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えっ、私がこの世界を守るの?  作者: 藤崎七奈
第一部 【愛と平和】

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アリシアの決意

午前の授業が終わりお昼休みの時間になると、オリーブはそそくさと何処かへと教室を1人で出て行きました。


アイザックは屋上へ行くのだと思い自分もすぐに屋上へ向かいましたが、オリーブの姿はどこにも見当たりません。


「アイツ、どこいった」


アイザックが誰もいない屋上に1人で佇んでいると、後から声がしてきました。


「お前1人か?」

「兄さん…、何で?」


振り返り誰なのか確認すると、声をかけてきたのはウォルターでした。


「いや、オリーブにアリシアと何があったか聞こうと思ったんだが、いないのか」

「すぐ何処に教室出てったから、俺もここだと思った」

「そうか」


すると下の方から、キャッキャッと誰かの話し声が聞こえてきました。


誰が話しているんだとウォルターがふと下を覗くと、そこにはオリーブとアリシアが楽しそうにお喋りしながらお弁当を食べていました。


「いた…」

「えっ?オリーブ?」

「あぁ」


アイザックもウォルターの側に行き下を覗きました。


「マジかよ…、めっちゃ仲良くなってんじゃん」

「女は分からん…」

「いや、怖いの間違いだろ」

「そうかもしれないな」

「いや俺はまだあの女、信じねーぞ」

「そうだな、警戒は続けるべきだな」


王子達はアリシアをまだ受け入れてはいませんでした。


その頃下にいたオリーブ達は、王子たちが見ているとも知らず2人の世界に入っていました。


「アリシアとちゃんと話したのは今日が初めてだけど、まるでずっと前から友達だったみたい」

「えぇ、私もそんな気がするわ」


そんな2人を王子達だけではなく、学校にいた生徒や教員、多くの人が驚いて見ていました。


「アリシア様とオリーブ様が仲良く話しているわ!」

「本当だわ!どういう事なの!」

「アリシア様ってあんなに笑う方だったの?」

「でもアリシア様もとても綺麗な方だし、2人並ぶと絵になるわ」


それは授業が終わってからも続き…


「アイザック、今日私アリシアの家に泊まるから、じゃ!」

「はっ?って、おい!泊まるって…」


オリーブはそれだけ言うと楽しそうに学校を出ていき、アリシアと一緒に馬車に乗るとあっという間に見えなくなってしまいました。


しばらくオリーブの去っていった方向を見つめていたアイザックに、後ろから来たウォルターが近付き声をかけました。


「何してんだ?帰らないのか?おーい、アイザック」

「オリーブ今日アリシアの家に泊まるって」

「なに?!」


そしてアリシアの家へやって来たオリーブは、さっそくアリシアの部屋へ案内されました。


「さぁ、聞かせてちょうだいオリーブの事。ここなら誰にも聞かれる心配はないわ」

「その前にお父様やお母様は?挨拶したいわ」

「いないわ」

「えっ?」

「父様は仕事で沢山の事業を起しているから忙しくて帰ってくる暇がないの。母様はヴァイオリン奏者で毎日世界中を回って演奏会をしているわ」

「そう1人なのね、アリシア」

「そうよ、でも慣れたわ。今はオリーブもいるしね」

「アリシア寂しくなったらいつでも呼んでね?すぐに来るわ」

「ありがとう。でっ、オリーブはどうしてエルフに化けて戦ってるの?」

「それは…」


オリーブは今までの事を全てアリシアに話しました。


「オリーブ…、1人で何でも抱え込まないで」

「えっ?」


アリシアは少し寂しそうな顔をしながら、オリーブの手を取りました。


「辛かったら私を頼って?ねっ?オリーブ」

「ありがとうアリシア、でも私がやらなきゃいけないの」

「そうね…、それでも私に何でも話して。オリーブのタメなら私…」

「うん、話すわ」

「絶対よ?」

「絶対。約束する」


この日2人はどこか強い絆で結ばれました。


そして深夜、手を繋いで1つの大きなベッドに2人は寝ていましたが、オリーブが魔物の気配を感じ取り起き上がりました。


「…どうしたの?オリーブ」

「魔物が出たわ!アリシア、私行ってくるわ」

「えっ、こんな時間に?!気を付けていくのよ!」

「分かったわ。アイリ」


オリーブは隣の部屋で待機していたアイリを呼びました。


「ここにおります」

「アリシアを頼むわ。それから長くなりそうだから、明日の学校お願い」

「分かりました、お気をつけて」


オリーブは慌ただしく雷樺と一緒に出ていきました。


オリーブがいなくなると、アリシアは側にいたアイリにすぐに話かけました。


「いつもこんな感じなの?」

「えぇ、まぁ」

「そう、アイリも大変ね」


翌朝、オリーブに変装したアイリを見てアリシアはビックリしていました。


「そっくりだわ」

「ありがとうございます」

「声まで似てるわ」

「ありがとう、アリシア☆」

「完璧だわ、アイリ」

「そう?じゃあ学校に行きましょう〜☆」

「ちょっと違うんじゃないかしら…?」

「失礼いたしました」


アリシアは驚きながらもアイリと一緒に馬車へ乗り、学校へと向かいました。


学校へと着くとウォルターとアイザックが今か今かと、オリーブが来るのを待っていました。


それを見たアリシアはアイリに話しかけました。


「王子が既にいるわ。大丈夫なの?アイリ」

「お任せください」


2人は馬車を降り入口に向かって歩きました。


すると王子2人はオリーブの顔を見るなり、すぐに側へ寄ってきました。


「オリーブ!無事だったんだね」

「ウォルター、どうかしましたか?」

