挑戦
オリーブ達はその後ヘイデンへと数十日かけ帰国しました。
ヘイデンへ到着したオリーブ達はさっそく王の間へと行き、王と王妃に報告へ向かいました。
「父様、母様戻りました!」
「おう、オリーブよく戻った」
「オリーブ元気そうで何よりです」
オリーブはサラマンダーから聞いた、世界に魔物を出現させこの星を狙っている者がいる、闇は近づいていると言う話をしました。
「そうか、皆ご苦労だった」
「それからサラマンダーが言ってたんだけど、父様に火の魔法を施したのは自分だって、私にも少し火の魔法くれたの」
オリーブはそう言いながら手の平を出し、小さな火を起して見せました。
「何と!精霊王が私に…、そして娘にもくださるとは…」
「アナタ皆の前で泣かないで下さい」
報告を終えオリーブ達は部屋へと下がり、オリーブは自身の部屋のベッドへとダイブしました。
「あ〜、疲れた。何日も馬車に乗るなんて疲れるわ。鍛錬でもしようかな。火の魔法のこと長老さんに自慢したいしな。アイリ」
オリーブはベッドから起き上がるとアイリを呼びました。
「何でしょうか?オリーブ様」
「久しぶりにエルフの里に行ってくるわ。長老さんに会って、あと鍛錬もしてくる」
「分かりました、お気をつけて」
オリーブはすぐさまエルフへと変装し、雷樺と共にエルフの里へ向かいました。
「エルフの格好も久しぶりだわ!」
オリーブは久しぶりのエルフの格好に、ウキウキしながらエルフの里のヘデラの家へ行きました。
「長老さん、久しぶり!」
「オリーブ久しぶりじゃのう」
「聞いて、私火の魔法出来るようになったの」
「騒がしいな、オリーブかよ」
「あっ、ロニセラもいたのね」
「何だよ、その薄い反応」
「火の魔法が出来るようになったのか?確かに僅かにじゃが火の気配を感じるの」
「うん、少しだけね」
オリーブは手の平を出し火を起こして見せました。
「ほう本当じゃ、凄いのオリーブ」
「それくらいなら誰でも出来そうだな」
「サラマンダーがくれたの」
「サラマンダーとは、まさか火の精霊王か?」
「うん、今までケツァール皇国に行ってて、そこでサラマンダーがくれたの」
「オリーブは誰にでも好かれるの」
ヘデラの家で3人で仲良く世間話をしていました。
「長老!大変です!!」
「何事じゃ?」
そこへエルフの里の者が慌ててヘデラの家に入ってきました。
「ドラゴンです!ドラゴンがいます!」
「何じゃと?!」
皆で急いで家の外へと出ると、ヘデラの家の上空を大きなドラゴンが飛んでいました。
それを見たオリーブは申し訳なさそうに言いました。
「あっ、皆さんお騒がせしてゴメンなさい。あれサラマンダーだわ」
「サラマンダー?あれが精霊王なのか?オリーブ」
「うんそうなの。もしかしたら私を探しに来たのかも」
「マジかよ…」
「サラマンダーー!!」
オリーブはドラゴンに向かって叫びました。
するとドラゴンは地上へと降り、姿を人間に変えオリーブの側へ近付いて来ました。
「君は、オリーブなのかい?」
「そうよ、エルフに変装してるの」
オリーブは変装を解き人間に戻りました。
「本当だ姫だ。君を探していたが気配はあるが見当たらなくて、そうか変装してたのか」(※オリーブに自身の火の魔法を施したので、サラマンダーはオリーブの居場所が分かった)
「いきなり何?サラマンダー。皆んなビックリしてるじゃない」
「ただ、会いに来ただけだよ。姫」
「えっ?じゃあもう会ったでしょ?」
「そうだ、お前急に来て馴れ馴れしいぞ」
「威勢のいいエルフだな、私にそのような事を言うなど…」
「申し訳ございませぬ精霊王。ワシはこの里の首長ヘデラ。孫にはよく聞かせておくのじゃ」
オリーブに馴れ馴れしく話すサラマンダーにロニセラが邪険な感じで話かけ、それを見たヘデラがすぐにサラマンダーに謝りました。
「ハハハッ、よいエルフの首長。なかなか私にそのように言ってくる者がいなく、珍しいから驚いただけだ。姫、またエルフになって見せてくれないか?」
「えっ?エルフに?まぁ、別にいいけど」
オリーブはすぐにまたエルフに変装しました。
「これはこれで私は好きだ、姫」
「近寄らないで。何しに来たのよ?サラマンダー」
エルフになったオリーブに触れようと近付いたサラマンダーから、オリーブは距離を取りました。
「ただ会いに来ただけだと言っただろ?姫」
「あっ、そうだ!サラマンダー、剣は出来る?」
「剣か?まぁ、それなりだが。何故?」
「手合わせして!サラマンダーこっちよ!」
「姫と手合わせ?」
「そう、ちょうどケツァールから帰って来たばかりで、体が鈍ってるから動かしたいの」
オリーブはサラマンダーをエルフの里の訓練場所へ連れていきました。
ヘデラとロニセラもオリーブの後をついてきました。
「剣と短剣どっちがいい?」
「剣かな」
「なら私も剣っと」
オリーブはサラマンダーに練習用の剣を渡し、自分も剣を構えました。
「ほう、姫だからと言って私は手加減しないぞ」
「いいわ、望むところよ」
オリーブとサラマンダーの手合わせが始まりました。
「サラマンダー、思ったよりなかなかやるじゃない」
「姫こそ鍛えている、だが」
「えっ?あっ!」
オリーブの持っていた剣が、サラマンダーの勢いに負け折れてしまいました。
