ずっと1人で何でも抱え込んで我慢してきたんじゃない?誰にも言えず大人ぶって。子供は子供らしくしたらいいのよ。甘えたきゃ甘えて、泣きたかったら泣いていいの。そうやって人は成長していくんだから」

「私も誰かに甘えていいの?」

「いいよ、甘えたいなら甘えなさい」

「うん、甘える…、オリビアにずっとこうしてたい…」

「分かった、こうしててあげる」

「うん…」


目を閉じたブライアンの頭を、オリビアはそのまま優しく撫でてあげました。


真夜中ブライアンが目を覚ますと、オリビアがソファーにもたれかかり眠っていました。


『オリビア、本当にこのままにしてくれてたんだ…』


ブライアンは寝ているオリビアを抱きかかえベッドへ寝せると、自分も一緒にベッドに入りました。


『オリビア…、私の我がままを聞いてくれるのは君だけだ…』


側でオリビアの寝顔を見ながら、そのままブライアンもまた眠りにつきました。


次の日の夜、ブライアンがまたオリビアのいる部屋へ姿を現しました。


「ただいまオリビア」

「おかえりブライアン、ご飯できてるよ」

「うん」


食事を済ませ後片付けが終わるとブライアンが、オリビアの手を取りすぐにソファーへ誘導し座らせました。


「ブライアン、何かいつもの調子に戻ってきたね」

「そう?いつもってどんなだっけ?こんなの?」

「えっ?ひゃっ!」


すると突然ブライアンが側にいたオリビアの肩を抱きながら、首筋をひと舐めしました。


「可愛い反応だねオリビア」

「からかわないで…」

「ごめんごめん、オリビアが可愛いからつい」

「もう…」


ブライアンはまるで何事もなかったかのように、すぐに隣に座り直しました。


「この間の酔ったオリビア可愛かったなぁ」

「祝福会の時?」

「そうだよ。思わず抱き締めたくなった。そうだオリビア、レオナルドに襲われたってモルガから聞いたんたんだけど、それって本当?」

「あぁ、まぁ、そんなこともあったかな」

「何でそんな事になったの?」

「それは、その、レオが言うには、キスしたら触れたくて止まらなくなったって」

「もしかして私達がキスしたのバレちゃったの?」

「うん…」

「そっか、それでか…」

「怒ってる?」

「どうして?」

「何となくそんな気がしたから」

「そりゃ、怒ってるよ」

「ごめん…」

「オリビアにじゃないよ」

「えっ?」

「レオナルドに怒ってる。オリビアをいつも独り占めして、自分の気持ちたくさんぶつけて、なのにオリビアに嫌われもしない…」

「ブライアン?」

「どうしてレオナルドの方がいつも前にいるんだ…」


オリビアはブライアンの頭を、自分の膝の上に乗せると頭を撫でました。


「よく分からないけど、ブライアンはブライアンでしょ?レオと比べても意味ないわ。きっとレオもブライアンに敵わない事があるって思ってるわ」

「そうかな?」

「そうよ。絶対どこかあるわ」

「うん、オリビアがそう言うなら信じる」


するとブライアンは起き上がり、オリビアの手を取ると歩き出しました。


「このまま寝たらオリビアにまた負担かかる。ベッド行こう」


そしてベッドに顔を見合わせ向かい合って入り、2人はしばらくそのままお喋りを続けました。


「レオナルドともこうやって寝たことある?」

「ないわ」

「本当に?」

「本当よ」

「確かに、あいつならオリビアにガッツくね」

「そう思うでしょ?だからないわ。それに私聖職者だし。まぁ戻れるか分からないけれど…」

「もし戻れなかったらどうする?」

「家に帰るかな」

「君を聖職者に私は必ず戻す。だけどこのままここにいてもいいんだよ?」

「ここに?そんなに迷惑かけられないわ」

「違うよ、オリビア」

「んっ?」

「私とずっと一緒にいて欲しい。私を見て欲しい」

「えっと…」

「気付かないフリはいらない。私の隣にいてくれないか?オリビア」

「私は聖職者だから…」

「そうだね。もっと私を見てオリビア、好きになって?そしたら君を奪う。私だって男だ。本当は君を目の前にして何とも思ってないわけないんだよ。だけど君が嫌がる事をしたくないからしないんだ。少しは私を意識した?」

「うん…」

「なら良かった」


ブライアンは少し起き上がると、目の前のオリビアのオデコに『チュッ』っと軽くキスをしました。


「ここにいる間、もっとオリビアを私に意識させてあげる」

「えっ…」

「今日はもう寝よう、おやすみ」

「おやすみ…」


ブライアンはオリビアには言っていませんでしたが、オリビアへの非難の声は少しずつ増えていたのです。


「あはははは、これでブライアンの王位剥奪も目前かなぁ。オリビアって聖女に恨みはないが、このまま利用させてもらう。どうやら聞くところによると相当な美人らしいな。連れて来いつったのに見つかりやがって。だから俺が王になったら可愛がって慰めてあげるよ。ごめんね、それまでどっかで泣いてろ!!」


「はっ!」

「オリビア?」


『今の夢なに…?怖い…』


真夜中、オリビアはベッドから起き上がると今見た怖い夢を思い出し、震えていました。


するとすぐに隣で寝ていたブライアンが気付き、オリビアに声をかけました。


「どうしたの?オリビア」

「ブライアン…、怖い夢を見たの…」

「大丈夫だよ。私が側にいる。もう少し寝よう。夜明けはまだだよ」

「うん…」


ブライアンは優しくオリビアをベッドへ横に寝せ、布団をかけました。


その夜、オリビアはブライアンにしがみつきながら眠りました。


『オリビア、ごめん。不安な思いをさせたのはきっと私のせいだ。そろそろ本気でオリビアのためにも何とかしないとな…』


ブライアンは震えるオリビアを抱きしめ、頭を撫でながらそう思っていました。

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