旅行
雷樺に乗った王子2人は、先に集合場所へ来ました。
王子達は雷樺から降りると、撫でながらお礼を言いました。
「ありがとう雷樺、乗せてくれて」
「ありがとう雷樺、早かった」
「気安く触るな、貴様ら」
雷樺は王子2人に撫でられ少しだけ不機嫌になりました。
(※ちなみに雷樺の毛並みはフカフカで触り心地抜群です)
それを見ていた他の生徒達はヒソヒソと話していました。
「ちょっと、ウォルター様とアイザック様が、オリーブ様の精霊獣に乗って現れたわ!」
「オリーブ様の精霊獣なのに、お2人は手懐けているわ!」
その頃オリーブは少し手前の森に降り、飛んでいた所を見られないよう翼を消してから森から出てきました。
「雷樺ありがとう、2人を乗せてくれて」
「うん、オリーブ!」
「姿を消しててね」
「は〜い」
「雷樺は二重人格か?」
「えっ?そんな事ないと思うけど」
「オリーブには甘えてますね」
そして皆が集まった所で先生が話を始めました。
「皆さん、おはようごさまいます。それでは全員集まったようなので、これから下山します。学校へ着くまで気を抜かないように」
そしてオリーブ達は下山し、また一足先に皆より早く学校へと着きました。
するとそこにはアリシアが既に待っていました。
「アリシア!」
「オリーブ!元気そうで良かったわ」
アリシアとも合流し皆が下山して来るまでの間、一緒に待ちそして魔物を倒した数の結果発表となりました。
「1位2年オリーブさん、2位3年ウォルター王子、3位2年アイザック王子です。以上となります、皆さんお疲れ様でした」
「オリーブ1位なんて凄いわ、流石ね!」
「ありがとう、アリシア」
「兄さんの負けたのかよ…」
「まだまだだな、アイザック」
「ちっ」
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そしてまた月日は流れていき、オリーブとアイザックは3年生となりアリシアとウォルターは高等部へと上がりました。
ですが高等部は同じ校舎内にあり、クラスが変わっただけで特に今までとは何も変わりません。
そんなある日のお昼休み、オリーブが屋上へ行くとアイザックがス横になりヤスヤと眠っていました。
『教室にいないと思ったら、授業サボってこんな所で寝てたのね全く。それにしても全然起きないわね』
「オリーブ!」
「アリシア」
「アイザック寝てるの?」
「そうなの、全然起きないの」
「なら寝かせておけば?」
「そうね」
オリーブがアイザックの寝顔を覗いているとアリシアが屋上へ現れ、オリーブの隣に座りました。
「ウォルター何か忙しいみたいで、お昼は教室で食べるって」
「そうなんだ」
「ウォルターいないし、アイザックも寝てるし丁度いいわね」
「何が?アリシア」
2人で仲良くお弁当を食べていると、アリシアが少し改まった感じで楽しそうに話をはじめました。
「オリーブ夏休みっていつも何してる?」
「う~んと、兄様と鍛錬したり中庭で本読んだり、後はエルフの里に行って鍛錬したりかな」
「鍛錬ばかりね…」
「どうして?」
「旅行に行かない?オリーブ」
「旅行?」
「そう一緒に。1週間くらいこっちに来られない?」
「旅行かぁ。父様に頼めば大丈夫だと思うけど」
「じゃあ、決まりね!」
「どこに行くの?」
「タキアって所よ。別荘があるの」
「タキア?」
「オリーブ、雪をあまり見たことないって前に言ってたでしょ?そこは1年中雪が積もってて、夏の間の雪が1番少ない時期だけ観光が出来るの」
「そんな所があるの?素敵!」
「あのネージェ山より、もっと北に行くわ」
「へぇそうなんだ、行ってみたいわ!」
オリーブが屋上から見えるネージェ山を見ていると、横で寝ていたアイザックが起き上がり声をかけてきました。
「俺も雪、見たい」
「アイザック、寝てたんじゃなかったの?」
「お前の声がうるさくて目が覚めた」
「はぁ?何ですって?!」
「アリシア落ち着いて」
アイザックとアリシアが言い合いを始めたのを、オリーブが間に入り止めました。
「はぁ…、仕方ないわね、じゃ4人で行きましょう」
「うん!とっても楽しみ〜」
「後で兄さんにも言っとく」
そして待ちに待った夏休み、今日は旅行当日の日です。
オリーブ達は城が用意した馬車に皆で乗り、揺られながらさっそくタキアを目指し出発しました。
「オリーブ、私があげた髪飾り付けてきてくれたのね」
するとさっそく隣に座ったアリシアが、自身のあげた髪飾りを付けたオリーブに話しかけました。
「えぇ、今日は特別な日だから付てきたの」
「特別な日?」
「アリシアから貰った大切な髪飾りだから、特別な日だけ付けようと思って」
「オリーブは全部が可愛いわね」
「似合っている、オリーブ」
「ありがとう、ウォルター」
「ところでどのくらいかかるんだ?タキアまでは」
「アイザック、行ったことないの?」
「あぁ、ない」
「私もない」
「そうね、馬車で1日かかるような所に王子は行かないか」