するとすぐにオリーブは精霊に預けていた短剣を取り出しました。
「私はこっちの方が得意なの!」
「姫、早い!」
オリーブはサラマンダーの持っていた剣をふっ飛ばし、喉元に短剣を向けました。
「負けたよ姫、強いね」
「でも剣はサラマンダーの方が強いわ。負けちゃったわ」
「おい精霊王、次は俺とやれ」
「君の名前は?」
「ロニセラだ」
オリーブとサラマンダーの手合わせが終わると、ロニセラが2人に近付いてきました。
「ロニセラ、君も姫を好きなようだね」
「あぁ、好きだ」
「ちょっ…!」
「女は引っ込んでろ」
「はいはい」
オリーブはその場から離れ、少し遠くから見守っていたヘデラの側へ行きました。
「お前に勝ったらオリーブよこせ」
「ほう、なら本気を出すぞ」
「何言ってんのアイツら…」
「オリーブはモテるの」
それを聞いたオリーブは苦笑いを浮かべました。
そしてサラマンダーとロニセラの手合わせがはじまりましたが、ロニセラは一瞬にして負けてしまいました。
「クソッ!」
「この程度かい?ロニセラ」
「まだだ!」
ロニセラはその後、何度もサラマンダーに勝負を挑み6回目で何とか勝つことが出来ました。
サラマンダーは終わるとオリーブに近寄り話しかけました。
「姫、久しぶり動いて疲れたから私は帰るよ」
そう言いながら持っていた練習用の剣をオリーブに手渡しました。
「分かったわ。次来る時はメアリーも連れてきてよね。そういう約束だったでしょ?」
「なんのことかな?」
サラマンダーはとぼけた顔をしドラゴンになると帰っていきました。
その後サラマンダーが見えなくなると、ヘデラが話しかけてきました。
「メアリーとは?」
「ケツァール皇国の皇帝よ。私と同い年でサラマンダーの依り代なの」
「火の精霊王の依り代か、若いのに皇帝まで凄いの」
「うん、とっても仲良くなったの」
「そうか」
オリーブは目の前の地べたに座ったままのロニセラに近付き、しゃがむと声をかけました。
「ロニセラ大丈夫?」
「クソッ!あいつ強すぎだろ」
「最後勝ったじゃない」
「何回もやったから向こうが疲れただけだ。オリーブはすぐに勝ってたのに…」
「そんなふてくされたロニセラ初めてみたわ」
「うるせぇ」
「大丈夫よ、ロニセラは強いわ」
「お前より強くなきゃ意味がない」
「だったら私と手合わせする?」
「そうだな、やる」
そう言うとロニセラは立ち上がり、オリーブと向かい合うと2人の手合わせが始まりました。
「オリーブ、前より強くなったな」
「いつも強いロニセラとやってるんだから当たり前でしょ」
「そうだな」
「元気出たみたいね、ロニセラ」
「お前もこうやってやりあってる時が、1番いい顔してるぞ」
「そうかもね」
手合わせが終わるとオリーブはその場に寝転がりました。
「疲れた。久しぶりに身体いっぱい動かしたから、もうダメ動けない」
「お前、王女だろ」
そんなオリーブに胡座をかいて側に座ったロニセラが話しかけました。
「ここじゃただのエルフよ」
「そうだな」
するとネリネ、リコリがオリーブを見つけ走って近寄ってきました。
「オリーブ!来てたの?」(双子エルフ2人揃って)
「ネリネ、リコリ。ロニセラと手合わせしてたの」
オリーブは起き上がりながら双子に話しかけました。
「じゃ次は私とやろ!」
「ズルい!私とやるの!」
「ごめん今日は疲れたから、また今度ね」
「えぇ〜!」(双子エルフ2人揃って)
「じゃあ俺とやるか」
「やる!負けない!」
「その次やる!」
ロニセラは双子のエルフに自分とやろうと話しかけました。
「じゃあ私はそろそろ帰るから、じゃあねネリネ、リコリ、ロニセラ」
「あぁ、きーつけろよ」
「バイバイ、オリーブ!」
「またねオリーブ!」
「バイバイ、またね〜」
オリーブは雷樺の背に乗り、皆に手を振りながら帰っていきました。
そんなオリーブの背中を見ながらロニセラは思っていました。
『オリーブに気を使わせたな、情けねぇ。次こそ精霊王に勝つ』
オリーブは城の自分の部屋へと着くと、するとすぐに待機していたアイリが話しかけてきました。
「おかえりなさいませオリーブ様、皆様食堂でご夕食を召し上がられております」
「ただいまアイリ。ロニセラと沢山やりあってきたわ、もう夕食なのね」
「ロニセラが羨ましい…」
「何か言った?アイリ」
「いえ、たまには私もオリーブ様と手合わせがしたいなと思っただけでございます」
「そうね、アイリもエルフだもの。きっと体動かすの好きよね」
「エルフだから体を動かすのが好きかは分かりませんが…、まぁ嫌いではないですね」
「ふふっ、素直じゃないんだから(笑)」
「それよりオリーブ様、エルフの姿のままですが、よろしいのですか?」
「あっ、忘れてたわ。でもたまにはこのまま言って皆んなを驚かそうかしら」
オリーブはエルフの姿のままドレスに着替え、食堂に向かいました。
「オリーブ!エルフのままでも可愛いわね!」
「ありがとう、アリシア」
食堂へ行くとアリシアがすぐに立ち上がり側へ寄ってきました。
そして男性陣はオリーブを見ながらボソボソと呟いていました。
「エルフのオリーブもなかなかいいですね」
「これはこれで悪くないですね」
「あぁ悪くないな」




