友達
翌日オリーブはまた少しだけ早く学校へ行き、昨日と同じように屋上へ行きました。
「気持ちいい〜〜!!」
オリーブは綺麗な景色を見ながら背伸びをしました。
「また来たのかよ」
アイザックはまた今日も先に来ていて、屋上で寝ていました。
オリーブは寝ているアイザックの側へ近寄ると、座りながら話かけました。
「いつもこんなに早く来てるの?」
「まぁな、景色見てるといろいろ忘れられるからな」
「寝てたよね?景色見てないじゃん」
「うるせぇな、オリーブ」
『何だかアイザックと話してると、ロニセラと話してるみたいで気が楽だわ』
オリーブはアイザックと話しながら、そう思っていました。
「2人でこんな所で何してるの?」
屈託のない会話をしていた2人にウォルターが近付きながら話かけてきました。
実は朝早く城を出るオリーブが気になり、付けてきていたのです。
『屋上?なぜこんなに早くからオリーブは屋上に?って、ちょっとまて?!何故アイザックと楽しげに話をしている!あの野郎…、落ち着け、俺は王子だ。冷静に話しかけよう』
という流れでウォルターは2人に話しかけたのです。
「めんどくせぇのが来た」
「めんどくせぇとは何だ、アイザック」
「俺はただ寝てただけだ」
「そうなんですウォルター様、私が勝手に来たんです」
「オリーブが?」
「違う、俺が最初にオリーブに来いって言った」
「初めてお会いした時に、アイザックに学校の屋上に行ってみるといいって言われて、それで来たんです」
「何だ、つまりアイザックはオリーブと屋上で会いたかったのか」
「はぁ?!何言ってんだ兄さん」
「どこが違うんだ?アイザック」
ムスッとして何も言わなくなったアイザックを見て、ウォルターはオリーブの近くに座り話かけました。
「それよりオリーブ、私のこともウォルターと呼んでくれるよね?」
「えっ?」
「アイザックの事は呼び捨てだったろ?なら私の事もウォルターと呼んでくれないか?オリーブ」
「いえ、でも…」
「気にしなくていい、アイザックのように私にも親しげに話してほしい」
「分かりました、ウォルター…」
「それでいい。所でオリーブの剣術はウィリアムさんにそっくりだったね」
「ウィリアム兄様の事を知ってるのですか?」
「あぁ、とても強い人だった」
「そうなんですね、兄様とは一緒に父様から剣を教わったので、似ているのかもしれません」
「そうか、確かにウィリアムさんも妹と一緒に叔父に習ったと言っていた。それから妹はとても強いとね」
「いえ、強くはないです…」
「アイザックとの模擬戦を見る限り、オリーブはとても強いようだ」
「いえ、負けてしまいましたし…。あっ、私先に教室に行きますね。それじゃあ」
オリーブは屋上から出ていきました。
オリーブがいなくなりアイザックは起き上がると、ウォルターに話しかけました。
「兄さん、オリーブを疑ってるのか?まさか昨日のエルフがオリーブだとでも?」
「いや…、だが何か引っかかるんだ」
そしてアイザックは、1つ気になっていた事をウォルターに話しました。
「引っかかると言えば昨日、授業中オリーブが急に教室を何か慌てた感じで、飛び出して行ったんだ」
「何だって?!それで?」
「何かあったんだと思って俺も後から追いかけた。そしたら急に冷静になってて…」
「慌てていたのに急に冷静になったオリーブか…」
「何となく何だが、あのオリーブは別人なんじゃないかって思って…」
「そうか…、仮にだ仮にだが、その時魔物が出現したとしたら?」
「それで慌てて出ていったってか?」
「あぁ。そしてあのエルフ…」
「いや、そしたらおかしいだろ!」
「何がだ?」
アイザックは少し興奮した感じでウォルターに言いました。
「俺らが見たエルフは夕方頃だぞ、何時間経ってると思ってる?ずっと1人で戦ってたって言いたいのか?」
