同じ星空
その後私達は別荘から出て、湖の方へ向かった。湖の周りを手を繋ぎながら2人で歩いていた。
「さっき人いっぱい居たのに、ここいないね」
「ここらへん穴場だからな」
「そういうのも似てるね、人がいないとか」
「あぁ、似てる」
「もしかしてまた魚いるとか?」
「あぁ、いる。ほらっ、今跳ねた」
「えっ、嘘?どこ?」
「また釣りやるか?」
「ふふっ、またやるの?(笑)今度は釣れるか分からないんじゃない?」
「釣れるって。あっ、でもその前に食材買いに行かないとな」
私達は近くのスーパーへ買い物に行き数日分の食材を買い、また別荘へと戻ってきた。
「食材買ってきたし、釣りに行く?」
「いや、その前に少し休もう」
キッチンの冷蔵庫に今買ってきた食材をしまい終わると、澪央はリビングのソファーの方へ座った。
「璃花も、こっち来い」
「うん」
私は澪央の隣に座った。するとすぐに澪央に肩を抱き寄せられた。
「しばらく2人きりだ」
「うん、そうだね」
「璃花、髪切ったろ?」
澪央はそう言いながら私の髪を触ってきた。
「切ったよ。最近暑くて」
「ずいぶん切ったんじゃないか?」
「5センチだけだよ」
「本当か?」
「本当です。すいたから短く見えるの」
「俺の髪あんま切るな」
「澪央のじゃないでしょ」
「お前は俺の者なんだから、これは俺の髪だ」
「どう言う理屈?澪央だって普通に髪切るじゃん」
「俺はいいんだ」
「今度は俺様ですか」
「まぁ、今回は似合ってるから許してやる」
「ありがと」
澪央は私の頬に手を添えながら口付けた。
「つかよくこのネックレス見つけたな?」
キスをすると澪央は胸元に付けたネックレスを触りながら言った。
「澪央に何あげようか迷って探してたら、偶然店先に2つ展示してあるのを見つけたの」
「どうりで街ん中うろうろしてたわけだな」
「まさかあんなに怪しまれると思わなかった」
「怪しかった。いろんな店行ったり来たりしてたからな」
「それ部活中だよね?何でそんなに見てるの?」
「さぁな、何でだろうな」
「ストーカー…」
「うるせぇ」
すると澪央は私にもたれかかり、頭を私の鎖骨あたりに置いた。
私は急に寄りかかられ支えきれずにソファーに2人で倒れ込んだ。
(※ソファーは大きく、背の高い澪央でも十分に足を伸ばす余裕がある)
澪央はそのまま私の腰に両手を回し、どこか嬉しそうに抱き着いてきた。
そんな甘えてきた澪央の頭を私は撫でながら言った。
「どうかした?澪央」
「やっと璃花と2人きりだ」
「そうだよ、2人きりだよ。何したい?」
「しばらくこうしてる」
「そう」
そのまま澪央の頭を撫でていると、少ししてから寝息が聞こえてきた。
『えっ、澪央寝ちゃったの?ちょっと腰の手、邪魔なんですけど…。まぁ、起こすわけにもいかないよね…』
私はそのまま少しだけ上に動き、近くにあったクッションを斜めに置き頭を乗せた。
『これなら少しはいいかな。それにしてもこんなすぐ寝るなんて、移動したし疲れたのかな』
「璃花…」
『んっ?寝言?それとも起きたの?寝てる。私ならここにいますよ。何か澪央の寝顔見てたら眠くなってきたな』
澪央は私に抱き着き寝言を言いながら、スヤスヤと気持ちよさそうに寝ていた。
そんな澪央の寝顔を頭を撫でながら見ていると、いつの間にか私も寝てしまい、先に起きたのは澪央の方だった。
『やべっ、寝ちまった。璃花!寝てる。俺を起こさず、このまま寝せてくれたのか。邪魔だったろうに』
「う〜ん…」
『可愛い寝顔しやがって。俺を甘えさせてくれるのはお前だけだ、璃花』
澪央はそのまま私に覆いかぶさったまま、寝ている私の頬を優しく撫でながらキスをしようと顔を近付けた。
その瞬間、私は寝返りをうち澪央と頭がぶつかった。
「いでっ!」
私は澪央の声で目が覚め、よく見ると澪央が頭を抱えながら私の横にいた。
「澪央、目覚めたの?」
「この石頭が」
「また頭ぶつけたの?」
「そうだ。璃花の頭こっちでも硬いのかよ…」
「ごめん、そんなに痛かった?」
「いってーよ。もう頭割れた。脳みそ出た」
そう言って澪央は甘えたように、また私に抱き着いてきた。
「じゃあ頭撫でてあげる」
私は頭をぶつけたと言う澪央の頭を再び撫でてあげた。
「澪央の髪もストレートだよね。私と同じ」
「そうだな。髪質似てるな」
「子供出来たら間違いなくストレートだね」
「そうか、それで浮気してるかも分かるな」
「何それ」
「璃花モテるからな。ちゃんと俺が見張んねーと」
「今も見張ってるじゃん」
「まぁ、確かに」
「浮気疑うならDNA鑑定でもしたら?」
「それいいな、覚えとく」
「本当にやりそう、澪央なら」
「だって俺らだと子供の血液型、全部ありえるぞ」
「そうだっけ?私BOでしょ。澪央はA?」
「俺AO」
「本当だ全部だ」
「だろ?」
すると澪央は、ふと窓の外を見た。
「まだ陽が出てるうちに魚でも釣るか」
「そうだね、でも釣れるの?」
「たぶんな」
「こっちの世界来てから、やったことある?」
「そういやないな」
