祝賀
オリビアは羽織っていたマントを外し席につくと、左隣の席に座ったレオナルドが話しかけてきました。
(※団長達もマントを外し、皆気楽な感じ)
「ブライアン何だって?」
「あぁ、ただ心配したよって、無事で良かったってそれだけよ」
「本当か?」
「本当よ、後は預けてた精霊を返してもらったわ」
「ふ〜ん、そうか。ならいい」
『抱きしめられたなんて言ったら怒るわよね。レオ意外と鋭いからバレなくて良かったわ』
「オリビア様!さっ、飲んで下さい」
「あっ、ありがとうモルガ」
オリビアが考え事をしていると右隣りに座ったモルガが、オリビアにコップを渡しお酒を注ぎました。
(※この世界での成人は14歳からです)
「オリビア弓、凄いんだな?」
「そうですか?コルディエさん」
するとオリビアの目の前に座っていたコルディエが話しかけました。
「あぁ、凄かった。習ってたのか?」
「いいえ、あの時に初めてやりました」
「初めて?!」
「はい」
「聖女様は凄いんだな…」
「俺も次から弓やる、お前には負けたくない」
「レオはすぐライバル意識持つんだから」
「オリビア様、1つ聞いてもいいですか?」
「はい何でしょう、ロドニーさん?」
今度はモルガの前に座っていたロドニーが、オリビアとレオナルドの仲を聞いてきました。
「レオナルドくんとは、とても仲が良いようですが、どういう関係なんでしょうか?もしかして恋人同士ですか?」
「違います、ただの幼馴染です」
「そうですか、良かった…ボソッ」
「こいつとオリビア様は同じ街出身で2人共同時に街を出できたんですよ。ロドニーさん」
レオナルドの前に座っていたグレンが、ロドニーに2人の事を話しました。
「そうなんですか、仲良いんですね」
「レオなにふてくされてるの?」
「別に」
オリビアは急にふてくされたレオナルドに気付き声をかけました。
「俺はこの生意気なレオナルドのいとこなんです」
「そうなんですか?」
「そうなのか?」
「はい、俺がこの2人をここに馬車に乗せて連れてきたんです」
グレンはその後もコルディエとロドニーに、オリビアとレオナルドの事を話していました。
「レオはグレンさんに憧れて騎士を目指したんですよ。ねっ?」
「あんまベラベラ言うな、オリビア」
「はいはい」
オリビアがレオナルドの事を皆んなに話すとレオナルドはさらに、ふてくされてしまいました。
「おい、ガキ。あんまヘソ曲げてばっかいると振られるぞ?」
「うっせー、おっさん」
「誰が、おっさんだ?あぁ?」
「あんただよ、おっさん」
「ちょっと、レオ…」
「やるか?ガキ」
「望むところだ!」
そんなレオナルドにコルディエがちょっかいを出し、言い合いになってしまった2人をグレンが両手を前に出し止めました。
「ストーップ!!コルディエさん、俺が謝ります。すいません、コイツには俺が後でちゃんと言っときますんで」
「ちっ、まぁいい。今日は祝賀だ。あんまつんけんすんなよ、ガキ」
その時レオナルドが隣の席に座るオリビアの手を握ってきました。
「はい、そうですね。すぐやるだとか怒るのはガキですね」
「言うじゃねーか」
「は~い皆さ〜ん!お酒注ぎますよ〜!どんどん飲んで下さ〜い!」
何かを察したモルガが話を遮るように、皆んなのグラスにお酒を注ぎ始めした。
オリビアはこの間に隣に座るレオナルドに小声で話しかけました。
「どういうつもり?」
「悪い、自分を落ちつかせるために握った」
「そう、じゃあ離して?」
「嫌だ」
レオナルドはオリビア手を握ったまま離そうとしません。
「はい皆んなで改めて乾杯しましょ〜う!はい、グラス持ってくださ〜い!かんぱ~い!」
『何だかモルガって凄いわ…』
オリビアがそんな事を思っていると、席に着いたモルガがオリビアに話を振りました。
「オリビア様?」
「なにモルガ?」
「オリビア様はどんな人が好きですか?」
「へっ?」
「へっ、じゃなくて、どんな人が好みですか?」
「えっと〜…、モルガはどうなの?」
「私はオリビア様が好きです!」
モルガはオリビアを自分の方へと抱き寄せました。
その瞬間レオナルドとオリビアの繋いでいた手が離れました。
「モルガ苦しいわ…」
「あ〜、ごめんなさ〜い」
「モルガ酔ってるのか?」
「私は酔っても酔わなくても、いつもこんな感じですよ〜、兄様」
「まぁそうだな」
「モルガは面白いな!」
「ありがとうございます!コルディエさん!」
「ほら、モルガも飲め!」
「はい、飲みます!」
コルディエがモルガのグラスにお酒を注いでいるのを見ながら、オリビアは思っていました。
『モルガまさか、わざと抱きしめた?ってそんなわけないか…、助かったけど…。そうだ、レオまた怒ってるかな?あれっ、そうでもなさそう…』
オリビアはそんな事を考えながら横にいるレオナルドの顔を覗きましたが、レオナルドの表情は穏やかでした。
「オリビア様も、ほらっ、飲んで!」
「分かったわ、モルガ」
「あんま飲みすぎるなよ、オリビア」
「分かってるわよ、レオ」
「大丈夫です!私がオリビア様の介抱しますから!」
「ありがとう」
それから数時間後…
