表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
えっ、私がこの世界を守るの?  作者: 藤崎七奈
第三部 【不変と誠実】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/237

クローバー

オリビアがモルガと一緒に、騎士団を見に行ってから数ヶ月後、オリビア達は14歳になる年になりました。


この日はレオナルドが大聖堂を訪れ、オリビア含めいつもの4人で話していました。


「俺に頼めばいつでも見せてやるのに…、なんで先に別の団を見るんだよ…」

「ごめん、レオ」


レオナルドはオリビアが自身の団とは別の騎士団を見に行ったと聞き、あからさまに拗ねていました。


「私が連れてったんです、オリビア様は悪くありません」

「そうだ、モルガが連れてった。オリビアは悪くないぞレオナルド。まぁ勝手について行ったのは悪いけどね」

「はい…」

「よし、じゃ明日また来るわ!」

「えっ?レオどうして?」

「明日出掛ける準備しとけ、お前ら2人もだ、じゃあな!」

「えっ、ちょっとレオ…」


レオナルドはそれだけ言い残すと、来るときに乗ってきた馬に跨りさっさと帰っていきました。


「明日っていきなり…」

「ですね…」

「私も行っていいの?」


その日の夜、ベッドで眠っていたオリビアは夢を見ていました。


『痛い、助けて、聖女様、早く、治して、血が止まらない、お願い、どうして、こんなことに、もう嫌だ』


夢の中で多数の人々に助けを求められ、オリビアはうなされていました。


「うぅっ…、治すから…、助けるから…、皆んなに早く魔法を…」

『オリビア!どうしたの?オリビア!目を覚まして!オリビア!』


様子のおかしくなったオリビアを、エルリアが声をかけて起こしました。


「はっ!」

『オリビア、良かった…』

「今のは…」

『うなされてたわよ』

「エルリア…、今のは夢か…」



そして次の日、大聖堂の前へ荷馬車を引いたレオナルドが昨日言っていた通り、本当に現れました。


「レオ、御者なんて出来たの?」

「当たり前だろ、これくらい出来なきゃ団長やってない」

「レオって凄いのね」

「だろ?へへっ(照)オリビアは隣に座れ」


レオナルドはオリビアに褒められ、嬉しそうに隣に座れと言いました。


「えっ?前に?」

「そうだ。後の2人は後ろに乗れ」

「はいはい」

「レオナルドさんって結構、積極的ですよね」


それぞれ荷馬車に乗り込み、皆が座るとすぐに馬車は出発しました。


「じゃあ出発するぞ」

「騎士団に行くの?」

「あぁ、俺の団を見せてやる」

「とっても楽しみ」

「オリビアは馬に乗れるのか?」

「うん、大聖堂にいる馬なら、自由に乗っていいって言われたの」

「へぇ、そうか」

「それにレオが乗れるのに、私だけ乗れないなんてイヤだし」

「負けず嫌い変わんねーな」

「それ、レオもね」


隣同士に座ったオリビアとレオナルドは、楽しそうに仲良く話をしていました。


そんな前に座った2人を見ながら、後の2人は小声で話していました。


「ブライアン様いいんですか?」

「何がだい?モルガ」

「このままじゃオリビア様、レオナルドさんに取られちゃいますよ?」

「それはない」

「自信があるんですね」

「あぁ、モルガは私の味方してくれるの?」

「いいえ、スキがあれば私が行きます」

「君は抜け目がないな」


その後ジェイドの騎士団に着くと、レオナルドはオリビア達に得意になりいろいろと騎士団の訓練所を見せて回りました。


「凄かっただろ?」

「えぇ、とても凄かったわ」

「でも何でリリーとかよく分からん名前名乗ったんだ?」

「名前を言うと聖女って分かっちゃうかもしれないでしょ?」

「聖女って分かったら何か都合悪いのか?」

「いろいろ面倒な事になるかもしれないからだよ、レオナルド分かってやれ」

「ブライアンが理解出来てんの腹立つな」

「レオナルドさんって頭いいのか悪いのか、よく分からない人ですね」

「何だと、モルガ」

「すぐ怒るとオリビア様に嫌われますよ」

「クソっ」

「あぁっ!」


すると突然モルガが外を見ながら叫びました。


「どうしたのモルガ?」

「シロツメクサ、懐かしい…」

「本当ね、懐かしいわ」

「仕方ない、少し休んで行くか」


大聖堂へ戻る帰りの馬車が川沿いを走っていると、シロツメクサが川辺にたくさん咲いていました。


レオナルドは馬車を止め、オリビアとモルガは馬車を降りると2人で川辺に座り込み、側にある花を摘みどちらが早く冠を作れるか対決を初めました。


「昔、母様とよくやったので負けませんよ?オリビア様」

「私だって昔、姉さんとよく作ったんだから」


そんな楽しそうに花冠を作る2人を見ながら、レオナルドとブライアンは荷馬車の側で話していました。


「花なんか摘んでどうすんだよ」

「さぁ?どうするんでしょうね。だけど2人とも楽しそうです」

「そうだな。今日オリビア少し疲れた顔してたし、案外これで良かったかもしれないな」

「そうなんですか?」

「あぁ、目の下にクマが出来てる。昨日あんま寝てないな」