「あぁそうだな…、おかしいな」
「そうだ、そんな事ありえない。オリーブは俺に負けるくらいの実力だ。それに比べてあのエルフの強さ、尋常じゃない。相当な戦闘訓練を受けている」
「お前の言う通りだアイザック。だがオリーブがワザと実力をみせないよう、お前に負けた可能性はないか?」
その後2人は別れ、それぞれの教室へと入っていきました。
『オリーブがわざと負けた?何いってんだよ兄さん、そんな訳ないだろ。でもあのエルフは本当に何者なんだ…』
休み時間、教室の後ろの壁に寄りかかり考え込んでいたアイザックに、オリーブが近寄り声をかけました。
「アイザック、そんな怖い顔してどうしたの?」
「いや、別に」
そんな2人を見ながら、同じクラスメート達はヒソヒソと話していました。
「アイザック様とオリーブ様、なんて絵になるのかしら」
「えぇ、そうね」
「でもウォルター様とオリーブ様もいいわよね?」
「確かに!」
そしてこの日は無事に何事もなく授業が終わり、オリーブは城へと帰ってきました。
「アイリ、私がわざとアイザックに負けたことバレてないわよね?」
「やはりそうでしたか。恐らくは大丈夫だと思いますが何か気になる事でも?」
「う〜ん、ウォルターが疑ってる?ような」
「ウォルター様は鋭いようですね」
「うん…」
オリーブがアイリとそんな会話をしていた時でした。
「魔物の気配!アイリ!」
「はっ、お任せを」
オリーブはすぐにエルフへ変装し、雷樺と共にすぐに向かいました。
そして、おお方魔物を倒した頃、既にシンシアは日が沈み王都は真っ暗になっていました。
その中、夜道を走る1つの馬車が魔物に襲われ馬が倒され、立ち往生していました。
オリーブが駆けつけた時には中に乗っていた人物が魔物に襲われていました。
「大変!」
オリーブはすぐに魔物を倒し中に乗っていた人物と御者を回復させました。
しかし馬はすでに亡なっていたため回復することが出来ず、オリーブはこのまま放っておけないと思い大声をあげました。
「こっちに魔物に襲われてる人がいるわ〜!」
そしてすぐにオリーブは姿を消しました。
「あれあの子、見たことある気が…、まぁいっか」
助けた人物に見覚えがある気がしましたがオリーブは気にせず城へと帰り、そして翌日、オリーブが学校へ行くと入り口に女の子が立っていました。
「アリシアさん?おはようごさまいます」
オリーブは入口に立っていたアリシアに声をかけました。
するとアリシアはオリーブの手を引き、校舎の裏の誰も来ないような所へ連れて行きました。
オリーブは何かされるのかと思い、恐る恐るアリシアに話かけました。
「あの…、何か?」
「昨日は、ありがとう!!」
すると突然アリシアはお礼を言ってきました。
「えっと…、昨日とはいったい何ですか?」
「魔物に襲われていたのを助けてくれたでしょ?」
オリーブは昨夜助けた人物がアリシアだったのだと気付きましたが、知らないフリをしました。
「さぁ?何のことだか分かりませんが…」
「とぼけてもダメよ、私には分かるんだから。あなたといつも一緒にいる精霊が見えたわ。でもまさかあの噂のエルフがあなただったなんて、今まで1人で戦ってきたの?」
アリシアはオリーブに問いましたが、オリーブは何も答えませんでした。
「そう何も言えないのね。分かったわアナタは私の命の恩人だもの、誰にも言わないわ。
私アナタが羨ましかった。もう分かってると思うから言うけれど、私には光の精霊女王ミエールがいるの。でも随分と会話もしてない。昔はたくさんお喋りしたのにね、今は力を全く貸してくれないし。
だからアナタを見た時、もしかしたらミエールがまた力を貸してくれるかもと思った。でも貸してくれなかった。
アナタと私で何か違うんだって思って思わず光の矢を飛ばしてしまったわ。すぐに弾かれたけど…
