ホタルの輝き3
オリーブがロニセラに学校内の案内をしていた時でした、大きな地震が発生したのです。
「地震!揺れて立ってられない」
「オリーブ!しゃがめ!」
ロニセラはオリーブをその場にしゃがませると、庇い守るように上から覆い被さりました。
揺れは数分間にわたって続きました。
「おさまった…?」
「みたいだな…、大丈夫か?」
「大丈夫、平気よ。ありがとうロニセラ、守ってくれて」
「なら、良かった」
「ロニセラこそ、何ともないの?」
「問題ない。だが…、分かるか?」
2人は立ち上がりながら不穏な気配を感じ取っていました。
「えぇ、分かるわ。魔物の気配ね」
「あぁ、今の地震で出てきたのかもしれない。妙な気配の正体はこれだな。震源はこの辺りだろうがオリーブ、悪いが俺は里に帰る。皆が心配だ」
「えぇもちろん、そうしてちょうだい」
「ここからは別行動だ。お前なら心配ないだろうが気を付けろよ」
「分かってるわ。ロニセラこそ気を付けて、里の皆んなによろしくね」
「あぁ、じゃあなオリーブ」
「またね、ロニセラ」
地震が収まり里の皆が心配になったロニセラは、すぐに里へと帰還しました。
その頃王都では地震の影響で、建物が複数倒壊していましたが幸い皆命に別状はありませんでした。
ウォルターとカインは学校にまだ残っていた生徒の避難誘導をし、アリシアは不器用ながらも怪我をした人々を光の魔法で治療し、アイザックもその手伝いをしていました。
そしてオリーブは雷樺の背に乗り、魔物の気配を辿っていました。
「魔物の気配はするのに、いったい何処にいるの?」
「やぁ、オリーブ姫」
「えっ?会長さん?」
その時オリーブに声をかけてきたのは、先ほど会ったばかりの生徒会長でした。
「それは精霊獣?ずいぶんと珍しいのに乗ってるね」
「えっと、会長さんが乗ってるのは何ですか?」
オリーブは見た事もない生き物に乗り、自分に並列してきた生徒会長に驚きました。
「あぁ、これは二角獣さ」
「バイコーン?初めて見ました」
「私の魔力で作ったんだ」
「えっ!作ったのですか?!」
「そうだよ、私が作った魔獣さ」
「魔獣…、すっ、すごいですね…、ただ者ではないと思っていましたけれど…」
「ははっ(笑)君こそ、ただ者ではないオーラが出ているよ」
「そんなことないです。会長さんには負けますよ」
「それより、魔物の気配。君も感じたんだね?」
「はい、会長さんもですか?」
「あぁ、急ごう。どうやらこの先のようだ」
「えぇ」
生徒会長が乗っていたのは、馬でありながら山羊のような2本の角の生えた二角獣と呼ぼれるものでした。
オリーブ達が向かっていたのは王都から北に位置し、シンシア王国との国境にほど近い街『セレステ』でした。
セレステは山間にありながらも人々の往来が多く、宿場もある事からそれなりに人口の多い街です。
「何てこと…」
セレステに到着すると、魔物が大量に出現し街は大騒ぎになっていました。
「オリーブ姫、やれるかい?」
「もちろんです!そのために来ましたから!」
オリーブは精霊に預けていた剣を取り出し、生徒会長はその場で自身の魔力を操り剣を作りました。
「凄い!魔法で剣まで作れるんですね!」
「君こそ、空中から剣を出すとは驚いたな」
「私は精霊に預けていたのを、ただ出しただけです」
「そうか、精霊に好かれているんだね」
「えぇ、まぁ」
「そんなこと私にはきっと無理だな。
ところで私の背中を預けてもいいかい?オリーブ姫」
「会長さんこそ、私の背中預かれますか?」
「ふっ、何を言う当たり前だ。そっちは任せたよ」
「はい、そちらも任せます」
「なら行くよ!」
「はい!」
オリーブと生徒会長は背中合わせになり、さっそく街にいた魔物を倒し始めました。
「どうだい?疲れたかい?休んでもいいんだよ、オリーブ姫」
「会長さんこそ、無理しないでください。後は私がやりますから」
「無理をしているのは君じゃないのかい?」
「これくらい何ともないです」
2人は時々話しながら次々と魔物を倒していきました。
「さすがだなオリーブ姫」
「会長さんも凄いです」
しばらく経ち魔物を全て倒し終わった頃、あたりはすでに日が沈み真っ暗になっていました。
「疲れた…」
「そうだね…、さすがにここまでの数が相手だと応えるね…」
オリーブは出していた剣を精霊にまた預け、その場に座りました。
すると生徒会長は何かを見つけたのか歩き出し、オリーブを自身の方へと呼びました。
「オリーブ姫、こっち」
「えっ?会長さん何ですか?」
「いいから来て!」
「もう、何ですか…、疲れてるんですけど…」
「早く、こっちに来て!凄いから!」
オリーブは立ち上がると渋々、生徒会長が向かった先に行きました。
「何これ…、凄い…」
生徒会長は川を見つけていました。
その川沿いには無数のホタル達が飛び交い、とても幻想的な景色が広がっていました。
「わぁ、ホタルだわ!凄くキレイ…!こんなに沢山のホタルを1度に見たのは初めて!」
「あぁ、凄く綺麗だね」
「えぇ、とっても」
オリーブがまるで別世界のような、神秘的な光景にとても感動していると、生徒会長が話しかけました。
「君とこんなに綺麗な景色を見られて、私はとても嬉しいよ」
「はい、私も見れてとても嬉しいです」
「私が言った事、本当に分かってる?」
「えっ?」
生徒会長はオリーブから少し離れその場に屈むと、すぐ立ち上がりまたオリーブの側へと戻ってきました。
「手を出して?オリーブ姫」
「手をですか?」
オリーブが手を前へと出すと、生徒会長はオリーブの手の平の上にホタルを1匹のせました。
「凄いわ!私の手の中で光ってる!」
「そうだね。オリーブ姫、顔を上げて」
「えっ?」
オリーブは自身の手の平のホタルを見ていた顔を上にあげ、生徒会長の方に視線を合わせました。
すると生徒会長は僅かに目を細め微笑み、オリーブと目を合わせながら言いました。
「またいつの日か会おう」
「えっ?会長さん?それはいったいどういう意味なの?」
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オリーブは目を覚まし辺りを見渡しました。
そこは城の自分の部屋でした。
『今のって?』
オリーブはベッドから身体を起こし手の平を見ました。
先ほどまで手の中で光っていた物が何もありません。
『あれっ、ホタルがいない…、今のは夢だったの?凄くリアルな夢だったわ。またいつの日か会おうって会長さん言ってた…。
んっ?違う、今の生徒会長あの人じゃないわ。えっ?じゃあ今の人は誰なの?今後、会うことがあるの?確か名前は…、あれっ?今見た夢なのに名前が思い出せない…。それに顔もぼんやりしてきちゃった…。
う〜ん、また会ってもあの時の人って思い出せそうにないわ…。うん、とりあえずここは寝よ。起きて覚えてたら、また考えようっと…zZ』
オリーブはまたベッドに横になり、深い眠りへと誘われていきました。




