告白
朝になりテントから出てきた3人は、木々の間から朝日が昇るのを見ていました。
「今日も始まるわね」
「そうですね」
「そうだな」
オリーブは綺麗な朝日に感動していましたが王子2人は違いました。
寝起きの少し眠そうな可愛いオリーブを見れたことの方が、どうやら嬉しかったようです。
そしてテントを片付け今日も魔物退治です。
午後になり魔物をたくさん倒したあと、オリーブが地面に手をつき確認した所もういないとなりました。
「まもなく日が沈む、そろそろテント張ろうか」
「そうだな、兄さん」
「あっ、それなんだけど…」
「どうしました?」
「どうかしたか?」
するとオリーブが王子2人にある提案を言いました。
「2人が良ければ何だけど、エルフの里に行かない?」
「エルフの里にですか?オリーブ」
「うん、もう魔物いないし、明日の朝帰ってくれば問題ないかなって」
「…どうする兄さん?」
王子達はオリーブの突然の申し出に、戸惑いながら目を合わせました。
「まぁそうですね…、急に行って泊めてもらえるのですか?」
「長老さんの家、大きいから大丈夫だと思う」
「オリーブがいいなら我々は別に、なぁ?アイザック」
「あぁ、こんな所よりはマシだろうし」
「よし、決まり!」
ですが王子達は思いました、ここからどうやって移動するのかと。
「所でどうやって行くのですか?」
「馬もいないぞ」
「2人は雷樺に乗って。私は飛ぶわ!」
「飛ぶ?!」
「飛べるのですか?」
オリーブは側で姿を消していた雷樺に話しかけました。
「雷樺、2人を乗せてエルフの長老さんの家の前に行って」
オリーブに話しかけられた雷樺は姿を現して言いました。
「分かった、オリーブ」
「じゃあフォーレ、行くわよ!」
「OK!」
するとオリーブはフォーレと一体となり背中から大きな翼を生やし飛び立ちました。
そしてオリーブは飛びながら、ウォルターとアイザックは雷樺の背に乗りながらエルフの里を目指しました。
オリーブはアイリの時と同じように王子2人が、雷樺の静電気で怪我をしないように精霊に頼みました。
その後、数分でエルフの里へと到着し、2人の王子は初めて見る町並みをとても珍しそうに辺りをキョロキョロと見ています。
オリーブは長老の家のドアをノックしました。
するとすぐに中から長老のヘデラが出てきました。
「やぁ、オリーブ今日はどうしたのじゃ?んっ?そちらの方はヘイデンの者ではないようじゃ」
「分かるの?長老さん」
ヘデラはオリーブの後にいた王子2人に気付くと、マジマジと見ながら言いました。
「魔法属性は水じゃな、いやこちらの方は氷かの?」
「当たってる」
「すげー」
「この2人はシンシア王国の王子なの」
オリーブにそう言われたウォルターとアイザックは、ヘデラに自己紹介をしました。
「初めましてエルフの長老、私はシンシア王国から参りました、ウォルターと申します」
「俺は弟の、アイザックです」
「シンシアかなるほど、私はエルフの首長ヘデラじゃ。でっ、オリーブ今日は何のようじゃ?」
「今日泊めてほしいの、いい?」
「あぁ構わないよ、部屋はある好きにするといい」
「ありがとう長老さん」
「ありがとうございます、急に申し訳ございません」
「ありがとうございます、長老」
「まぁここでは何だ、中に入りなさい」
家の中へと入ると、オリーブはロニセラがいない事に気付きヘデラに聞きました。
「ロニセラは?」
「今森へ薬草を取りに行っておる、双子も一緒じゃ。まもなく戻るじゃろ。まぁとりあえず、そこへ掛けなさい」
3人が椅子に腰掛けた時、ちょうど扉が開きロニセラが家へ帰ってきました。
「帰ったぞ爺ちゃん」
「おうロニセラ、戻ったか」
ロニセラの後ろには双子のエルフ、ネリネとリコリもいました。
「オリーブじゃねーか、ってあと誰だ?」
「オリーブ!」
「オリーブ!」
「ネリネ、リコリ!」
双子のエルフはオリーブを見つけるなり駆け寄り、オリーブは椅子から下り3人で抱き合いました。
「こちらの方々はシンシアの王子だそうじゃ」
「王子だと?」
「シンシアから参りました、ウォルターです」
「弟の、アイザックです」
「今晩泊まるそうじゃ」
「そうか、泊まんのか」
王子2人はロニセラに挨拶をし、双子のエルフはオリーブに聞きました。
「オリーブも泊まるの?」
「泊まるの?」
「えぇ、泊まるわ」
「じゃあ今日、ここに一緒に泊まる!」
「私も泊まる!オリーブと寝る!」
「分かった分かった、好きにしなさい」
双子の迫力に負けたヘデラは泊まってもいいと言いました。
「やった〜!」
「やったー!」
「たくっ、俺の仕事が増えるじゃねーか、オリーブ手伝え」
「分かったわ、手伝うわ」
「私も手伝う!」
「私も手伝う!」
ヘデラはお湯を沸かし王子2人に、お茶の入ったティーカップを差し出しました。
するとロニセラがオリーブの顔を見ながら言いました。
「オリーブ、今日は顔色よさそうだな」
「私が顔色悪い日なんてあった?」
「1年くらい前、剣折れたから直せってきただろ?あん時のお前疲れた顔してたぞ」
「1年前?そう言えば、そんなこともあったわね」
ここでヘデラがオリーブの予想していなかった事を言い出しました。
「所でオリーブどっちがお主の男じゃ?それとも両方かの?」
