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えっ、私がこの世界を守るの?  作者: 藤崎七奈
番外編 〜日常を貴方に〜

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お泊まり 2

学校から帰り、私は澪央を自分の部屋に招いていた。


「そうだ澪央、髪普通に切っていい?」

「何でそんなこと聞くんだ?」

「いや澪央の事だから、また長い方がいいとか言うかと思って」

「そうだな…」


私は以前レオナルドに、あまり髪を切るなと言われていたので隣に座る澪央に聞いてみた。


「長い方がいいな」

「またかい…」


澪央は側にいた私の髪を触りながら、長い方がいいと言ってきた。


「髪真っ直ぐで綺麗なんだから切るなよ。もったいないだろ」

「分かりましたよ、そう言うと思いましたよ」

「5センチだ。切るなら5センチまでだ」

「は〜い」

「ところで何で部屋にピアノあんの?」

「やっぱそれ聞くよね」

「当たり前だ、こんなデカいの気付かないわけねーだろ」

「昔ちょっと習ってたの」


私の部屋にはピアノが置いてあり、それを澪央は聞いてきた。


これは昔お婆ちゃんが孫の私のためにと、確か70万円くらいで買ってくれたのだ。


「そうか、俺の知らない所もあるんだな」

「今はあんまやってないけどね」

「習ってたなら、だいたいは弾けんだろ?」

「まぁ、一通りは」

「だったら何か弾いてよ」

「えっ、マジで?」

「マジ」

「今日はちょっと手痛いかな」

「嘘つくな。俺、昨日から一緒にいるんだけど?」

「もう、弾けばいいんでしょ」

「あぁ」


私は立ち上がりピアノの前に置いている椅子に座り、澪央は隣に立った。

ピアノのフタを上に開け、赤いカバーを外し上に置いた。


「誰か好きなアーティストは?」

「何でもいいの?」

「知ってる曲なら」

「じゃあ…」


私はその後、澪央のリクエストに応え何曲か弾いた。


「すげぇ、普通に弾けんじゃん」

「これくらいならね、耳コピだから実際とは合ってないと思うけど」

「やっぱ璃花は器用なんだな」

「ありがと」


私は弾き終わると、さっさとピアノのフタを締めた。


「ピアノ弾くの嫌なのか?」

「嫌じゃないけど、特別好きでもない」

「そうか、凄いと思うけどな」


何かを感じたのか澪央はそれ以上なにも聞かず、イスから立ち上がった私を抱き締めた。


「どんな璃花でも俺は好きだ」

「ありがと。私もどんな澪央でも好き。離れたくない」

「離さないから安心しろ」

「うん」


私は澪央の肩に埋めていた顔を少しだけ離し、澪央の顔を見上げながら聞いた。


「もしかしてしたいの?」

「あぁ、したい。よく分かったな?」

「澪央の言葉とか表情とかでだいたいはね。これでも元妻ですから」

「そうだな。じゃあ元夫を受け入れてくれるか?」

「いいですよ」


私は自分の部屋のベッドで澪央を受け入れた。


しばらく経ち、日も沈み外も暗くなってきた頃、ベッドの中で私は隣りにいた澪央に聞いた。


「ご飯でも食べてく?」

「いいのか?」

「お母さんと妹と一緒でもいいなら」

「ついにその時が来たか…」

「どうします?レオ様」

「璃花もいるんだよな?」

「それはもちろん」


私は澪央が家に来ていると既に葉瑠がお母さんに言っている、となるとお母さんは澪央の分のご飯も準備しているなと思ったのだ。


すると澪央は少し下がり、私の胸に顔を埋めてきた。


「昔からそれ好きだね澪央」

「自分を落ち着かせたい時、これやると落ち着く」

「そう」


私は胸元の澪央の頭を撫でた。


「相変わらず、澪央の体冷えてる」

「璃花はいつも温かい」

「このまま寝ちゃうんじゃない?」

「うん、寝れる」

「なら泊まってく?今日お父さん出張でいないし」

「えっ…、璃花の家にお泊まり?」

「急に言ったし、無理しなくていいよ」

「無理してない!」

「そう、なら泊まる?」

「泊まりたいけど、大丈夫なのか?」

「まぁ、澪央ならお母さん気に入ると思うし、大丈夫じゃない?」

「そんな軽いノリで、娘の彼氏泊めないだろ普通」

「そうなの?」

「そうだろ」


そのあとベッドから起き上がった私達は、澪央は着てきた制服を羽織り、私は部屋着を着ると2人で部屋を出て、下にいたお母さんに澪央を紹介し一緒に夕食を取る事になった。