「ねぇ〜、ねぇ〜、モルガ〜」
「どうしました?オリビア様」
「お風呂行こうよ〜」
「ダメですよ、そんなに酔ってて入ったら危ないです!」
「えぇ〜、でも今日も汗かいたし〜」
「ダメです。明日、明日の朝入りましょう!」
オリビアはかなり酔いが回り、皆んなの前で上着のボタンを外そうとしましたが、それを見たモルガが慌てて止めました。
「ダメ!ダメ!ここじゃダメ!オリビア様、今日はもうお部屋に行きましょう!」
「えぇ〜、まだ皆んなと飲む〜」
「レオナルドさん、手伝って下さい!オリビア様、部屋まで運びます!」
「あぁ、分かった。オリビア、ほら行くぞ」
モルガは酔ってしまったオリビアを1人で部屋へ連れて行くのは大変だと思い、レオナルドにも手伝うよう頼みました。
「皆さん今日は失礼します!」
「あぁ、じゃあな」
「またね」
「じゃあね」
『酔った、オリビア可愛い…』(男性陣一同心の声)
オリビアはモルガとレオナルドと共に、宿舎の自室の部屋へと連れて行かれました。
「オリビア様、お部屋に着きましたよ」
「俺、水もらってくるわ」
「お願いします、レオナルドさん」
(※部屋の中にも流し台はあるが、レオナルドは部屋の中に入った事がなく知らなかった。モルガもオリビアを何とかしようと必死だったため、その事を忘れていた)
モルガはオリビアを連れベッドへと寝せようとしましたが、部屋の中央付近でオリビアが躓きそのまま座ってしまいました。
「あっ!もう…、オリビア様」
するとそのまま床に座った状態で、オリビアがモルガに言いました。
「モルガ〜」
「何ですか?オリビア様」
「モルガって可愛い、チュッ」
「オオオオオオオリビア様!!!」
オリビアは側にいたモルガの両頬に手を添えながらキスをしました。
そこへレオナルドが戻ってきました。
「水持ってきたぞ、どうした?」
「レオナルドさん!オリビア様お願いします!」
「はっ?」
「あっ、隣の部屋ブライアン様がずっと使ってて、まだそのままなので好きに使っていいですから!それじゃあ!」
「えっ、おい、たくっ、何だよ…」
モルガは顔を真っ赤にし、慌ててオリビアの部屋を出ていきました。
レオナルドは持って来た水を近くの棚の上に置き、オリビアに近付き屈みました。
「おいオリビア、飲みすぎるなって言っただろ?」
「レオは酔ってないの?」
「飲んでんだから酔ってるよ」
「あんま変わんないね」
「そうでもねーよ、オリビア?」
オリビアはレオナルドの肩にもたれかかりました。
「ごめんね」
「いいよ、酔ったお前見たって何も思わねーよ、むしろ可愛いし…」
「そうじゃなくて…」
「んっ?」
「吐いちゃった」
「はぁ???」
レオナルドはオリビアが吐いたものを丁寧に片付け、眠ってしまったオリビアを抱きかかえながらべッドへ寝せると、靴を脱がせ布団を掛けました。
「お前こんなに広い部屋にずっと1人でいたのかよ…、しかも隣がブライアンの部屋って…」
レオナルドは眠っているオリビアの頬をそっと軽く撫でながら呟き、部屋を出ると隣の今は誰も使っていないブライアンの部屋へ行きました。
翌朝、モルガがオリビアの部屋を訪ねてきました。
どうやら昨夜、レオナルドにオリビアを任せたことが気になって来たようです。
(※キスの事はオリビアは覚えていなかったため、モルガもその後1度もその事は口にしなかった)
「オリビア様?起きてます?」
「モルガ…」
「大丈夫ですか?」
「頭痛い…」
「まだ服、着替えてないんですね。まずは着替えましょう」
モルガはオリビアの部屋へと入り、まだ軍装姿だったオリビアの着替えを手伝いました。
「オリビア?起きてっかー?」
そこへレオナルドがアクビをしながら、オリビアの部屋を訪ねてきました。
「あっ…」
「レオナルドさん!着替え中です!出てって下さい!」
「悪い!」
ノックもせずドアを開け部屋へと入ってきたレオナルドは、オリビアの姿を見るなり慌てて部屋を出ていきました。
「オリビア様、見られちゃいましたね…」
「うん、そうね」
「軽っ…、いいんですか?見られても」
「レオの事は近すぎて、別に何とも思ってないから」
「そうなんですね…、ご愁傷さまです、レオナルドさん…」
「終わりましたよ、レオナルドさん」
「あぁ…」
オリビアの着替えが終わり、廊下で待っていたレオナルドにモルガが声をかけるとすぐに部屋の中へと入ってきました。
「オリビア悪かった…」
「うん、いいよ気にしてないから」
「そうなのか…?それなりに見たぞ…?」
「なに見た?」
「えっ、あぁ…、胸?」
「そっか、下着つけてたしまぁいいよ」
「おう…」
「それより頭痛くて、何かあんま考えられない…」
「そうか、良かった…」
「良かった?」
「あっ、いや違う…」
「ふっ(笑)」
「モルガ怒るぞ」
「自分で墓穴、掘ったくせに(笑)」
その頃、大聖堂の地下にある大浴場には団長達がいました。
もちろん昨夜言っていた事を鵜呑みにし、オリビアが入ってくるかもしれないと思ったからです。
ですが大浴場はきちんと男女で分けられており、オリビアが入ってくる事はそもそもありませんでした。




