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えっ、私がこの世界を守るの?  作者: 藤崎七奈
第二部 【真実】

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試練

森の入り口で、カインを失った苦しみに打ちひしがれていたその時、私の周りに突然暗いオーラを放った『闇の魔法』が現れた。


「えっ…、何なの…、これ…」


闇の魔法は私を取り囲むように渦を巻きながら現れ、そして気付いた時には何処かへと飛ばされていた。


「ここは…、どこ…?」


飛ばされた先は城のような造りだったが、それにしてはどこか違う怖い不気味な雰囲気が漂っていた。

そして何故か無数の視線を私は感じた。


「よく来た半魔の女。ここは私の城だ」


ここは何処なのかと戸惑っていると、誰かに話しかけられた。


声のする方へ振り向くと、1人の長身の男が私の方へと歩いて近付いてきた。


「あなたは誰…?人間じゃないようだけど…、なぜ…、私をここへ…?」


恐る恐る男へ話しかけると、意味の分からない理解不能な言葉が返ってきた。


「私は魔王ハディシス。喜べ女、お前を私の妃にしてやる」

「…魔王…、の妃…、私が…?…えっ…?はっ??」


私はその言葉を聞き余計に頭が混乱してしまった。

だけど魔王と名乗った男は、さらに理解出来ないようなことを言ってきた。


「だが急に現れた今のお前では、私の配下達が納得しない。そこでだ、今から魔物を倒してもらう。ここでお前の実力を皆の前で見せろ」

「えっと…、仰ってる意味が…、全く分からないんですけど…」

「とりあえず今からここに魔物を出す。全て倒せば私の妃にしてやる。それだけだ、覚えたか?」


そう男は早口で話すと、急な事に混乱する私の顎を掴み目を覗いてきた。


「その目だ。私はその目が気に入った。人間に興味はないが、お前の目は何故かずっと見ていたくなる。だがら死ぬな。死んだ奴の目などに興奮はしない」


そういうと魔王は踵を返し私から離れると、玉座のような椅子に座った。


「初めろ」

「御意」


魔王の側に仕えていた悪魔が指を『パチン』と鳴らすと、私の回りに複数の魔物が現れた。


私は急な展開にとてつもなく戸惑っていた。


『もう、何なのよこれ!何が起こったって言うの!私は森の入口にただいただけなのに!と言うかここは何処?!まさか本当に魔王の城なの?いきなり連れて来られて、魔物を倒せとか私無理なんですけど!魔王の妃とかさっぱり意味分かんないし!

そんな事よりこの状況をどうにかしないと…、私絶対ヤバい気がする!こんな所で死にたくな〜い!!(泣)とりあえず短剣でも出してみる?』


私は腰にあるサンドラの形見の短剣を取り出した。


『待って!これで魔物倒すとか私やったことないよ〜!(汗)でも絶対やらないとやられる、確実に…、それだけは私にも分かる…』


私は意を決し短剣を構えてみた。


『やっぱり怖い!無理ったら無理!どうしたらいいの!何で私がこんな事に…(悲)』


そんな事を考えていた時、1匹の魔物が私を狙い襲ってきた。


とっさに短剣を前に出すと魔物は斬られ消えていた。


『えっ?消えた?私が切ったの?これで本当に倒せるんだ…』


だが次の魔物がすぐに襲ってきて、私は避けきれずに床に倒れた。


『いった〜、やられたかと思った…』


私は腕に出来た切り傷を光の魔法で癒し、回復して立ち上がった。


そんな私を椅子に座りながら見ていた魔王は、次で終わりだと思っていた。


『ありゃ全然ダメだな。わざわざチャンスを与える事もなかったか…。あの目は惜しいが、もう次で終わりだろう。だが光の魔法が使えるとは珍しいな。んっ…、蝶だと?どこから現れた?』