アナタには森の精霊女王がいて精霊獣もいてかなわないと思った。そんな時魔物に襲われたわ、怖かったとてもとても。でもアナタが来てくれたわ。ありがとう。そして今までの事もごめんなさい。もうアナタを恨んだり憎んだりしないわ。
だってアナタは精霊の力が使えるのに、それを使わず剣だけで魔物をあっという間に倒しちゃった。ビックリした。でも納得したわ。アナタこそ森の精霊女王の依り代に相応しい。私の実力不足をとても痛感したわ。これじゃあミエールに嫌われても仕方ないわね」
「アリシアさん…」
「さんは付けなくていいわ。私もアナタをオリーブと呼ぶからアリシアって呼んで?」
「アリシア!」
「オリーブ!」
オリーブはアリシアに抱きつきました。
「アリシア」
「なぁに、オリーブ?」
「私の友達になってくれる?」
「友達?私でいいの?」
「うん!アリシアがいい」
「オリーブは変わってるわね。私を許してくれるの?」
「許すも何も私は怒ってないわ」
「えっ?怒ってないの?あんな事されたのに?」
「この子は本当に怒ってないわよ」
側にいたフォーレがアリシアに話かけました。
「えっと、森の精霊女王様?」
「そう、私はフォーレ」
「フォーレ様、この度は大変なことをし申し訳ありませんでした」
すると突然、アリシアがフォーレに向かって跪きました。
「それはオリーブに言ってちょうだい」
「はい、オリーブ様、申し訳ありませんでした」
「そんなことしないでアリシア、私はアリシアを信じてた、いい子だって。やっぱりそうだったでしょ?フォーレ」
「まぁ、そうみたいね」
「ありがとうございます」
「ミエール、アンタも黙ってないで何か言いなさいよ」
フォーレはアリシアの側にいた、光の精霊女王ミエールに話しかけました。
「…フォーレ、アンタはいっつも上から目線でうっさいのよ!勝手に私を呼ぶな!」
「相変わらずねミエール…、この子がアリシアを気に入るのも何か分かるでしょ?オリーブ」
「えっ、えぇ…」
「ミエール!出てきてくれたのね!嬉しい!」
アリシアは立ち上がると、姿を現したミエールに嬉しそうに話しかけました。
「ふん!力を貸すのはまだ認めないわよアリシア」
「はい、それは分かってます。ミエール」
「ミエール、アンタの口の悪さに私のオリーブがビックリしてるじゃない」
するとミエールはオリーブの側に飛んで行くと、クルクルと周囲を飛びながら話かけました。
「まぁこの子がオリーブね。初めまして私は光の精霊女王ミエールよ。フォーレもよく『あの2人』から、この子を奪い取ったわよね?」
「もたもたしてたアイツらが悪いのよ」
「ミエール様お初にお目にかかります、オリーブと申します。よろしくお願いします」
「いい子ね、フォーレ」
「でしょっ!」
するとオリーブが申し訳なさそうに話しの間に割って入りました。
「あの、すみません…。そろそろ授業が始まるかもしれませんので、私とアリシアは教室に行っても良いですか?」
「そうだ!大変じゃない!オリーブ早く教室に行きましょう!」
「えぇ、アリシア!」
その頃、城を出て学校に到着していたはずのオリーブがいないことに、ウォルターとアイザックは気付き、オリーブの従者アイリに「アリシアに連れられどこかに行った」と聞き、2人はオリーブを探していました。
「オリーブ、また何かされているんじゃないか?」
「あぁ、すぐに探し出そうアイザック!」
そんな2人をよそに、仲良さげにお喋りをしながらオリーブとアリシアが校舎の入口に現れました。
「じゃあ、また後でねオリーブ!」
「えぇまたね、アリシア!」
2人は手を振りながら別れ、それぞれの教室に入っていきました。
それを見たウォルターとアイザックは、不思議な顔をしながら呟いていました。
「アイザック、これは夢か?」
「夢ではない…、と思う兄さん」




