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えっ、私がこの世界を守るの?  作者: 藤崎七奈
第一部 【愛と平和】

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決戦

その頃城では、アリシアの綺麗な歌声を聞きつけクリスが側へ寄ってきました。


アリシアは近付いてきたクリスに気付くと、少し休憩をしようと歌うのをやめました。


「アリシアお姉ちゃんの声とっても綺麗!僕ビックリしちゃった!」

「ありがとう、クリス」

「アリシアお姉ちゃんの事は僕が魔物から守ってあげる、だから歌って!」

「分かったわクリス、ありがとう」


アリシアの歌声は近くで魔物を倒していた、クリスやウィリアムにも降り注ぎ加護しました。


そしてオリーブはサラマンダーに連れられ巨大な魔物の側に降りました。


雷樺も走ってすぐにオリーブを追いかけてきました。


「サラマンダー、ありがとう」

「私と精霊獣は周りの雑魚をやるから、オリーブは気兼ねなくあのデカブツをやりなさい」

「分かったわ」

「精霊獣、行くぞ!」

「私に命令するな!」


雷樺とサラマンダーは以外にも息の合う動きをしながら、オリーブの周りにいた魔物を倒しはじめました。


そしてオリーブは巨大化してしまったリアムコットの魔物の討伐を本格的にフォーレと共に開始しました。


ですがなかなか上手く行きません。


「大きいわ。それに再生してない?」

「えぇ、再生してるようね」

「はぁ、厄介だわ」


オリーブはまた討伐を開始しましたが、何度も魔物はすぐに再生してしまい上手く倒せません。


「どうしたらいいのかしら…」

「そうね。あの再生よりも早く次の止めの一撃を刺す必要があるわ、オリーブ」

「分かったわ。フォーレ」


その時です、さすがに戦闘ばかりで少し疲れてしまったオリーブは油断をしてしまい、魔物に捕らえられてしまいました。


「離して!」


少し離れた所にいたサラマンダーはオリーブの声で捕まってしまったのを知り、すぐに助けようとしました。


ですが、オリーブは魔物にきつく捕まり気を失いかけたその時『風の刃』がオリーブを捕まえていた魔物の手を切り裂き、何者かが落ちるオリーブを抱きかかえ助けました。


「大丈夫かい?オリーブ」

「アナタは?」


優雅にオリーブを地面へ下ろした男は、オリーブの問いかけに答えました。


「僕はシルフ。風の精霊王だよ」

「風の精霊王シルフ?」

「あぁ、ヒーローは後から遅れて登場ってね☆」


シルフはウインクをしながらオリーブに言いました。


「シルフ様助けていただき、ありがとうござまいます」

「皆と同じようにシルフでいいよ。オリーブ」

「そうですか?ではシルフ、ありがとう」

「うん、それでいい」

「シルフ、遅いじゃないか!」

「サラマンダー、久しぶりだね」


サラマンダーはシルフの側に寄りながら話しかけました。


「相変わらず透かした奴だな…」

「フォーレも久しぶり」

「久しぶり、シルフ」

「長話してる暇はないぞ、シルフ!」

「そのようだね、サラマンダー」


サラマンダーはまた魔物の退治へと向かいました。


そしてシルフはオリーブに話しかけました。


「オリーブ」

「はい、シルフ」

「僕は君の依り代にはなれなかった。だけど同じ国の者としてこの国を救いたい」

「えぇ」

「だから僕は君の刃になるよ」

「刃?」

「フォーレの翼で自在に動けるならば、魔物を切り裂く刃が必要だろう?」

「えぇまぁ、でもどうやって?」

「こうするのさ」


よく分からないと言うような表情をするオリーブをよそに、シルフは『風の剣』となりオリーブの手に収まりました。


「凄い!剣だわ!」

「僕は風の剣となり君を助けるよ、オリーブ」

「えぇシルフ、ありがとう」

「さぁ僕の切れ味を試したまえ、オリーブ!」

「分かったわ!遠慮なく行くわよシルフ!フォーレ!」

「えぇ、もちろんオリーブ!」

「あぁ、オリーブ!」


シルフの風の剣を手にしたオリーブは、再び巨大な魔物へと立ち向かって行きました。


実はシルフは城にある『オリーブの木』を依り代にし、オリーブの成長をずっと側で見守ってきたのです。

(※オリーブの木はオリーブの部屋から見える木です)


