魔王
私は魔王ハディシス。
元々私は人間だった。だが親の顔も知らぬ、貧しいそこらへんの道端にいた子供だ。
そして幼少期を過ぎた頃から、少しずつ自分の見栄えの良い容姿を使い、私に群がってくる金持ちの化け物共を相手にしていた。
初めたきっかけは、あえて言う必要もないだろうが、まぁ恐らく今お前が想像しているような感じだ。(※年齢は小学生中学年くらい)
男でも見た目が良いというだけで、少し我慢すれば大金(※口止め料込み)が入る。
こんなにいい商売はない。何故か客が尽きる事もなく、まだまだ子供だった私には良い仕事だった。
そして成長していくにつれ、出来る仕事も増えた事をきっかけに足を洗った。(※年齢は高校生くらい)
だが大人というのは面倒だ。
見つけられないよう居場所を変えても、金を使って探される。
私はこの時点でこの世界にうんざりしていた。
私はある常連の男に追いかけられ、あっという間に見つけられると、その男の家の地下に監禁された。
満足に食事も与えてもられず、程なくして私は死んだ。
その後私は気付くと冥界にいた。私はここで絶望してしまった。
希望も夢も何もなく、何のために生まれてきたのかも分からないまま、ただ死んだという事実だけが現実にそこに存在していたからだ。
私は正気を失い、冥界にいた魂を喰い漁った。ただ無我夢中で喰いまくった。
そして全てを食べたきった頃、私の目の前に1人の悪魔が現れた。
「私達の王になりませんか?」
「王?何の?」
「悪魔の王、魔王です」
私は神話に伝わる冥界の神、ハデスから名を借りハディシスと名を改め、冥界並びに悪魔や魔物を統べる者、魔王としてここに城を作った。
地上で死んだ地獄行きの魂は、ここ冥界へ下りてくる。
それを私は食べ続け、そして闇の魔力を蓄えていった。
いつかこの星の人間共の上に君臨し、支配するそのためだけに…
私は魔物を徐々に地上へと送り出し、人間共に恐怖を与え続けた。
だが200年前、少しばかり出しすぎた事があった。
どうやら人間の中には魔物を引き寄せやすい奴がいるようで、あわや壊滅状態に近くなってしまった。
このままでは私の威厳を味わわせられないまま、人間がいなくなってしまう。
しばらく様子を見て、人間を増やさねばならなかった。
そんな中、人間だった1人の男が悪魔になり残り僅かだった魔物を全て倒した。
この悪魔を私の配下にしてやろうと思ったが、どうやらまだ世界に未練があるらしい。私はその悪魔をそっとしといてやることにした。
だが気になったのでこの悪魔を見張ることにした。
どうやら目覚めたと思ったらすぐに女が出来ているようだ。
魔王になってから人間に興味などなかったが、さすが私が目を付けた悪魔だ。
その女は私も気になるほどに美しい目をしていた。
その目は私とはまるで正反対な生き方、考え方をしている、そう感じさせられた。
この目を私で支配してやったら、いったいどんな景色が映るだろうそう思った。
だが私が目をつけてやった悪魔の女だ、横から奪うなど子供がすることだ。
しかし私は忘れていた。人間は愚かだということを。
そうか女、お前も私と同じように感じたんだな、人間は身勝手だと。
ならここへ来るといい、共に人間を支配しよう。
近くで見たその女の目は絶望を感じてはいたが、真っ直ぐに私を捉えていた。
何故そんなに真っ直ぐな目をしている。なぜ霞まない?その目が欲しい…
気付くと私は魔物を倒し終え、疲れきった女を抱きかかえベッドへと寝かせていた。
まさかこんなに早く、すぐに手に入るとはな。
私はこの城で1番いい部屋をこの女の部屋にしてやった。
部屋はこの城の最上階にあり、窓からは海の中が見えるようになっている。
もちろん私の部屋は隣だ。
女に触れるなどいつぶりだろう…
人間の頃からだから…、えっと250年くらいか…?
妃になってもらうからには、大事にしないとな…
どうしよう妃になりたくないって言われたら…!(汗)
大丈夫だ、私は魔王だ、怖いものなど何もない!
目覚めた女は思った以上に明るく、これまでに会ったことがない女だった。
どうやら目だけではなく心も真っ直ぐなようだ。
私は初めて自分よりも美しいものにその時出逢ったと思った。
これが恋というものなのかもしれない…
それから案の定、妃も断られた。
そしてどうやら下手に触れられないらしい。
さっきは思わず口づけでもしてやろうと思ったが…
ここから出ては行かないようなので、とりあえずは一安心だ。
これから大切に扱い妃になってもらえるように、私なりのやり方で接していこうと思う。
ちなみに私がいつもグラスで飲んでいる黒い飲み物は、冥界にきた魂である。
配下の悪魔に飲みやすいよう液状にしてもらっている。昔のように貪るようなことはしない。
これで少しずつだが闇の魔力を増やしている。
だがアルテミアにこれはあまり勧めたくはない。
なぜなら、とてつもなく不味いからだ!




