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えっ、私がこの世界を守るの?  作者: 藤崎七奈
第三部 【不変と誠実】

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鳳蝶

「う〜ん…」

「オリビア起きたか?」

「あれっ…、私なんでチャリオットに?」

「倒れたんだよ。たくっ、無茶しやがって」

「ふふっ、そう言われるだろうなと思ってたわ(笑)」


オリビアが目を開けると、チャリオットの座席に横になっていました。


そして前には、レオナルドがチャリオットの御者をしていました。


「そう思うなら、無茶するな。丘の方見てたら、お前が倒れたからビックリしたんだからな」

「そう言えばそうだったかも」

「まだ寝てろ、ランダまでもう少しあるからな」

「分かった、もう少しだけ寝る…」

「あぁ」


倒れ意識を失ったオリビアをモルガと側にいた団員達は、チャリオットへと運び寝せました。


そこへ慌てて駆け付けたレオナルドがモルガから事情を聞き、決してオリビアを責めないようにとキツく言われました。

(※御者はレオナルドが自らやると言った)


「そんなに責めたりしねぇわ…」

「…もう着いたの?」

「あぁ、もうすぐ着く」


オリビアは目を覚ますと起き上がり、背伸びをしました。


「ん〜、よく寝た」

「オリビア」

「んっ?なにレオ」


オリビアが起き上がり座席に座り直すと、それを横目で見たレオナルドが話しかけてきました。


「あんま、あっちこっちに愛想振りまくな」

「えっ?どういう意味?」

「団長達みんなお前の事、気に入ってんじゃん。お前何した?」

「何って言われても…」

「はぁ…、ほら着いたぞ」

「えっ、あっ、うん、ありがとうレオ」

「あぁ」


ランダへと着きレオナルドがチャリオットを止めたのでオリビアが降りると、後ろから追いかけてきた団長達がすぐに駆け寄ってきました。


「オリビア!大丈夫か?倒れたって?!」

「コルディエさん。はい、もう大丈夫です」

「オリビア様!怪我はない?大丈夫?」

「ロドニーさん、どこも怪我してません。ありがとうございます」

「オリビア様!ビックリした、心配したよ?!」

「グレンさん。ご心配おかけしました、もう平気です」

「言った側から…、グレン兄ちゃん!」

「何だレオナルド」

「ちょっとこっち来い!」

「はぁ?何だよ、レオナルド」


それを側で見ていたレオナルドはグレンを連れ出し、オリビア達から離れ物陰に2人で行きました。


「下心しかねーなら、オリビアに近寄んな」

「はっ?お前にそんなこと言われる筋合いはない」

「そんな奴にオリビア絶対渡さねーからな」

「下心じゃなきゃいいのか?」

「はぁ?じゃあ他に何あんだ?」

「俺の事すぐ知略あるとか見抜いてたし、それで俺の作戦が通って今日は勝利まで出来た。オリビア様のお陰でいろいろ俺の名をあげられたなって…」

「…まさか本気で惚れたのか?」

「まぁ…、そうかも…、俺のことよく見てくれてるんだなと思って…」

「クソッ!」

「それに何より可愛いしな」

「もういい、勝手にしろ!どいつもこいつも!」


こうしてレオナルドの心配はますます増していくのでした。


オリビア達は来たときと同じように帰り、数日後アダマス王国の宮殿前広場へと戻りました。


「皆、今回は大儀であった。本当によくやってくれた。この快挙を心から嬉しく思う。一人一人のこのアダマス王国への思いが女神へ通じたのであろう。本当にご苦労であった。この後は盛大に祝賀を祝おう!」