「そうですか、気付きませんでした」

「ふん、今日は俺の勝ちだな」

「次は負けません」


その後オリビアは荷馬車の後ろへ乗り、大聖堂へ着くまでの少しの間だけ眠りました。


すぐに寝てしまったオリビアを見ながらモルガとブライアンは、オリビアを起こさないよう小声で話していました。


「本当にすぐ寝ちゃった、レオナルドさん凄い」

「あぁ、そうだな」

「でもどうして寝れなかったんでしょうか」

「それは本人に聞いて見ないと分からないな」


しばらくすると寝ていたオリビアが、慌てて起き上がりました。


「すぐに行かなきゃ」

「オリビア、まだ寝てていいのに」

「そうですよ、オリビア様」

「聞こえるの」

「聞える?」

「たぶんこれから何か起きるわ」

「えっ?寝ぼけてるの?オリビア」

「レオ急いで!」

「はっ?」


オリビアは起きるとすぐに前へ移動し、御者をしていたレオナルドに後から話しかけました。


「いいから急いで、早く大聖堂に戻らなきゃ」

「はいはい、じゃあつかまってろよ」


まもなくして大聖堂の近くへと着き、大聖堂前の広場には騎士が何人か集まっていました。


「オリビア、よく分かんねーけど無茶だけはするなよ」

「分かってるわ、レオ」

「俺はあの人達に事情を聞いてから帰る」

「えぇじゃあねレオ、今日は楽しかったわ」

「あぁ、またなオリビア」


オリビア達は馬車を降りレオナルドと別れ、すぐに大聖堂の中へと入りました。


すると総主教が入り口でオリビア達の帰りを待っていました。


「総主教!」

「おぉ、皆戻ったか…」

「何かありましたか?ヘマタイトとアンバーの騎士が何人か外にいましたが?」

「そうなんだ、サピロスへ行った騎士達が随分とやられたらしい…」

「サピロスって、今の前線ですか?」

「そうなのだよ、騎士達が大聖堂へ次々と運ばれてきている。まだまだこれから増えるらしい」

「分かりました、私も手伝います」

「私もやります」

「私もです」

「あぁ、そうしてくれると助かるオリビア、ブライアン、モルガ。皆、深傷を負っている。慎重に接するように」

「分かりました。ですがヘマタイトやアンバーの騎士達が、そう簡単にやられるのでしょうか?」

「それは私もおかしいと思っている所なのだ」


オリビア達は大聖堂の中にいた負傷した騎士達を、すぐに治療魔法で治しはじめました。


その時、負傷した騎士達を見たオリビアは、まるで昨日の夜見た夢と同じだと思っていました。


「あっ、兄様!」

「モルガか…、ははっ、怪我してしまった…、いててっ」

「もうこんなに血が出て…、すぐに私が治してあげますからね兄様」

「あぁ、悪い…」


どうやらモルガの兄も前線にいたようで、足にかなりの深傷を負っていました。


「私の魔法じゃダメだわ、傷が深すぎる…」

「そうか…、俺もそろそろ騎士引退かな…」

「諦めるのはまだ早いです!ここには誰がいると思ってるんですか?兄様」

「誰って…?」

「オリビア様!こっちにすぐ来てください!」


モルガは自身の治癒魔法に限界を感じ、少し離れた所にいたオリビアを呼びました。


「どうしたの?モルガ。怪我人?」

「はい、私の治療魔法じゃ治せなくて」

「あれ、君は確かリリーちゃん…」

「モルガのお兄さんですね、お久しぶりです。これはヒドいですね。すぐに治しますね、『貴方に女神の祝福を』」


オリビアはロドニーの傷を見るなり、すぐに祝福を授けました。


「光が…、見える…、君はいったい…」

「はい、これで治りましたよ」

「あなたは…、聖女様ですか…?」

「あの時は嘘をついて、すみませんでした。私は聖女オリビアです」

「兄様?どうしたの?ボーッとして」

「いや、あの…、あなたのおかげでまた騎士が出来ます。ありがとうございました!」

「いいえ、これが私の仕事ですから。では次の方がありますので、失礼しますね。モルガはお兄さんについててあげて、まだ体力回復してないだろうから」

「分かりました、オリビア様。ありがとうございます!」

「リリーちゃんじゃなくて…、オリビア様…」


自身に微笑んだあと離れていくオリビアを、ロドニーは『じ〜っ』と見つめていました。


そんなロドニーに気付いたモルガは、すぐに声をかけました。


「オリビア様はダメすよ、兄様」

「はぁ?ななななにを言っているんだ、そんな事は分かっている…」

「兄様、オリビア様は私の者です。誰にも渡しません」

「モルガ…、お前惚れる相手いろいろ間違ってるぞ…」

「いいんです別に。分かってます、叶わない事など」

「はぁ、そうか。ならいいが」

「なんなら兄様が本気なら手引きしてやってもいいですよ?ニヤリ」

「本当か?いやいや、ダメだ。彼女は聖女様。そんな事は許されないはずです」

「特別に1つ教えてあげます。オリビア様を狙ってる方は他にも何人かいますよ。いいのですか?私の手助けがなくても」

「モルガ、お前の性格の悪さ変わらないな…」


仲の良い兄と妹は、その後も久しぶりの楽しい会話をしていました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