王子2人はいきなりの長老の発言にビックリし、飲んでいたお茶を吹き出し、それに気付いたロニセラが2人に布巾を渡しました。
「そんなんじゃないわ、2人もそんなこと思ってないわよ」
「てっきり紹介しに来たのかと思ったが、違うのか?」
「変なこと言わないで長老さん、2人とも困ってるじゃない」
「困ってはおらんと思うがの…?ボソッ」
ヘデラは初めて会った王子2人の心を、既に見抜いていました。
その後ロニセラが夕食を作り、それをオリーブが手伝い皆で夕食を食べ終え、オリーブがヘデラに話かけました。
「長老さん、聞きたいことがあったの」
「なんじゃ?オリーブ」
「人に魔物が取り憑くことってある?」
「なぜそんな事を聞くのじゃ?」
「前に見たの、魔物が取り憑いてる人を」
「そうか、だがワシにも分からん。じゃが人の弱い部分を狙い取り憑くのかもしれん」
「弱い部分?」
「そうじゃ。エルフもじゃが、憎しみや憎悪そういう感情に敏感に反応し、取り憑くのかもしれん」
「そっか、弱い部分か」
「その取り憑いた者はどうしたのじゃ?」
「蹴っ飛ばしたら消えちゃった」
「蹴っ飛ばしたじゃと?!」
「友達がそいつに蹴っ飛ばされたって聞いたから、剣で倒した後に蹴っ飛ばしちゃた」
「そうか…、オリーブは強いからの…」
そして夜も更けていき、オリーブはエルフの双子と同じ部屋で一緒に眠り、ウォルターとアイザックは別の同じ部屋にそれぞれのベッドで寝ることになり部屋へと入りました。
そして王子2人は先程の会話の話をしていました。
「兄さん、さっきロニセラって人がオリーブの顔色が悪い日があったって話してたよな」
「してたな、剣が折れたから直しにきたと言っていたな。あれは俺達がオリーブに助けられた日のことだろう」
「やっぱりそうか」
「オリーブは無茶をしていたんだろうな」
「俺がもっと強ければ…」
「そんな顔をさせなかったよな…」
そして翌朝、オリーブは早くに目が覚めてしまい庭にあった立派なオレンジの木の下で、鼻歌を歌いながら見上げていました。
すると背中に何かフワッと温かいものを感じ、振り返るとそこにはロニセラがいました。
どうやら服をかけてくれたようです。
「そんな薄着で、風邪引くぞ」
「ありがとう、ロニセラ」
「オリーブ、何であいつらをここに連れてきた?」
「自分でもよく分からない。そうした方がいい気がしただけ」
「ふ〜ん、お前俺の女になれ」
「えっ?」
何とロニセラはオリーブに告白をしてきました。
どうやら王子2人を見て、オリーブを狙っているのは自分だけではないと思ったようです。
「人間の男なんかより、俺の方がお前を幸せにしてやる」
「ありがとう。でも今はそう言うの考えられない」
「そうか、じゃあ諦めねーからな?」
「分かった覚えとく」
そして朝食はオリーブが作り、ネリネ、リコリが手伝いをしていました。
すると王子2人も起き、オリーブに話しかけてきました。
「おはよう、オリーブ」
「おはよう」
「おはよう2人とも、もうちょっとで出来るから座って待ってて」
「オリーブが作ってるのかい?」
「えぇ、そうよ」
「料理出来るのか?」
「アイリに教えてもらったの」
そして料理が出来るまで男性陣4人は、オリーブ達から少し離れた椅子に座り話をしていました。
「ロニセラ今朝、庭でオリーブと2人なんのを話していたのじゃ?」
「何でコイツら連れてきたって聞いた」
「それで、オリーブは何と?」
「自分でもよく分からんって、そうした方がいい気がしただってよ」
「ほう、オリーブはお主らに期待しているようじゃな」
「期待ですか?」
「あぁ、オリーブが誰かをここに連れてきたのは初めてじゃ」
「そうなのか?」
「そうじゃ、それも他国の人間をじゃ。そう簡単には連れてこんじゃろ」
「後、俺の女になれって言った。人間の男なんかより幸せにしてやるってな」
王子2人は驚いて目を見開き、ロニセラの話を食い入るように聞きました。
「お主もとうとう言ったか。それでオリーブは何と答えたのじゃ?」
「今はそう言うの考えられないって、なら諦めねーって言ってやった」
「うまく誤魔化されたか」
するとロニセラは王子2人に話しかけました。
「お前らもオリーブ狙ってんだろ?欲しけりゃ俺より強くなれ、それで勝負して勝ったら考えてやる」
「分かりました、ロニセラさん」
「分かった」
「男の約束だぞ」
その後、皆で朝食を食べオリーブ達はすぐに出発することになりました。
「じゃあ、また来るね。長老さん」
「ありがとうございました、長老」
「ありがとうございました」
「あぁ、気を付けて行くんじゃぞ」
「またねオリーブ」
「またねオリーブ」
「うんまたね、ネリネ、リコリ」
別れの挨拶をした3人は、あっという間に見えなくなってしまいました。
ヘデラはオリーブが消えた方向を見ながら思いました。
『森の精霊女王の力を使いこなしとるのオリーブは。それにあの温かいオーラ、オリーブはますますラリアに似てきておる。いや、あれはラリアそのままじゃ。さすがワシの孫じゃ、ラリアに惚れよった。ワシは叶わなかったがロニセラが叶えてくれたら嬉しいの』
ヘデラは隣にいたロニセラの方を見ながら言いました。
「ワシはお主を応援しとるよ、ロニセラ」
「急に何がだよ?爺ちゃん」




