シンシア王国
「父様、母様、行って参ります!」
オリーブは隣国シンシア王国へ留学する事になり、しばらく会えないわが娘を見送り悲しみに暮れる父カーティス、強くなったと改めて思った母ナディア、そんな2人の思いを胸にオリーブはシンシアへと旅立ちました。
シンシア王国はヘイデン王国よりも北に位置し、自然豊かな水の綺麗な場所でヴィエフル家が治める国です。
そしてそこには水の精霊女王ウンディーネが住むと言われ、水属性の魔法を得意とする者が多くいる国でもあります。
オリーブは隣国の王女と言う事で、シンシア城の中に部屋をもらいのヴィエフル家の皆と共に暮らすことになりました。
数日かけ馬車で移動したオリーブはシンシア城へと着くと、まずはさっそく王と王妃に挨拶へ向かいました。
王の間へと通されたオリーブと従者のアイリ。(※アイリはメイドから従者へとなった)
そこには王ディラン、王妃ステラが並んで椅子に座り、その傍らには息子2人もいました。
「お初にお目にかかりますディラン陛下、ステラ妃殿下。ヘイデン王国から参りました、オリーブ=ゼラファーガと申します。お会い出来、光栄でございます」
オリーブが挨拶をすると、ディラン王とステラ王妃が答えました。
「そんな堅苦しい挨拶はよいぞ。疲れたであろう、オリーブ」
「えぇ、これから一緒に城に住むのです。私の事は母と思い遠慮なく何でも言ってください、オリーブ」
「ありがとうございます」
「あぁそうだ紹介する、こっちが息子のウォルターで、こっちが1つ下の弟アイザックだ。どちらもオリーブと同じ中等部だ、仲良くしてやってくれ」
(※ウォルターはオリーブより1つ年上、アイザックは同い年)
王は側にいた王子2人をオリーブに紹介しました。
「はい、よろしくお願いいたします」
一通りの挨拶を終え、オリーブは与えられた部屋へと下がっていきました。
息子達王子2人もオリーブが下がったのを見ると、すぐにそれぞれ王の間を出ていきました。
「まぁ、何て綺麗で気立てのよい子なのかしら」
「あぁ、娘がいたらあんな感じ何だろうか?息子のどちらかとくっつけば嬉しいが…」
王と王妃がそんなことを話していた頃、オリーブは与えられた部屋へと入ってすぐに、アイザック王子が後を追うように現れ声を掛けてきました。
「オリーブ」
「えっ?あっ、えっと…」
オリーブは急に後ろから声をかけられ、慌てて振り返りました。
「俺は、アイザックだ」
「失礼いたしました。アイザック様、どうかされましたか?」
「これをやる」
「えっ?」
急に部屋へ現れた王子にオリーブが驚いていると、アイザックが何かを差し出してきました。
アイザックがオリーブに手渡したものはガラスケースで、なんと中には氷で作られた一輪のバラの花が入っていました。
「まぁとっても綺麗!でもこれは?」
「俺が作った。溶けないから安心しろ」
「えっ、作ったのですか?」
アイザックは話しながらずかずかとオリーブの部屋の中へと入り、奥のソファーへ腰掛けました。
それを見たオリーブもつられて中へと入り、アイザックと向いのソファーへと座りました。
「俺は氷魔法が得意なんだ。だからこれくらいは簡単に作れる」
「まぁそうなのですね、ありがとうございます。大事にします」
「おっ、おう…(照)」
アイザックは目の前に座ったオリーブの笑顔に照れ、立ち上がると背を向け顔だけ少し横にして言いました。
「学校同じクラスにしといたから、何かあれば俺に言え。それから時間があれば屋上に行ってみるといい、シンシアを一望できる。じゃあな」
そう言うとアイザックは、すぐに部屋を出て帰って行ってしまいました。
「学校同じクラスって言った?」
「えぇ、この国の王子ならばそれくらい簡単なのでしょう」
オリーブの側にいたアイリが答えました。
「そっか。でも何で?」
「アイザック様に気に入られたようですね」
「私が?初めて会ったのに?」
オリーブはよく分からないと言った表情を浮かべ、テーブルの上に置いた氷のバラを見つめました。
するとすぐにまたアイリが話しかけてきました。
「オリーブ様、ウォルター王子がお見えです。お通ししても?」
「えっ!すぐにお通しして」
するとすぐにウォルター王子がオリーブの目の前に現れました。
「初めまして私はウォルター、遠いところよく来たね」
「私はオリーブと申します。ウォルター様、お気遣いありがとうございます」
するとウォルターはテーブルの上に置かれた氷のバラを見て、引きつった顔になりました。
「アイザックの方が先に来たようだね」
「えぇ、つい先程来られてました」
「私からもオリーブにプレゼントを持ってきたんだ。受け取ってくれたら嬉しい」
そう言うとウォルターはピアノのオルゴールをオリーブに差し出しました。
「まぁ、オルゴールですか?」
「あぁ、私が作った曲が入っている」
「作曲なさるんですか?」
「少しだけだがピアノのを弾くんだ」
「そうなのですね。ありがとうございます、大切にします」
「あまり長居しても、長旅で疲れているだろうからすぐに帰るよ。そうだ学年は私が1つ上だが、何か分からないことや困った事があれば、いつでもおいで」
「ありがとうございます」
「では、また夜に」
2人の王子が相次いで部屋へ現れ、オリーブは少し困惑していました。
窓辺に頂いたプレゼントを2つ並べ、それを見つめながらオリーブはアイリに話かけました。
「王子2人は、何故来たのかしら」
「オリーブ様を案じてらっしゃるのですよ」
「そうなの?」
「えぇ、お2人共お優しい方のようですね」
「そうかもしれないわね」
アイリはさっそくオリーブを巡り、王子同士で揉めなければいいなと思うのでした。
そしてその夜、城ではオリーブの歓迎パーティーが行われました。
オリーブが大広間へ姿を現すとすぐに、王子2人が側へ待っていたかのように近寄って来ました。
「オリーブ、ドレス着替えたんだね。とても綺麗だよ」
「ありがとうございます、ウォルター様」
(※パーティーなのでオリーブは豪華なドレスに着替えた)
「似合っている、オリーブ」
「ありがとうございます、アイザック様」
少しキザで気さくな王子ウォルターと、ぶっきら棒だが根は優しいアイザック王子、2人の対照的な王子に好かれたオリーブはシンシアでの暮らしを初めて行くのでした。




