巨大な魔物
「何故私がこんな地下牢などに入っているのだ!出せ!カーティスめ、絶対に許さん!私から何もかもを奪いやがって!お前だけ独り占めしやがって!富も地位もそれは本当は全て私の物だ!何が火の魔法だ!この出来損ないが!火魔法など聞いたことも見た事もないわ!覚えていろカーティス!私を馬鹿にしやがって!カーティスの家族などより私の嫁も娘もお前の家族などよりも優れている!なのに何故いま私はこんな所に閉じ込められているのだ!ふざけるな〜!」
カーティスの兄リアムコットは、日に日に弟カーティスへの怒りを増幅させていきました。
カーティスはリアムコットに頭を冷し、冷静に判断して欲しいと思い牢へ入れました。
カーティスはリアムコットを口は悪いが、頭の悪い人ではないと分かっていたからです。
本当は兄に自身の補佐や相談役など側でしてほしい、リアムコットならば出来ると思っていました。
しかしリアムコットはそんなカーティスの思いに反し地位や名誉、権力に目がくらみ自分こそ王に相応しいと勘違いをし歪んだ正義にかられ溺れていました。
それは牢に入っても変わる事はなく、むしろ自分から何もかもを奪うカーティスを恨み憎むようになっていってしまいました。
飲み込まれていたリアムコットの魔物は、オリーブによって倒されましたが完全には消えていなかったのです。
そしてついにリアムコットは悪に心を蝕まれ本当の魔物へと変貌し、ヘイデンを中心に世界を今恐怖へと陥れようとしていました。
それはお昼休み学校の屋上で5人皆で集まっていた時でした。
オリーブが慌てて立ち上がり、屋上の囲いの側まで行くと城の方を見ながら言いました。(※囲いは腰までの長さ)
「私の結界が壊されたわ」
アリシアも立ち上がりオリーブの側に行き声をかけました。
「えっ?結界?」
「あれは、城の方だわ」
「オリーブの結界壊されたの?」
「えぇアリシア。皆んなが心配だわ私行くわ!」
オリーブは雷樺の背に乗りすぐに城へ向かいました。
そして残された皆も気付きはじめました。
「オリーブの結界壊されたからか、何か魔物出てきてない?」
「そのようですね」
「早すぎない?しかもこんなに」
「とりあえずアリシア、私の後ろへ下がって」
アリシアはウォルターの後ろへ急いで隠れました。
「私達もオリーブの後を追おう」
「あぁ、すぐに行こう」
「すぐに追うぞ」
男性陣3人は精霊に預けていた剣を取り出し、魔物を切りながら城へ向かいました。(※カインにも風の精霊が側にいる)
オリーブは一足先に城へ着き王の間へ急ぎました。
新しい結界は魔物がいない状態で張らないと意味がないのです。
「父様、母様!」
「オリーブ!無事だったか」
「魔物ここにもいるのね、兄様私も手伝うわ!」
オリーブが着くとウィリアムが魔物退治をしていました。
オリーブはすぐに魔法で木の葉を出し魔物を倒しました。
「助かった、オリーブ」
「ありがとうオリーブ」
「ありがとうオリーブ、来てくれたのね」
「私の結界が壊されて、城から魔物の気配を感じで急いで来たの」
「そうかオリーブ、考えたくはないが恐らく奴だろう」
「牢に入れたお兄さん?」
「あぁ、それ以外考えられん」
「アナタここは腹を決めるしかありませんわ」
「そうだな、ナディア」
「父様?母様?」
オリーブが何の事かと不思議な顔をすると、カーティスが真剣な表情になって言いました。
「オリーブ、兄リアムコットの討伐を命じる」
「討伐?!」
「あぁ、もうここまで来たらやるしかあるまい。これ以上国民を王族のいざこざに巻き込むわけにはいかぬ」
「分かりました。だけど討伐は1度様子を見てからにしては?」
「オリーブに奴のことは全て任せる」
その時です、魔物になってしまったリアムコットが王の間へ現れました。
それを見たカーティスはリアムコットに話しかけました。
「兄さん!」
「あああああ」
「言葉が分からないのか…!」
「あああああ」
「あれはもう完全に魔物よ、父様!」
「そうか魔物に侵されたか…、オリーブ頼む」
「分かったわ」
オリーブはリアムコットの魔物を倒そうとしましたが、魔物はますます巨大になり外へと出て行ってしまいました。
「どこへ行くの?待ちなさい!」
オリーブは蔦で縛りましたがすぐに解かれてしまいました。
「フォーレ!」
「OK!」
オリーブはフォーレと一体となり飛びながら追いかけました。
しかしそれを拒むように次々に魔物が複数現れ、なかなか近付けません。
雷樺も姿を現しオリーブと共に戦っています。
するとウィリアムが追いかけてきて魔物を切り始めました。
「ここは任せろ!早く行け!」
「兄様、ありがとう!」
オリーブはすぐに巨大化した魔物を追いかけながらフォーレに話しかけました。
「どうしたらいいの?このままじゃ街へ行ってしまう」
「アイツ魔物を呼び出してるわ、このままではヘイデンいえ世界が大変よ」
「そんな…」