そして私が立ち上がると同時に魔物が後ろから襲ってきた。


『あっ、これ、ダメなやつかも…』


私は後ろから魔物に襲われ、短剣を構えるのが遅れ死を覚悟したその時、目の前に1匹の『青い蝶』が現れたかと思ったら、蝶は人魚へと姿を変え私を庇い深手を負い倒れた。


「何とか…、間に合ったみたいね…」

「えっ、人魚?どうして私を?それより傷を回復するわ!」


突然現れ私を庇い傷を負った人魚を、回復させようとすると人魚がそれを止めた。


「いいの、このままで…」

「でも!」

「今のアナタの魔力量じゃ、この傷の深さは治せないわ…」

「だけど、それじゃあアナタが!」

「ふふっ、相変わらず優しいのね…」

「私を知ってるの?」

「ずっと前から知ってるわ…、と…その前に…」


人魚は自分と私を大きな『水の球体』の中に閉じ込めた。


「えっ?水の中?」

「これは『水の結界』よ…、これで誰も私達の邪魔は出来ないわ…」

「凄い!結界を張れるなんて!」

「私は攻撃よりも…、防御の方が得意なの…。って…、それよりも…、助けるのが遅れてごめんなさい…、ここを見つけるのに苦労したわ…」

「アナタはいったい…?それになぜ私を助けてくれたの?」

「私がそうしたかったからよ…」

「ありがとう、人魚さん」

「私の名前はウンディーネ…、あまり時間も残されてなさそうだから手短に話すわ…。私の魔力の全てをアナタに捧げ、そして私は『水の防御』となってアナタをずっと守ってあげる…」

「えっ?守る?」

「そうよ…、私は消えてしまうけれど、これでアナタの側にずっといられるわ…」

「消えちゃうの?それに会ったばかりの私を守る?」


ウンディーネは私の頬に自身の手を伸ばし、触れながら話しかけた。


「アナタの魂には、記憶があるはずよ…、それを思い出して…。今までもこれからもずっと私はアナタを愛してるわ…。

最後に会えて本当に、よ…、かっ…、た…」


ウンディーネは薄れ行く意識の中で思っていた。


『オリーブ…、どうか昔のアナタに戻って…。…魔王、お前にオリーブをそう簡単には渡さない…!』


ウンディーネは水の泡となり消えると、泡は私の中にどんどん入ってきた。


『なっ、なに…、これ…、頭の中に何がって…、これって…、前の短剣の時と同じ…』


すると私の頭の中にはオリーブという人間の少女、そしてエルフの少女の記憶が断片的に入ってきた。


『人間の少女と、エルフの少女の2人の記憶がなぜ私の中に?それに途切れ途切れで全てではないわ』


私は側に落ちていた短剣を拾い見つめながら思った。


『どうやらこの記憶の中のエルフの少女は、短剣で魔物を倒していたようね』


私を包んでいた『水の結界』に触れると、結界は触れた手から私の中へと全て入ってきた。


私は目を閉じエルフの少女の記憶を思い出していた。


『何だかここに連れて来られてから、全部が突然すぎてよく分かんない事だらけ…。だけど何でだろう、この記憶の中のあのエルフの動き、私にも出来そうな気がする。もう一か八かどっちにしろやるしか、ここから抜け出せる道はなさそうね』


私は目を開き覚悟を決め、近くにいた魔物を持っていた短剣で斬ってみた。


『出来る!動ける!次の魔物の動きまで分かる!』


動きの変わった私を魔王は見ながら思っていた。


『さっきの人魚、あの女に何かしたようだな。光の魔法といいさっきの人魚といい、どうやらあの女には他にも何かありそうだ。ますます興味が湧いてきた。それになかなかいい動きをしている。

だが、剣1つで魔物は倒せないぞ。さぁ、どうする女…』


そして私もこのままでは埒が明かないと思っていた。


『魔物の数が多い。1匹ずつやってたら、これじゃあキリがない。さっきの人魚、ウンディーネだったかな?確か魔力あげるって言ってたよね。だったら…』


私は魔物を短剣で切るのをやめ、『光の矢』を無数に出し残っていた魔物を全て蹴散らした。


『前は魔力が少なくて光の矢1本しか出せなかったけど、こんなに出せるようになったんだ。と言うか魔力…、急に…、使い…、すぎ…、た…』


私はそのまま意識を失ってしまった。

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