思い出の場所
その後2人でお風呂に入りに行った。
ガラス張りから見える星空を眺めるため、電気を消しながら湯船に浸かり澪央は私を後から抱き締めていた。
「そういえばプラネタリウムまだ行ってないね」
「そうだな」
「でもプラネタリウムより、こっちの方が案外綺麗なんじゃないかな」
「そんな気もするな」
「あっそうだ、2人で温泉とかも行きたいなぁ」
「いいな、それ。部屋風呂つきのな」
「部屋風呂ある温泉にするの?」
「あぁ、じゃなきゃ璃花と離れるだろ?」
「まぁ確かに、お風呂入りに行くから離れるね」
「だから部屋風呂あるやつにする。そんで璃花と一緒に風呂はいる」
「こうやって?」
「あぁ、こうやって」
「てかさ、ここのお風呂広いから2人でくっつかなくても入れるよ?」
「いいんだよ、俺がくっつきたいんだ」
「じゃあ横に並ぶとかは?」
「2人で風呂入る時は、このスタイルって昔から決まってんだ」
「それは誰が決めたの?」
「俺以外に誰がいる?」
「はいはい」
「口答えする口はこれか」
そう言って澪央は私の顎を鷲掴みし、自身の方に向けさせ深く口付けた。
「今日も澪央キスばっかり、澪央が私の髪にもいっぱいキスしてるって私知ってるんだからね。それも昔から」
「お前が可愛いのが悪いんだ」
「そのうち私の髪の毛、臭くなりそう」
「そんな事なるわけねーだろ」
お風呂を出ると2階の寝室へと行き、私はまたサンタクロースの格好をしていた。
「そんなに気に入ったの?これ」
「あぁ、気に入った」
「ふ〜ん、じゃあこの格好でこれから何か頼み事しよっかなぁ」
「そしたら心臓もたねーよ」
澪央はベッドの真ん中に座りここへ来いと私を呼んだ。
「璃花、こっち来い」
「うん」
澪央の膝の上に向かい合わせで、跨がるような格好に私はさせられ手は肩に置いた。
「何かこれ昔させられた記憶ある」
「あぁ、させたな」
「恥ずかしいこれ」
「俺が好きだから我慢しろ」
澪央は私にキスをしろと唇を尖らせてきたので、私は澪央の唇にキスをした。
その日の夜の澪央は、なかなか私を離してくれなかった。
「璃花、可愛い」
「澪央もう…」
「まだダメだ」
「…んっ…、あ…」
「好きだ璃花…」
澪央はその後も深く、私に何度も口付けた。
しばらくして落ち着いてきた頃、仰向けで寝ていた澪央の上に私は跨がった。
「ねっ」
「なんだ?」
「私からもする」
「いいよ、もう。今日は」
「いっつも澪央からじゃん、私もやる」
「いいって、寝ろ」
私は諦めるフリをして澪央のすぐ横に寝そべった。
「璃花は変なこと覚えなくていい」
「私からもやりたいのに」
「璃花が上手かったら心配になるからダメだ」
「前も同じこと言ってた」
「言ったかもな」
「上手い方がふつう良くない?」
「俺はいい、今の璃花でいい」
「澪央、上向いて」
「何で?」
「いいから」
私は上を向いた澪央の耳を、優しく舐め、そしてそのまま首筋に舌を這わせた。
「やめろ」
そう言って澪央は私の肩を掴み自分から引き剥がした。
「嫌だった?」
「嫌じゃねーよ」
「澪央?」
すると澪央は話しながら私の上に覆い被さってきた。
「今のスイッチ入った、もっかいやる」
「えっ?ひゃっ…、ん…」
そして私は再び、澪央の腕の中に戻されていた。
「あんま可愛いこと言うな、やるな分かったな?」
「可愛いことが自分じゃ分かんない」
「致命傷だな…」
「嫌いになった?」
「なんねぇよ、一生ならねーよ」
「ならよかった」
私は仰向けになった澪央に、腕枕されるような形で抱き着いた。
「そう言うの可愛いんだって自覚してるか?」
「えっ、これ可愛いの?抱き着いただけなのに」
「お前に言った俺が悪いな。気にすんな」
「分かった、気にしない」
その夜、私達は互いを抱き合うような形で眠りへとついた。
次の日の朝、澪央が目を覚ますと隣りにいたはずの璃花の姿が見当たりません。
「璃花!」
澪央は名を呼びながら慌てて起き上がると、すぐ近くから声がしてきた。
「なに?澪央」
私は先に起き、近くで身支度を整えていた。
「なんだ居たのかよ…、よかった…」
澪央はすぐにベッドから出ると、私に近寄り抱きしめた。
「いるよ。じゃなきゃ先に起きたって言われるもん」
「そうだな」
「いつもこんな感じで、私いないと起きてたの?」
「あぁ、璃花が側にいないと不安になる」
「私はどこにも行かないよ」
「ならベッドから出るな」
澪央は抱き締めていた手を緩め、私の顔を見ながら言ってきた。
「それもダメなの?」
「ダメだ」
「うちの大っきい猫、ワガママ過ぎる」
「口答えするならキスマーク付けるぞ」
「もうこれ以上いらない。私の体ヤバい病気にでも、なってるみたいなんだから」
そして澪央も着替え、2人で階段を下りキッチンへと向かった。
「そうだ曲でも、かけるか」
そう言うと澪央は直径10センチくらいの、小ぶりのスピーカーをバッグから取り出した。
「持ってきたの?」
「あぁ」
澪央は自分のスマホから、スピーカーに飛ばし曲をかけた。
「洋楽?」
「あぁ、嫌か?」
「全然嫌じゃないよ、澪央っぽい」
澪央の曲のリストはEDM系の洋楽だった。