「オリーブ、急に泊まるとかビックリするだろ!」

「そうですか?アイザック」

「失礼ね!私がオリーブに何かする訳ないでしょ!」

「あぁ、そうだな」

「あぁ、だよな」

「模擬戦は模擬戦よ!私達は友達になったの、もう何もしないわ!」

「なら良かった」

「ならいいんだが」

「行きましょう、オリーブ」

「えぇ、では失礼します」


アリシアはオリーブを連れ学校へと、さっさと入っていきました。


アリシアは王子達に聞こえないよう、小声でアイリに話しかけました。


「少しよそよそしくない?アイリ」

「いえ、私の変装は完璧です」

「そう、じゃあ私こっちだから頑張りなさいアイリ」

「アリシアも頑張ってね〜☆」


アリシアは頭が痛くのを感じながらも、別々の教室へ2人は入っていきました。


アリシアとオリーブの背中を見つめながら王子2人は話していました。


「何だか、よそよそしいなオリーブ」

「だな、兄さん」


そして学校が終わりアイリが城の部屋へと戻ると、オリーブと猫の雷樺がベッドで寝ていました。


『オリーブ様帰っていたんですね、よかったご無事で。明日はお休みです、ゆっくり休んでください』


アイリはそう思いながら、オリーブの髪を優しく撫で微笑みかけました。


そしてアリシアは家へ帰るなり、側にいる光の精霊女王ミエールに話かけました。


「ミエール」

「なに?アリシア」


アリシアはいつになく真剣な表情で言いました。


「私覚悟が出来てなかった。オリーブは1人で何もかも自分の力で今までやってきたわ」

「そうね、アリシア」

「だから私これからは、オリーブのために精一杯尽くすわ」

「なら私もそんなアリシアに、力を貸すわ」

「えっ?」


アリシアは力を貸すと言われ驚いてミエールの方を見ました。


「でもまずはこれからの行動で示してちょうだい、口だけじゃないって事を」

「分かったわ、ミエールありがとう。よしっ、そうなったら城に行くわよ!」

「えっ?城?」

「オリーブが帰ってるかもしれないでしょ!」

「そうだけど、さすがに疲れてるんじゃない?」

「なら一緒に寝るわ!」


アリシアは楽しそうにそう言いながら、さっそく城へ向かいました。


その頃疲れて寝ていたオリーブに、アイリが申し訳なさそうに話かけました。


「オリーブ様、申し訳ございません」

「んっ?アイリ、あっ私寝ちゃってたわ、どうしたの?」


オリーブはアイリに声をかけられ、ベッドから身体を起こしました。


「アリシア様が来ております、どうされますか?」

「えっ?アリシアが来てるの?」

「はい」

「すぐ呼んで!って私まだエルフだった…!ヤバいヤバい…」


オリーブはエルフのままだったので慌てて変装を解きました。


そしてアリシアはオリーブの部屋へ入るなりオリーブに抱きつきました。


「無事だったのね、良かったわ」

「心配かけてゴメンなさい」

「そうよ、心配かけさせないで」

「うんごめん、アリシア」


アリシアは抱き締めていた手を緩め、オリーブの顔を見ながら言いました。


「そうだ、アイリの変装凄いわね!」

「でしょ!凄いでしょ?」

「声までオリーブに似てたわ」

「そうでしょ、そうでしょ」


そんな2人が他愛もない会話をしていた時でした。

急にオリーブの部屋のドアが開き、アイザックが入ってきたのです。


「オリーブ!アリシアが来てるって?!」


そして続けて後ろからウォルターも入ってきました。


「アイザック!女性の部屋へいきなりノックもなしに…」


するとそれを見たアリシアが真っ赤になって怒り出しました。


「レディの部屋に男が勝手に入ってくるなんて、一体どういう事なの!!(怒)」

「えっ、あぁ…、えっと…(汗)」

「だから言ったのにアイザック…(汗)」


アイザックとウォルターはアリシアの剣幕にタジタジになりました。


「わが国の王子はふしだらだわ!」

「アリシア落ち着いて」

「オリーブは黙って!」

「はい…」


オリーブの制止もきかず、それからアリシアの説教が延々と始まり数十分、怒り狂うアリシアと正座をさせられ謝り続ける王子、これを自分の部屋でやられるオリーブが耐えきれずに声をかけました。


「アリシア、私お腹すいちゃった」

「えっ?」

「私、帰ってきてからまだ何も食べてないの。アリシアも一緒に皆んなで食べましょ?」

「そうね、オリーブがそう言うなら」


オリーブの一声でアリシアは冷静になり、皆で食堂へ移動し夕食を取ることになりました。


大きなテーブルにオリーブはアリシアと隣同士に座り、向かの席に王子達が座りました。


食事の間もオリーブとアリシアは親しげに会話をしました。


「アリシアは食べ物なにが好き?」

「私はフルーツが好きだわ。オリーブは?」

「私もフルーツ好きだわ、特にリンゴが好きなの」

「私はイチゴかな」

「イチゴも美味しいわよね」

「えぇ美味しいわね。オリーブは何をしている時が好き?」

「私は体を動かすのが好きなの、アリシアは何してる時が好き?」

「う~ん、私は歌かな」

「歌?歌が好きなの?」

「えぇ昔、聖歌隊に入ってたの」

「そうなの?凄い!」


そんな2人の会話を聞きながら、王子達は目をパチクリさせながら驚いていました。


「本当に仲良くなってる」

「あぁ、仲良くなってるな」


食事が終わってからも2人のお喋りは止まらず、さっさと王子達をおいてオリーブの部屋へと帰っていきました。


「俺、あいつにオリーブ取られた気分」

「気が合うな、私もだ」


王子2人はアリシアにオリーブを完全に取られ、寂しい気持ちになっていました。

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