宮殿前広場に戦場から戻ってきた騎士団一同を集め、ブライアンの演説が終わると皆が一斉に歓声をあげました。


『ブライアンとっても嬉しそう』


オリビアはブライアンを見ながらそう思っていました。


「オリビア様、早く大聖堂に帰りましょ」

「そうね。あっ、待ってモルガ」

「どうしました?」

「先に帰ってて、ブライアンに呼ばれたわ」

「分かりました、先に行ってますね」


ブライアンの演説の後モルガ達と共に大聖堂へ帰ろうとしたオリビアに、ブライアンの声が精霊を使い聞こえてきました。


『オリビア、私の部屋に来て』

『あっ、ブライアン。部屋に?分かったわ。今から行くから、ちょっと待ってて』


心の中でブライアンと会話をしたあと、オリビアが宮殿の中へと入りブライアンの部屋へと通されると、既に部屋の中にはブライアンの姿がありました。


「まだ部屋にいないかと思ったわ」

「オリビアを呼んだから、待たせられないと思ってすぐに来たんだ」

「そうだったのね」

「オリビア、よく無事に戻ったね」

「えぇ、ただいまブライアン」


ブライアンはオリビアの側に行くなり、すぐに抱きしめました。


「お帰り。本当によかった。オリビア本当に」

「精霊使って私のこと結構、聞いてたんじゃなかったの?」

「えっ?バレてたの?」

「その精霊、誰のだと思ってるの?」


ブライアンは少しだけオリビアを離し、顔を覗きました。


「恥ずかしいな…、全部オリビアに筒抜けだったのか…」

「そうよ、皆んなで話てた時なんだか寂しそうにしてたでしょ?ブライアンはそこにいなかったんだから当たり前じゃない」

「恥ずかしいところを聞かれた…」

「精霊にノエルって名前つけたんでしょ?この星の名前を」

「あぁ、それも分かってるのか…」

「ノエル良かったわね、名前つけてもらって」


オリビアはブライアンから離れながら、側にいた精霊のノエルに話しかけました。


「うん!可愛いでしょ?」

「とっても可愛いわ、ノエル」

「うふふ、ありがとうブライアン」

「ノエル、こちらこそ側にいてくれてありがとう」

「ブライアン、これで即位出来るわね」

「あぁ、君のおかげだ、本当にありがとうオリビア」

「私だけじゃないわ、皆んなで勝ち取った勝利よ」

「いいや、聞いていたから分かっている、君が相手の指揮官を矢で射止めたってね、ずいぶん無理をしたみたいだ」

「弓があんなに疲れるとは思わなかったわ、凄く集中力がいるのね」

「ありがとうオリビア、本当に感謝をしてもしきれないよ」


ブライアンはまた強くオリビアを抱きしめました。


「苦しいわ…、ブライアン…」

「あっ!ごめん!」


少し離されブライアンと目があったオリビアは、とっさに後ろに下がり距離を取りました。


「どうしたの?オリビア」

「キスはしないわよ」

「何だ、残念だ。レオナルドには言ったの?私とキスしたって」

「言ってないわよ。恥ずかしくて言えるわけないでしょ」

「そうか。まぁ、言ったらあいつも同じ事するだろうからね」

「恐らくね」

「これは2人だけの秘密だね、オリビア」

「恥ずかしい事これ以上、思い出させないで」

「またしてもいい?」

「ダメ!」

「少しだけ」

「キスに少しも何もないわ」

「深さとかいろいろあると思うけど?」

「ダメったらダメ!」

「オリビアは厳しいな」

「ってそろそろ私行くわ、ブライアンも来るんでしょ?」

「私は行かないよ」

「どうして?」

「私が行ったら皆んな困るだろ?かしこまってしまうよ」

「そうなの?」

「そうだよ。ほらっ、オリビアは早く行きな」

「うん?分かったわ。じゃあねブライアン」

「あぁ、またねオリビア」


オリビアはブライアンの部屋を後にし宮殿の外へと出ると、馬に跨がり宮殿の方を見ました。


窓際からこちらを見ていたブライアンがいたので、手を振りながら帰っていきました。


「軍装したオリビアが馬に乗ると、まるで本物の騎士みたいだ。騎士団の名前、綺麗な百合の花は君さ。そして百合の花の香りに誘われる鳳蝶アゲハチョウは私だよ。オリビア」


帰っていくオリビアの背中を見つめながら、ブライアンはそう呟いていました。


そしてオリビアを見つめる人がもう1人…


「聖女オリビアは、ずいぶんとブライアン王太子と仲がいいようだ。このまま平和に何も起こらなければいいのだが…」


謎の男はそう呟き、窓際からオリビアを見つめるブライアンと馬に乗り去っていくオリビアを、腕を組み壁に寄りかかりながら、交互に見ていました。


しばらくして大聖堂へと着いたオリビアの目に飛び込んできたのは、大聖堂前の広場に溢れかえる騎士達でした。


「凄いことになってるわ。通れるかしら…」


オリビアは馬を降り側の厩舎に馬を入れると、大聖堂へ入るため騎士の中に飛び込みました。


「皆さん!通してくれる?」

「聖女様だ!通せ!」

「聖女様だ!皆通してやれ!」

「ありがとう、通してくれて」

「聖女様!」

「聖女様!」

「あっ、ありがとう…、ありがとう…」


騎士の中をすり抜け大聖堂へと入ったオリビアですが、大聖堂の中も騎士でいっぱいでした。


「ここもか…、はぁ…、1番奥に行かなきゃ行けないのに…」


オリビアはまた騎士の中をかき分けて進み、何とか1番奥へと辿り着きました。


「やっと来れた…、ふぅ…」

「オリビア様、おっそ〜い!」

「モルガ…、人が多すぎてここまで来るの大変だったわ…」

「えっ、オリビア様この中をかき分けて来たんですか?!」


モルガがはそれを聞き、騎士だらけの中を来たのかと驚いてオリビアに聞きました。


「そうよ、他に方法がある?」

「ないですけど…、まぁいいじゃないですか、来たんですから。皆さ〜ん、オリビア様が来ましたよ〜!」


大聖堂では騎士達に向けてのブライアンが用意した、勝利の祝賀会が行われていました。


大聖堂の外にいた騎士達は中に入れなかった人達です。


『げっ、皆んなもう出来上がってんじゃん…、酔うの早っ!』


オリビアが見たのは、騎士団の団長達の既に酔払った光景でした。


「お〜、オリビア!」

「早く来い!」

「こっち座れ!」

「お前も飲め!」

「モルガよくこの中に1人でいたわね?」

「そうですか?家じゃ普通ですよ」

「モルガの家ってどんな貴族?」

「えっ、普通ですよ。ねぇ兄様?」


オリビアはモルガに背中を押されながら、席へと誘導されました。

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