狙われたオリーブ
今日は休日、オリーブはアリシアの家で本を読みながらのんびり過ごしていました。
「はぁ、暇だわ…」
「どうしたの?そんなに暇なの?オリーブ」
「えぇ、最近魔物が出なくなったから体を動かしてないのよね」
「そっか、オリーブは体を動かすのが好きなのよね」
「そうなの」
「なら、王子達に相手してもらったら?城に訓練場くらいあるでしょ?」
「王子達ね…、アリシアだから言うけどさ…」
「なに?」
「弱いのよね…、手加減するのが大変…」
「オリーブにそんなこと言わせるなんて、情けないわね王子達」
「王子達と言えば、あの草原とっても気持ちよさそうだったな…」
「草原?」
「城から少し行った所に草原があったの」
「へぇ、そうなの?」
「うん、行ってみる?」
「私はいいわ。ならそこでアイリと手合わせしたら?アイリって強そうだわ」
「確かに!忘れてた!アリシアちょっと行ってくるね!」
「えぇ、気を付けいってらっしゃい」
オリーブはさっそく隣の部屋にいたアイリの所へ行きました。
「アイリ!お出掛けしましょ」
「分かりましたオリーブ様。ですがどこへ?」
「いいから!雷樺に乗って!」
「えっ?キャー!」
オリーブはアイリを精霊に頼み、雷樺の静電気の影響を受けないようにしました。
「アイリ大丈夫かしら…、私も行きたいけど足手まといになるのは嫌だわ。それにせっかかくの休み、家にいたいわ」
アリシアは静かになった部屋で本の続きを読み始めました。
そしてアイリを連れたオリーブはあの草原ヘ来ていました。
「アイリ」
「はい、オリーブ様」
「手合わせお願いします、精霊よ…」
オリーブはエルフへ変装しました。
それを見たアイリは人間の変装を解き、元のエルフになりました。
「よろしいのですか?オリーブ様」
「えぇ、アイリと一度やってみたかったの(アリシアに言われるまで忘れてたけどね☆)」
「私手加減いたしませんわよ?オリーブ様」
「いいわ、私だってエルフの里でたくさん学んだもの」
「じゃあ、行きますわよ!」
剣と剣のぶつかる音が草原に響き渡りました。
それを狼になった雷樺が、寝転がりながら少しだけ離れて見ていました。
「久しぶりだわ、この感覚!アイリ!」
「オリーブ様さすが強いですわ!でも負けませんわ!」
2人はとても楽しそうに手合わせをしていました。
そして何と案の定、王子達も馬に乗り草原へやって来ました。
「アイザック、あれを見ろ!」
「まさかこの間のエルフか!」
「間違いない、狼もいる」
「だがもう1人、エルフの女が増えてるな」
「あぁ、手合わせしているみたいだ」
「強いな、2人とも」
「強すぎる、俺達じゃ相手にもならないだろう」
「どうする?兄さん」
「行こう、この間のお礼を言いたい」
「はいはい、オリーブか確かめたいだけだろ」
「お前も気になるだろ?アイザック」
「確かに、オリーブ今日は城にいないしな」
王子達は馬に乗りながら、エルフのオリーブ達に近付いて行きました。
すると雷樺が王子達に気付き、吠えながら起き上がりました。
オリーブ達は何事かと手合わせを止め雷樺の見ていた方を見ると、王子達が近付いてきてるのが分かりました。
それを見た2人は慌てて雷樺の背に乗り帰っていきました。
「行ってしまった」
「あぁ」
「だがあの慌て方ますます怪しくないか?アイザック」
「確かに逃げる必要はないはずだ、兄さん」
その頃急いでアリシアの家へ帰ってきたオリーブとアイリは、楽しく笑い合っていました。
「逃げてきちゃったわ、アイリ(笑)」
「そうですね、オリーブ様(笑)」
「早かったわね、アナタ達」
「アリシア聞いて!」
「何よ、オリーブ」
オリーブはアリシアに先程の出来事を言いました。
「草原で手合わせしてたら王子達が来たの」
「えぇっ!何てタイミング…」
「だから慌てて逃げてきちゃった」
「まぁ、普通はビックリしちゃうわよね。でも何でそんなに楽しそうなの?2人共」
「久しぶりに体動かせたからかな」
「オリーブ様、強かったですわ」
楽しそうに話す2人をアリシアは、やはり行かなくて良かったと思いながら見ていました。
そして登校日になり、オリーブはさっそく朝から屋上へ行きました。
オリーブは先に来ていたアイザックに話しかけました。
「やっぱりここからの景色が1番綺麗ね」
「当たり前だろ」
「あっ、そうだアイザック」
「何だ?オリーブ」
「ここの場所アリシアに教えちゃった、ごめんね」
「いいよ、どうせ兄さんにもバレたし」
「でも秘密場所だったんでしょ?」
「まぁな」
どうやらアイザックは初等部の頃から、誰にも言わずこの場所に1人で来ていたようです。
それをオリーブにだけ特別に教えてくれました。