「シルフ、オリーブの剣になったか。私だって負けられない!」


サラマンダーはオリーブ達を見ながら、より一層魔物へと立ち向かいました。


そしてシルフの剣はさすがとても鋭く、巨大な魔物をあっという間に切り裂いてしまいました。


「凄いわシルフ!」

「お気に召していただけたかな?オリーブ」

「えぇ、とっても!」

「ならこのまま別の魔物も切ってしまおう」

「そうね!」

「待って、オリーブ!」

「んっ?シルフ?」

「どうやらまだのようだ」


オリーブが別の魔物へと移動しようとした時、先程切ったばかりの巨大な魔物が再生を始め元へと戻ってしまいました。


そしてオリーブはその後何度も巨大な魔物へと挑みましたが、すぐに再生してしまいます。


『再生が早いわ…、どうしたら…』


「もう1度行こう、オリーブ!」

「待ってシルフ」

「どうした?オリーブ」


オリーブは強張った顔つきで側にいた2人に言いました。


「フォーレ、シルフ、2人はもう私から離れて」

「えっ?オリーブ?」

「どうする気だい?オリーブ」

「私1人で、あの魔物へ突っ込むわ」

「なに言ってるのオリーブ!」

「そうだ危険だ!そんな事!」

「他に方法がないわ。だから私だけで行く」

「ダメよオリーブ!私達は一心同体でしょう?」

「フォーレ…」

「そうだ、君が行くなら僕も行くよ」

「シルフ…、だけど私は…」

「死ぬ気なのね?オリーブ」

「それなら、皆一緒に行こう」

「フォーレ…、シルフ…、ごめんなさい2人共。私にはこれしか巨大な魔物を倒す方法が思いつかないの」

「最初から分かってあるわオリーブ。これが私の選んだ道よ」

「あぁ、これで我が国ヘイデンを救えるなら本望だ」

「本当にいいの2人共?」

「構わないわ!」

「いいよオリーブ!」

「本当ね?本当にいいのね?」

「いいわ!オリーブ!アナタは私の依り代よ!絶対に離れないわ!」

「僕はヘイデンを救うためなら君に何でも捧げる覚悟だ。最初からそのつもりで来ている!」

「ありがとう、2人共」


すると何かを感じ取った雷樺がオリーブの側に寄りました。

オリーブは側にきた雷樺の顔を撫でながら話しかけました。


「雷樺、アナタはここにいて」

「分かった、オリーブ」

「また会いましょう、雷樺ライカ!」


オリーブは覚悟を決めるとフォーレ、シルフと共に巨大な魔物へと突っ込みました。


『あぁ皆んな怒るかしら…、アリシア、メアリー、ロニセラ、ウォルター、アイザック、ネリネ、リコリ、長老さん、父様、母様、兄様、クリス、アイリ、そしてカインさようなら…』


オリーブは自身の力を魔物の中で解き放ち全てを開放しました。

魔物はその力に圧倒され、跡形もなく消えてなくなりました。


すると1匹の『青い蝶』がどこからか現れ、またすぐにどこかへと飛んで行ってしまいました。


しかし最大の魔物は倒されたものの、世界にはまだまだ沢山の魔物が残っていました。


オリーブという戦力を失った世界は魔物に圧倒され、皆徐々に力尽きていきました。


メアリーは、炎の鳥を出しケツァールの人々のため懸命に戦いながら…


ロニセラ、ウォルター、アイザックは、オリーブを追うため魔物を倒しながら…


ネリネ、リコリは、エルフの里のために戦いながら…


ヘデラは、首長として地の精霊を使いエルフの里の皆のために戦いながら…


カーティス、ナディアは、王、王妃として国の象徴とし懸命に戦いながら…


ウィリアム、クリスは、城の中に出た魔物と戦いながら…


アイリは、変装を解きエルフとなり城で魔物と戦いながら…


アリシアとミエールは、オリーブや皆の事を思い懸命に光の魔法で戦いながら…


サラマンダーは、最後まで残りドラゴンになり口から火を放ち魔物をほぼ壊滅した後で力尽きて…


そしてそんな中、カインはボロボロになりながらも懸命にオリーブを探していました。


「オリーブ!どこだ?オリーブ!」


カインは街の中にあった、ある教会へまるで吸い込まれるように入りました。


するとそこにはボロボロになった雷樺と、その横にはオリーブが横たわっていました。


「オリーブ!」

「近寄るな!」

「精霊獣、オリーブはなぜ動かない?」

「オリーブは死んだ!何をしていた!必ず守れと言ったはずだ!」

「死、ん、だ…」


カインは雷樺の言葉を聞き、その場に崩れ落ちました。


雷樺はオリーブが倒した巨大な魔物が消えた後オリーブの亡骸を見つけ出し、魔物に襲われながらも必死に守り抜きここに隠れていたのです。


雷樺はオリーブを失った悲しみのあまり、悲嘆に暮れるカインを責めました。


「私はお前だから頼んだのだ!オリーブの最後、側にいなかった者にオリーブに触れる資格などない!」


雷樺はオリーブを背に乗せると、あっという間にその場から消えてしまいました。


雷樺は最後の力を振り絞り初めてオリーブに出会った場所、そしてオリーブの大好きな場所である城の中庭へと行きました。


雷樺はオリーブをゆっくりとその場へと降ろし、オリーブに寄り添いながら息絶えました。


そして1人残されたカインは、悔やみました。


『どうして私だけが取り残されたのだ?オリーブも何もかもを失い頭がおかしくなりそうだ。そうだ魔物だ。魔物のせいだ。魔物がいたからこんなことになったんだ。魔物さえいなければ!』


カインは禍々しいオーラを放ちながら外へと出ると、残り僅かになっていた魔物を圧倒しはじめました。


「オリーブ…、魔物倒したぞ…、全て…」


そんなカインを、道端に咲いていた白いチューリップの花が見つめるように寂しげに風に揺れていました。


そしてカインはヘイデン城の地下牢よりもさらに深い所へ潜り、1人孤独に生きていくのでした。



__________________



そして別の所では、ある男がグラスを片手にこちらの様子を監視していました。


「ハッハッ、面白い事になったな、今ならこの星を手に入れられるか。だがもうしばらくどうなるか、このまま見るとしよう」

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