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えっ、私がこの世界を守るの?  作者: 藤崎七奈
第一部 【愛と平和】

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教会

世界が滅んでから約200年が経ちました。


200年前僅かに生き残った人々は復興に人力し、そして今新たな世界が既に出来上がっていました。


ヘイデン城の地下深くに潜り1人孤独に過ごしていたカインは、オリーブを失った傷を癒やしてなどいませんでした。


カインは日に日に闇の力を蓄え何と『悪魔』になっていました。


「1人でいるのも疲れた。上は一体、今どうなっているんだろう…」


そう思ったカインは外へ出てみることにしました。


カインは全く異なってしまった街並みを、キョロキョロしながら歩いていました。


「おい、アイツ何なんだ…」

「悪魔だわ!」

「悪魔が来たぞ!」


そんなカインを皆は見るとすぐに逃げていきました。


カインは自身を見て逃げる人々を見ると、自分の手を見つめながら呟きました。


「そうか、この姿だと目立つのか…」


カインは近くの住宅の軒先に洗濯物で干してあったマントを奪い取り、頭から被りました。


その時です、少し先の前を歩いていた少女が目に入りました。


『あの顔、どこかで…!』


カインは思わずその少女を追いかけました。

すると少女は教会の中へと入っていきました。


「ここは、…教会か」


カインは少女が気になり教会の中へと入りました。


「今日はもう占いやってないの。明日にしてくれない?」


少女は教会へ入ってきたカインに話しかけました。

しかしカインは無言で少女に近付いて行きました。


「あなた、何者?」


少女は短剣を取り出し、カインの首元に突き出しました。


「人間?じゃなさそうだけど」

「ほう、分かるのか?」

「えぇ、その気配魔物かしら?」

「だったらどうする?」

「やるしかないわ」


カインは突き出された少女の腕を掴み短剣を下へ落としました。


「剣が落ちだぞ、どうやるんだ?あまり剣は習ってないようだな。また来る」


カインはそれだけ言うと踵を返し帰っていきました。


『今の魔物一体何?!また来るとか言ってたわ…!』


少女は魔物に会いとても戸惑っていました。


カインは少女をしばらく遠くから見張り調べる事にしました。

どうやら少女はこの教会の修道女のようです。


そして彼女には他の修道女とは違い不思議な力があり、魔法で怪我をした人々を治しているようでした。


そしてもう1つ占いも得意で、教会にきた人々を占っていました。


『気になる、あの吸い込まれそうに真っ直ぐにこちらを見てくる大きな瞳。初めて会った私に短剣を向けるほどの強気な性格、似ているオリーブに…』


カインはどんどんその少女にのめり込んでいきました。

数日後カインはまた教会へ現れました。


「今日は何のよう?」

「冷たいな」


教会の中にはその少女1人しかいませんでした。


「魔物に優しくする人間はいないわ」

「魔物じゃない、悪魔だ」

「そう、悪魔ね」

「興味ないのか?」

「ないわ」

「俺はカインだ、お前は?」

「悪魔に名乗る名などないわ、あっ誰か来たわ。アナタは早く帰って」

「なら後ろで見てる」

「はぁ?」


すると教会の中へと1人の女性が現れました。


「アルテミア様!今日は彼との相性を見て欲しいの!」

「分かりました。ではそこへ座って下さい」


入ってきた女性は椅子に座ると、すぐに話をはじめました。


「彼に告白されたの!だからアルテミア様に相性を見てもらってから決めようと思って」

「そうなのですね。では彼との相性を見ましょう」


アルテミアと呼ばれた少女は水の張ったグラスをテーブルの上に取り出し、グラスの上に両手をかざしました。


するとグラスの水の中に複数の星がキラキラと輝きながら現れました。


アルテミアと相談相手の女性はグラスの中を覗きました。


「どうですか?アルテミア様」

「これがアナタの星、こっちが彼の星。相性は…、悪くはないです」

「本当ですか?!」

「えぇ、ですが喧嘩も多いと星は言っています」

「喧嘩ですか?」

「喧嘩をするほど仲が良いと聞いたことがあります。きっと2人ならば乗り越えて行けるでしょう」

「ありがとうございます!告白受け入れます!じゃあ、また!」

「えぇ、お気を付けて」


カインは彼女が帰るとアルテミアに近付き名を呼びました。


「アルテミア」

「何?悪魔」

「俺はカインだ、覚えろ」

「いや」


カインは後ろを向いていたアルテミアを振り向かせ、顎を掴み至近距離で目を覗きました。


「やはり似ている」

「誰に?」

「カインと言う名に覚えはないか?」

「ないわ」

「そうか分からないか、また来る」


カインはそう言うとまた踵を返し教会を出ていきました。


『もう、なんなのあの悪魔…、はぁ…』


アルテミアは誰もいなくなった教会の中で、戸惑ったようにため息をつきました。


そうカインがオリーブに似ていると思った少女、彼女こそオリーブの生まれ変わりでした。


200年前世界が滅んた時、オリーブは巨大な魔物を倒し代わりに命を落としました。


しかしその時、密かにウンディーネが現れオリーブの魂をこっそり持ち出し、自身の湖へ持ち帰り大切に守り続けてきました。


そして18年前ウンディーネはオリーブの魂を地上へと戻しました。


オリーブは産まれてすぐ教会の前に捨てられ、そのまま教会で育てられ修道女になりました。


『オリーブ、世界は滅んだけれどアナタの魂だけは守ってきたわ。そして世界はまた平和になった。今度こそ何にも縛られず幸せになるのです。さぁ、行きなさいオリーブ』


朝になりアルテミアは自身の部屋のベッドの上で目を覚ましました。