「ないのかい」
「こっちじゃ都会育ちだからな」
「ここではないの?釣り竿あるんでしょ?」
「親父がやってたのは見たが、俺はやってない」
「そっか」
その後私達はソファーから起き上がり、別荘を出ると湖の方へ歩いて移動した。
近くの丸太に座り澪央は釣りを始めたので、私は澪央の隣に座り話しかけた。
「同じだよね前と」
「あぁ、同じだな」
「もしかしてこれからも同じような事が起こる?」
「可能性はあるだろうな」
「まさか赤ちゃん…」
私は思わず両手でお腹を押さえた。
「それは俺が気を付けるから、心配すんな」
「分かった」
お腹を触った私に澪央は心配するなと言ってきた。
「出来たら璃花と一緒にいられるけどな」
「まぁ、そうなるよね」
「だけどそれは、まだ先の話だ」
「うん、そうだね」
澪央は隣りにいた私に顔を近付け優しくキスをした。
「何があっても、手放さないからな璃花」
「うん、私も澪央から離れない」
「あぁ」
2人で顔を近付け微笑み合っていたその時、私は横目で澪央が持っている釣り竿が揺れている事に気付いた。
「ねぇ、何か動いてるよ!」
「あっ、ホントだ。かかった!」
澪央は釣り竿を引っ張り、みごと大きな魚を釣り上げた。
「でっか!」
「大っきい!凄〜い!」
「食べられんのか?これ」
「どうなんだろう?なんて言う魚か分かる?」
「分かんねぇ。スマホで調べるか」
「そうだね」
私達はその場でスマホを取り出し、検索し調べた。
「食べられるみたいだね」
「そうみたいだな」
「あっ、ここに美味しいって書いてあるよ」
「よしっ、今夜はこれ食うか」
「うん!」
私達は別荘へと戻りさっそく魚を捌き、買ってきた食材を調理し出来上がるとすぐに夕食にした。
「この魚、美味しい!」
「あぁ、うまいな」
「何かこうしてると、ほんと思い出す」
「前の事か?」
「うん、こうやって一緒に魚食べたなって」
「そうだな、食ったな。違うのは酒だけだな」
「さすがにそこは未成年だしね」
「あぁ。あっちじゃ14だったよな。成人」
「そうそう、早かったよね」
「璃花」
「んっ?なに?」
「同じと言えば、もう1つあるぞ」
「えっ、本当?」
食事を終え2人で後片付けをしたあと、2階の寝室へと行った。
「電気つけないの?」
「あぁ、こっちだ」
私は澪央に手を引かれバルコニーへと出た。
「わぁ、凄い!」
そこには満点の星空が輝いていた。
「星空なんて久々に見た」
「都会じゃ見れないからな」
「こんなに星って綺麗だったんだね」
「あぁ」
「何か感動する」
澪央はまた私を後から抱き締めながら話しかけてきた。
「風呂からも見えるぞ星」
「本当に?」
「あぁ」
「澪央の家の別荘、凄すぎ何ですけど」
「昔はここ好きじゃなかったけどな」
「そうなの?」
「だって遠いし、不便だし、何もない」
「私だったら喜んで来るけどな」
「俺は外で遊んだりとか、あんましなかったからな」
「そっか。私はず〜と外で遊んでた。夏は虫取り行ったり」
「うわっ、虫とか俺マジ無理苦手」
「そうなの?虫なんて何ともないよ」
「璃花もしかしてイナゴとか食える感じ?」
「うん、食べれる。昔お婆ちゃんが作ってくれた」
「ありえねぇ…」
「そうかな?普通に美味しいよ」
「あんなん食いもんじゃない。これから家に虫出たら璃花に任せるわ」
「うん、任せて」
「つか何か飛んでるな、コウモリか?」
「カナブンじゃない?」
「げっ!璃花、中入るぞ!」
「ふふっ、はいはい(笑)」
近くを飛んでいた虫に澪央は驚き、私を連れすぐに部屋の中へと入った。
その後、ガラス張りになっているお風呂に星を見ながら2人で入った。
電気を消し湯船に浸かり、澪央に後から抱き締められながら私は星を見ていた。
「凄い、綺麗」
「そうだな」
「プラネタリウムってこんな感じだったけ?」
「あぁ、そうかもな」
「行ったことある?」
「小さい頃に連れてかれたくらいだ」
「そっか、私もそんな感じ」
「なら行くか。そのうち2人で」
「うん、行こう」
その後、お風呂の電気をつけ私は湯船に浸かりながら、隣で椅子に座り身体を洗う澪央を見ていた。
『あっ、また耳に泡つけてる。昔と変わらないな』
澪央は昔からすすぎが下手なのか何故なのか分からないが、シャンプーしたあと耳に泡を付けたまま気付かないのだ。
私は身体を洗い流し、湯船に入ってきた澪央に言った。
「耳に泡、付いてるよ」
「えっ?どこ?」
私は手を伸ばし目の前にいた澪央の耳を触り、泡を指に絡ませて取り澪央に見せた。
「ほらっ、付いてたでしょ?」
「ホントだ。ありがと」
「どういたしまして」
私は泡の付いた手にお湯をかけて流した。
「こっち来い」
すると澪央に後ろ向きにされ、また後から抱きすくめられた。
「前の時も今のされたな」
「うん、取ってあげた気がする」
「俺ら本当に昔のまんまなんだな」
「そうだね。そのままだね」
「あぁ。こっち向け」
私は澪央の大きな手で顔を横向きにされ、深く口付けられると私の身体は火照っていった。