「元の魂が相当の恨みを持っていたのね。だから魔物も出やすいし強いんだわ」
「それでも、やらなきゃ!」
オリーブは魔物を倒しながら何とか城の門まできました。
その時オリーブを追いかけてきた皆が学校から到着し合流しました。
「オリーブ!」
「皆んな来てくれたのね!」
「もちろんよ」
「もちろんさ」
「もちろんだよ」
「もちろんだ」
「巨大化した魔物が街へ行ってしまったわ。私はあれを討伐しろって父様から言われたの。だから追いかけるわ!」
「分かった、私達も行こう!」
「行こう!」
「行くぞ!」
「なら先に行くわ、皆んな私に付いてきて!」
「オリーブ、気を付けて!」
「えぇ、絶対に倒して戻ってくるわアリシア」
オリーブはアリシアと軽く抱き合うと、すぐに皆と共に街へと急ぎました。
そして1人その場に残されたアリシアは、光の精霊女王ミエールに話しかけました。
「ミエール、私に出来る事はない?」
「もちろんあるわ、歌うのよ」
「歌う?」
「そう。アリシアの歌声で皆を加護し、後押しするのよ」
「私にそんなこと出来るの?」
「出来るわ。これはアナタにしか出来ないことよ」
「分かった、ならっ…」
そう言ってアリシアはオリーブの大好きな城の中庭へと行きました。
「ここならいい歌が歌える気がするわ」
「オリーブの好きな場所ね」
「えぇ」
アリシアはオリーブや皆んなの事を頭に思い浮かべながら歌い始めました。
その頃街に出た魔物達と皆がやり合っている最中、少し離れた場所にいたカインに雷樺が話しかけました。
「おい、お前!」
「えっ、精霊獣?」
「そうだ、私だ」
「こんな時に何か御用ですか?」
「こんな時だからだ、お前にしか頼めない用だ」
「えっと、それは?」
「オリーブを守り抜け!必ずだ!分かったか!」
「それはもちろんです!」
「ならいい、彼女こそこの世界の要だ」
「はい!でも何故私に?王子達ではないのですか?」
「それは…、他国の奴などに頼めぬからだ!」
「分かりました!必ず守り抜きます!」
「お前の命よりも守り抜け!これは絶対だ!分かったな!」
「はい!分かりました!」
雷樺はカインがオリーブを誰よりも思っていると思っていました。だからこそ自分の願いを託したのです。
そしてオリーブもまたカインを好いていると、誰よりもオリーブの側にいた雷樺は気付いていました。
そんなオリーブにピンチが訪れていました。
『強い、今までの魔物と全然違う。それに魔物の数も多過ぎる。このままじゃ…』
「オリーブ!もたもたしてんじゃねー!」
「えっ?」
そんな事を考えていたオリーブに、ロニセラが現れオリーブのすぐ側にいた魔物を斬り倒したのです。
「ロニセラ、どうして?!」
「あれだ」
ロニセラが上を見上げたのでオリーブも上を見ると、そこにはドラゴンのサラマンダーがいました。
「サラマンダー!」
「アイツが急に里に現れて、オリーブが危ないからってここまで連れてきてもらった」
「そうなのね、ありがとうロニセラ。助かったわ」
「あぁ油断するな、やられるぞ」
「分かってるわ」
そんな事をロニセラと話していると、ドラゴンから人間の姿になったサラマンダーがオリーブに近付いてきました。
「姫、良かった無事だね」
「えぇ来てくれてありがとう、サラマンダー」
その時アリシアの綺麗な歌声がどこからともなく聞こえてきました。
「アリシアの声だわ!」
「ほう皆を加護するのか、さすが光の精霊女王ミエール」
『とても温かい、力が湧いてくる…』
オリーブが手の平を見ながら握りそう思っていると、隣にいたロニセラが騒ぎ出しました。
「俺にも何か降りかかってきたぞ?!」
「ロニセラにもアリシアの加護がかかったのね」
「私もミエールに負けられないな。よし姫、あのデカブツの所まで連れて行ってあげるよ!」
「えっ?」
「はっ?」
「キャー!」
「オリーーブ!!あの野郎…!」
オリーブはドラゴンになったサラマンダーの背に乗せられ、あっという間に連れて行かれてしまいました。
「もうサラマンダー、勝手に…」
「いいだろ、どうせいくつもりだったんだろ?」
「…そうだけど」
「ずいぶんと街がやられてしまったようだね」
「本当だわ、急がなきゃ」
街は巨大な魔物のおかげで見るも無惨な状態になっていました。
そしてサラマンダーとオリーブは巨大な魔物へと近付いて行きました。
「ロニセラさん、今のドラゴンは?」
男性陣3人はロニセラに追いつき話しかけました。
「ようお前ら、あれはサラマンダーだ」
「サラマンダー、精霊王ですか?」
「そうだ、お前は見かけない顔だな」
「カインです。ロニセラさんですか?」
「カインか。オリーブから聞いたことあるな、確か幼なじみだろ?」
「そうです。私もオリーブからエルフの強い人に戦い方を教わっていると聞いています。その人の名はロニセラだと」
「そうか、じゃあまずオリーブを追いかけるぞ!お前らついて来い!」
「はい!」(3人合わせて)