「うわっ凄っ!明るいとき初めてきたけど想像以上だわ!」
「アリシア」
するとアリシアが現れオリーブ達に声をかけてきました。
「オリーブ、こんな素敵な場所で私歌ってたのね」
「そうだよ、アイザックが教えてくれたの」
「へぇ、ふ〜ん」
「何だよ、何か言えよ」
「別に〜、邪魔しちゃってごめんね~」
「ちっ」
今度はウォルターも屋上に顔を出しました。
「今日は賑やかだな」
「朝から兄さんまで…」
「ウォルター知ってた?アイザック、オリーブとここで2人で会ってたみたいよ」
「あぁ、まぁね」
「アリシア黙れ」
「キャー、こわ~い、オリーブ助けて〜」
アリシアはオリーブの後に隠れました。
そんな楽しそうな4人を苦々しい気持ちで見ている者に、この時はまだ誰も気付いてはいませんでした。
『クソっ!クソっ!クソっ!僕のオリーブ!僕だけのオリーブなのに!何でいつも邪魔者がいるんだ!僕にこそ、ふさわしいのに!あれじゃ近づけないじゃないか!僕に力があれば!あんな奴ら倒してやるのに!これは?力が湧いてくるぞ!闇の力か?何でもいい!あいつらさえ倒せれば、魔物でもなんでもなってやる!ははははは!僕は強いぞオリーブ!まずは僕のオリーブに近づく3人からだ!その後に迎えに行くよ、可愛い僕のオリーブ…』
「何、今の気配?」
「どうかした?オリーブ」
「どうした?オリーブ」
「どうしました?オリーブ」
急に顔色を変えキョロキョロと辺りを見渡したオリーブを、3人は心配そうに見つめました。
「アリシア、何も感じない?」
「えっ?分からないわ?」
「そう…、なら気のせいかしら。教室にそろそろ行きましょ皆んな!」
アリシアは何も感じないと言うので、オリーブはすぐに切り替え屋上から出ていきました。
「オリーブどうした?」
「分からないわ」
「何か感じたようだが?」
残された3人は首を傾げながら不思議に思いましたが、とりあえず教室へとそれぞれ入りました。
その後もオリーブは普段と変わりなく過ごしていので、気のせいだったのだと皆が思いました。
そして下校時刻になりそれぞれが帰宅しました。
ですがオリーブは城の自室の部屋の中で、あれは何だったんだろうと考えていました。
「フォーレ、朝の気配は何かしら」
「えぇ確かに、何だったのかしら」
オリーブは念のため雷樺と共に変装し王都の街中を見回りましたが、特に何もありませんでした。
「本当に気のせいならいいんだけど」
「そうね、オリーブ」
「何かあればアリシアも気付くわよね?フォーレ」
「えぇ、もちろんよ」
そしてそんな事があったとは思えないほど穏やかに何事もなく数日が過ぎ、オリーブもそんな事もあったなくらいに忘れかけていた金曜日の夜。
「明日は休み!アリシアが城へ来る日だわ!」
オリーブはアリシアが明日遊びに来たら、何をしようかとワクワクしていました。
そして翌日、王子達は2人で鍛錬をしに草原へ行きました。
しかしアリシアは城へ来る時間になっても全く姿を見せず、オリーブは心配していました。
「フォーレ、アリシアどうしたのかしら」
「まだ寝てるんじゃないの?」
「そうかなぁ?」
「アリシアの家に行ってみたら?」
「そうね。アイリ」
オリーブはアイリを呼び、アリシアの家へ行ってくると言いました。
「はい、オリーブ様」
「アリシアの家に行ってくるわ、行き違いになっても困るからここに居て」
「分かりました、行ってらっしゃいませ」
「雷樺、行くよ!」
「うんオリーブ!」
オリーブは雷樺と共にアリシアの家へ行きました。家の中を見回りましたが誰もいません。
「おかしいわね…、戻ろう雷樺」
オリーブは城の自室へ戻りました。
するとアイリが待っていたようにオリーブに話かけてきました。
「オリーブ様」
「アイリ戻ったわ。アリシアいなかった」
「そうですか、こちらにも来ていません」
「どこに行ったのかしら」
「それから、オリーブ様」
「なぁに?アイリ」
「ギブソンという方をご存知ですか?」
「ギブソン?」
「ギブソンと名乗る者が訪ねて来られ、手紙をオリーブ様にと」
「えっ、手紙?」
「はい、こちらです」
オリーブはアイリから手紙を受け取り、中の紙を取り出し開き読みました。
そしてそこには信じられないような事が書いてありました。
「えっ、何これ…」
「どうかされましたか?オリーブ様」
「冗談にしてはキツイ手紙だわ…、ちょっと出掛けてくる。真実を確かめなきゃ」
「はい、お気をつけて」
『オリーブ様が怒るなんて珍しいわ。何が書いてあったのかしら』
アイリはオリーブが出掛けたあと、置いていった手紙を読みました。そこには…
『君といつも一緒にいる邪魔な3人を捕まえた。さぁ、これから僕達の祝言をあげよう。草原で待っている。ギブソン=ヒュール』