『今の夢に出てきたのは人魚?それにオリーブって誰のこと?』


アルテミアは今見た不思議な夢を思い返していました。


「アルテミア〜!お祈りの時間よ、起きなさ〜い!」

「は〜い」


ドアの向こうから声をかけられ、アルテミアは急いでベッドから出て礼拝堂へ向かいました。


そして午後になりアルテミアの占いの時間になると、またあの悪魔が現れました。


そうして何度も悪魔と会っていたアルテミアは、徐々に悪魔に心を開いていきました。


「なぜ毎日来るの?カイン」

「会いたいからだよ」

「誰に?」

「アルテミアにだよ」

「はいはい」

「本当だよ?アルテミア」

「悪魔に好かれてもね」

「私はもとは人間だよ」

「そうなんですね」

「信じてないな?アルテミア」

「信じられるわけないじゃない」


そして次の日もまた次の日も毎日カインはアルテミアの前に現れ、そんな日々が続きアルテミアはとても悩んでいました。


『カイン、なぜいつも来るの?私は修道女よ。アナタの気持ちには答えられないのに…』


そんなある日の夜、アルテミアの部屋の2階の窓ガラスをトントンと叩く音がしました。


アルテミアが窓を開けるとそこにはカインがいました。


「カイン、何故ここへ?」

「アルテミアに会いに来た」


カインはアルテミアの部屋の中へと入ると、真っ赤なチューリップの花を1本差し出して言いました。


「アルテミア、私は君なしでは生きていけない。愛している」

「…カイン、私もよ」


アルテミアは差し出されたチューリップの花を受け取りました。



次の日の朝、アルテミアが目を覚ますと隣で寝ていたはずのカインの姿がありません。


カインがいた場所を触ると、まだほんの少しだけ温かさがありました。


「カイン…」


その夜から毎夜、カインはアルテミアの部屋を訪ねました。


「アルテミア、会いたかった」

「私もよ、カイン」


2人は抱き合い再会を喜び合いました。


「夜が来るまで長いわね」

「そうだね、アルテミア」


部屋のベッドの中でアルテミアは隣にいるカインに話しかけました。


「ねぇカイン。私のこと愛してる?」

「もちろんだよ、アルテミア。私は君だけを愛している」

「よかった、私も愛してるわ。カイン」


2人は口付けしあい夜の闇に溶けていきました。


2人は人間と悪魔という立場でしたが、互いにとても深く愛し合っていました。


しかし無情にもアルテミアの恋は長くは続きませんでした。


カインと夜に部屋で会い、瓶に挿していた貰ったチューリップの花もしだいに黒くなってきた頃、街で妙な噂が広がりました。


「悪魔と修道女が愛し合っている」

「夜に2人で会っているらしい」

「悪魔に修道女が騙されているに違いない」


そんな噂が流れたのです。

どうやら教会に入っていくカインを見かけた人から、そのような噂が街に広まってしまったようです。


そしてそれを聞いた市民が教会に殺到しました。


「悪魔と本当に会っている奴がいるのか?!」

「その修道女を出せ!」

「悪魔に騙されているんだ!」

「悪魔から早く引き離せ!」


教会は対応におわれ、アルテミアもどうしたらいいのか分からずにいました。


そしてその夜、カインは今日もアルテミアに会いに教会を訪れました。


「来たぞ!悪魔だ!」

「やはり噂は本当だったんだ!」

「修道女をたぶらかしやがって!」


市民達は悪魔を待ち伏せし取り囲み襲いかかりました。


しかし悪魔のカインにかなうはずもなく、あっけなくやられていきました。


「強い!だがこちらには光の魔法がある!」

「お前などすぐに消える!」

「そうだ、アルテミア様だ!」

「アルテミアだと?」


カインの目の前には神妙な面持ちのアルテミアが現れました。


アルテミアは修道女、市民を苦しめる悪魔を許すわけには行かないのです。


「ごめんなさい…、カイン…(悲)」

「いいんだよアルテミア、君にならこの命捧げよう」


そう言うとカインは両手を広げ目を閉じました。


『これでやっと皆の所へ行ける…、オリーブ』


アルテミアは『光の矢』を放ちカインの胸を刺しました。


そして倒れたカインの服のポケットから何かが出ていることに気付き、アルテミアが取り出すとそれはルビーのネックレスでした。


アルテミアが教会に捨てられた日は7月26日。

この捨てられていた日を私の誕生日に教会の人がしてくれたと、アルテミアはカインに話していました。


カインはそれを聞き誕生石のルビーのネックレスを用意し、2人で何処か遠くへ行こうとアルテミアに言うつもりでした。


しかしそれをアルテミアに伝えることが叶わずに、カインは亡くなってしまいました。


アルテミアはルビーのネックレスを手に取り急いで部屋へと戻ると、自身のベッドで涙に暮れました。



そして翌朝まだ日も昇りきっていない早朝、アルテミアは教会を出ました。

胸元にはルビーのネックレスが光り輝いています。


アルテミアは最愛の人を殺し失った悲しみと、人間の狭間で揺れ動き悩みそして半魔となってしまいました。


そんなアルテミアをある民家の窓辺に飾られた花瓶の中の紫色のチューリップが見つめていました。



__________________



「この半魔の女を殺すのはもったいないな。よしっ、この星と一緒に私の者にしてやろう」


ずっと遠くからこの星を観察していた者が、アルテミアに目をつけてしまいました。

ここまで読んでくださった方ブックマークや評価などしてくださった方ありがとうございます。

なぜオリーブ(アルテミア)を幸せにしないんだ、胸が痛んだなどと思ってくれた方が一人でもいたらとても嬉しいです。

批判も覚悟しておりますので、ぜひそんな方からの感想をお待ちしてます。


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