曲をかけた澪央は、キッチンにいた私に前から近付き抱き寄せると、ついばむようなキスをしてきた。
「まだ起きてからしてなかった」
「そうだね」
再び澪央は私に口付け、今度はもっと深く舌を絡ませてきた。
「朝から長い」
「我慢しろ」
澪央は私の髪をずらし、首の後の方までキスをしてきた。
「くすぐったい」
「あっ、やべ」
そう言うと澪央は私の手を引き、ソファーの方へと移動した。
「朝から璃花が可愛いのが悪いんだからな」
私はソファーに寝せられ、まだ朝だと言うのに澪央は何度も私を求めてきた。
「もう、朝からあんなにするなんて」
「怒んな」
「怒ってない、ケーキ食べる」
朝食を食べたあと私は自分を落ち着かせるために、昨日の残りのケーキを冷蔵庫から取り出し、テーブルの上へ持ってくると、フォークですぐに口に含んだ。
「お前もよく朝からそんなもん食えるな」
「澪央に言われたくない」
澪央はイスから立ち上がると、そんな私を後から抱き締めてきた。
(※座っていたのはキッチンに置いてあるダイニングテーブルとイス。朝食はだいたいココ)
「今日は璃花の好きなとこに連れてってやるから怒んな」
「私が好きなとこ?どこでもいいの?」
「あぁ、どこ行きたい?」
「じゃあ…」
私はどこがいいかと考え、そして私達は遊園地に来ていた。
「電車から見えたから来たかったの」
「だと思った。髪飾り付けたんだな」
「うん。澪央とデートだから」
「似合ってる」
「ありがと。澪央、ジェットコースターいける?」
「あぁ、大丈夫だ」
「じゃあ行こう!」
「はいはい」
2人で何個かアトラクションに乗り、私達は昼食にした。
「澪央、意外と楽しそうで良かった」
「まぁな、ただ人多いな」
「そうだね、年末だしね」
「あと何個か乗ったら帰るか?」
「そうしよっか。じゃあ次は…」
私は澪央をお化け屋敷の入口前に連れて行った。
「璃花、ホントに行くのか?」
「もちろん!」
「ここのって長いんだよな?」
「あ〜、そういえばそうだったかな。大丈夫だって、人が作ってんだから怖くないよ」
「マジか…」
「あんなにゲームで人殺してんのに、お化けは怖いの?」
「怖くない、嫌いなだけだ」
澪央の部屋には、戦争物の戦うゲームがいっぱい置いてあったのを私は見ていた。
「ならっ、行こう!」
私は澪央の手を取り、お化け屋敷へと入った。
私はとても楽しかったが、澪央は出てくるなり顔が真っ青になっていたので、次は観覧車に乗った。
観覧車の中、隣同士に座った私は澪央に声をかけた。
「怖かった?」
「そこそこ」
「そっか」
「璃花、楽しそうだったな」
「お化け屋敷、好きなの」
「そうか、俺はよく分かんねーや」
「戦争物やってるよね?ゲームの」
「人間ならな」
「そっか、人間以外ダメなんだ」
「あぁ」
「変わってるね」
「うるせっ」
「何で幽霊だとダメなの?」
「倒せないから」
「そういう理由なんだ」
「あぁ」
「あっ、湖見える!」
「そうだな」
「別荘あのへんかな?」
「だな」
私達は観覧車から見える景色を堪能していた。
「澪央、少しは落ち着いた?」
「最初から何ともない」
「そう?」
「あぁ」
「ならいいけど。あっ、あれ別荘かな?いや何か違うか…、う〜ん…」
「璃花こっち向け」
「んっ?」
窓の外を見ていた私は澪央に声をかけられ振り向いた。
するとすぐに顔を引き寄せられ、深く口付けられた。
「もうこんな所で」
「こんな所だからだろ?記念だ」
「澪央ロマンチックだもんね」
「ならもう1回」
「そんなにしてたら下に着いちゃうよ」
「まだ着かねーって」
私達は再び観覧車の中でたくさんキスを交わし、その日は遊園地を後にした。
別荘へ戻った私達は、夕食を食べながら今日の事を話していた。
「遊園地、楽しかった」
「あぁ、俺も」
「澪央が楽しんでたの意外」
「基本、璃花と2人で過ごせたからな」
「そっか、でも混んでたね」
「だな、乗れないのもずいぶんあったな」
「次はもっと空いてる時に行こう?」
「そうだな」
その後、片付けをしソファーで寄り添いながら寛いでいると、澪央が改まった感じで私に話かけてきた。
「璃花」
「なに澪央?」
「お前に言わなきゃいけない事がある」
「言わなきゃいけない事?」
「そうだ、俺の母親の事だ」
「澪央のお母さんがどうかしたの?」
「まだ会ったことないだろ?」
「うん、ない」
「おかしいと思わなかったか?」
「それは確かに…、何か聞いちゃいけないのかなと思って」
「もういないんだ」
「いない?」
「俺が8歳の時、病気で亡くなった」
「そうなんだ」
「だからこの別荘も来なくなった。ここは母親が好きだった場所だから、思い出すつって誰も来なくなった」
「そうだったんだ」
「だけど夏に璃花と来て、凄く楽しかった」
「うん、そうだね。楽しかったね」
「だから璃花となら、またここ来てもいい」
「そっか、澪央のお母さんここ好きだったんだ」
「あぁ、そうだ。璃花と同じだ」
「会ってみたかったな」
「俺も璃花を会わせたかった」
「でもそんな思い出の場所で、私コスプレとかしちゃったけど、いいの?」
「それは俺の趣味だから気にすんな」
「趣味ね」