「1日かかるの?」
「そう、だから今日は移動だけよオリーブ」
「そっか」
「所で、オリーブ」
「なぁに、アリシア?」
「最近ウォルターから聞いたんだけど、去年の合宿の時、王子2人をエルフの里に連れていったんですって?」
「えぇ、連れて行ったわ」
「どうして私は連れて行ってくれないの?オリーブ」
「えっと、それは…、その…」
「今度、連れってオリーブ」
「えぇ、分かったわ。アリシアは興味ないかなと思って」
「そんなことないわ!オリーブの事は何でも知りたいの!」
「オリーブを困らせるな」
「あっ、ごめんなさいオリーブ。困らせたかった訳じゃないの」
「大丈夫よ、気にしてないわ」
「オリーブが私達を連れて行ったのは、テントで寝るよりいいと思ったから、連れて行ってくれたんだ。遊びに行った訳ではないよ、アリシア」
「そうだったのねオリーブ、勘違いしちゃったわ。ごめんなさい」
「アリシアもいつか連れて行ってあげるわ、可愛い双子のエルフを紹介してあげる」
「可愛い双子のエルフ?!萌えるわ」
そして1日かけオリーブ達はタキアに到着しました。
到着した頃には日が落ち辺はだいぶ暗くなっていました。
「ここが家の別荘よ。ゆっくりして行って」
「お邪魔します」
「今日はもう暗いから分からないと思うけど、明日の朝外を見てみて?オリーブ」
「明日の朝?」
「きっとビックリするわよ」
「分かったわ?」
そして翌朝、アリシアに言われた通りにオリーブが窓の外を見ると、辺は一面の白銀の世界でした。
「アリシア!雪だわ!凄く綺麗!」
「喜ぶと思ったわオリーブ、早く朝ごはん食べて街の中を散策しましょ」
「うん!」
皆で朝食を取ったあと、アリシアはタキアの街中を案内しました。
オリーブも王子達も初めて見る光景にとても驚いています。
「アリシア、雪ってこんなに積もるのね!」
「そうよ、それも今は夏。冬はもっと凄いわ」
「これより積もるのですか?」
「そうよ、倍以上になるわ」
「そしたら俺達埋もれるな」
「そう、それくらい積もるわ。それからオリーブ、私のお気に入りの場所はこっちよ!」
アリシアはオリーブの手を引っ張り、走りました。
「どこに行くの?アリシア」
「もうすぐ着くわ!」
そしてアリシアが連れて行った場所は何と大きな湖でした。
「シェルーナ湖よ」
「青くて、とっても綺麗!」
「この湖は凄く深いのよ」
「えっ、深いの?」
「深いわ。そしてそんな深い湖の底には水の精霊女王ウンディーネがいると言われているの。だから1年中この湖は凍らないのよ」
「そうなんだ!アリシアは物知りね」
「ウンディーネ様か」
「ただの伝説だろ」
ウォルターとアイザックも2人の後ろを付いていき、アリシアの話を聞いていました。
「オリーブあっちに白鳥がいるわ、エサあげましょ」
「どうやってあげるの?アリシア」
「投げればキャッチして食べるわ」
「分かった、やってみる」
皆んなで白鳥に餌をあげたりして楽しんでいた時、オリーブはふと湖の水に触れたくなり屈んで触ってみました。
「わっ!凄く冷たいわ。んっ?えっ」
オリーブは湖の中に吸い込まれてしまいした。
「オリーブどうかした?ってオリーブどこ?」
アリシアは隣りにいたはずのオリーブがいない事に気付きました。
『あれ、私どうして水の中にいるの?なんでどんどん沈んでくの?普通は落ちてもすぐに浮くわよね?あっ、雷樺だわ。ダメ手が届かない。雷樺戻って行っちゃった。私が深すぎるんだわ。
というか何で息ができてるの?んっ?これは水の精霊さん?私の体を包んでるわ。ねぇ、フォーレどういうこと?ってフォーレ?フォーレの声が聞こえない。まぁいいわ焦らずこのまま身を委ねましょう』
オリーブは湖の中に引き寄せられ、どんどん水の精霊達によって沈んでいきました。
しばらくすると背中に硬いものが当たりました。
『底に着いたのかしら?』
オリーブは起き上がり真っ直ぐに歩いてみました。
『ここは何処なの?湖の底かしら?』
すると目の前に大きな貝が現れました。
『貝だわ。何故こんな所に?』
「お前は誰?」
「えっ?」
すると目の前にあった貝が開き、中から女の子供の人魚が出てきました。
「人魚?とっても可愛い!」
「お前がオリーブ?」
「えっ?そうですけど?」
なぜか子供の人魚はオリーブの名前を知っていました。そして少し怒った感じで言いました。
「やっぱりね、その膨大な魔力でさぞかしチヤホヤされ育ってきたんでしょうね。お前みたいなのを見ていると腹が立つわ。何もかもを持っていて私とは全然違う。もう帰れ!ここへは2度と来るな!お前の魔力奪ってやる!」
「えっ?えっ?」
『私、今度は上に上がってる?』
オリーブは気付くと岸の上にいつの間にか戻されていました。
『私、戻って来られた?でも何だか体が言うことを聞かない。魔力がない気がする。ダメ、何だか凄く眠い…』
岸に戻ったオリーブは、その場で意識を失ってしまいました。