お母さんはテーブルに着くと、目の前の澪央を品定めするようにジロジロ見つめながら言った。


「真っ直ぐな目をしているわ。どうやら璃花の事ちゃんと考えてるみたいね。この人なら心配なさそうだわ」

「お母さんなら分かると思った」

「よく見つけたわね?璃花」

「そうでしょ?」

「いいな〜、お姉ちゃん」

「今日、うちに泊めてもいい?」

「いいわよ、じゃあお父さんの服貸してあげて」

「分かった」


夕食後、部屋に戻るとさっそく澪央が話かけてきた。


「お前の母ちゃん、いろいろスゲーな」

「人を見る目だけはあるの、だから澪央のこと気に入るだろうなと思って」

「そうか、それでか」

「あっ、ごめん忘れてた。着替え持ってくるね」

「あぁ」


私は両親の寝室に行きクローゼットを開けると、袋に入ったままの新品のスウェット上下と下着を私は持ち出し部屋にいた澪央に手渡した。


「新しいの見つけてきた。サイズ合ってる?」

「あぁ、大丈夫だ。まだ新しいのにいいのか?」

「誰か着た物なんて嫌でしょ。それに洗濯しとけば、また来たとき着れるし」

「そうだな」

「さすがにお風呂は一緒には入れないけど」

「それは残念だ」


さっそくその場で着替えた澪央は、テーブルの前に座るとすぐに私に抱き着いてきた。


「璃花」

「なぁに?澪央」

「今日も一緒だな」

「そうだね」

「まさか泊まると思わなかった」

「それはこっちもだよ。海翔くんには言ったの?」

「さっき帰らないってメッセージした」

「そっか」

「やっぱこの部屋落ち着く」

「そう」


そう言うと澪央は寝転がり私の膝に頭を置いてきた。


「今日は甘え坊さんなの?」

「あぁ、何でもいい」


私は澪央の頭を撫でてあげた。


すると澪央は何か考え事をしているのか、しばらく何も言わなくなった。


そして少ししてから沈黙を破るように、澪央が突然話し出した。


「夏になったら別荘行こう」

「別荘?」

「あぁ、うちの」

「別荘なんてあるの?」

「あぁ」

「澪央の家って、やっぱ凄いんだね」

「そこそこな」

「私が別荘行ってもいいの?」

「今は誰も行ってないし、使ってないから2人になれる」

「ふ〜ん」

「少し遠いけど、電車乗り継げば行ける」

「いいよ、私は何でも」

「そしたら璃花と2人きりだ」

「最初からそれが目的?」

「当たり前だろ」

「だからしばらく考え込んでたの?」

「あぁ、どうすれば璃花と2人きりになれるか考えてた」

「もしかして澪央の頭の中、私でいっぱいとか?」

「あぁ、璃花しかいない」

「嬉しいけど、ちょっと怖いんですけど」

「気にすんな」

「澪央、イケメンでよかったね」

「何で?」

「いや間違いなく、ちょっと?かなり?ヤバい人だよ」

「俺そんなヤバい?」

「ヤバい、ストーカーみたいな思考回路してる」

「げっ、それ相当ヤバいじゃん」

「うん、かなりね」

「それ相手が璃花じゃなきゃ俺、捕まってんじゃね?」

「案外そうかもよ、冗談抜きで」

「璃花でよかった」

「そうだね」


澪央は起き上がると私にキスをし、そのあと後ろから抱き締めてきた。


「今日は俺にくっつかないの?」

「くっついてるよ」

「昨日はもっとくっついてきた」

「そうだっけ?」

「そうだ、もっとしがみついてきただろ?」

「しがみついたかな」

「しがみついた。また昨日みたいに、しがみつけよ」

「もう」


私は澪央に言われ、昨日のように横向きになり体をくっつけ寄りかかった。


「こんな感じ?」

「あぁ、そうだ。璃花が俺を必要としてくれてる感じがする」

「最初から必要だよ」


すると澪央は私の顎を持ち上げて口付けた。


「もっとって言わないのか?」

「えっ?」

「昨日はもってしてって言った」

「もう澪央、今日どうしたの?甘えたい気分なの?」

「いいから、言え」


私は仕方なく澪央の目を見つめながら、なるべく可愛く言った。


「澪央、もっといっぱいキスして」

「!!(照)」

「顔真っ赤だよ?大丈夫?」

「うるせっ」


澪央は真っ赤になりながら、私に激しく貪るように深く口付け、そのまま私は床に押し倒された。


その後、私達は別々にお風呂に入り、一緒にベッドへと潜ると、眠る前に見つめ合いながらお喋りしていた。


「澪央もう私は大丈夫だから、明日は部活行って」

「本当か?」

「うん」

「無理してないか?」

「してない」

「本当に大丈夫か?」

「うん、大丈夫。ありがとう」


すると澪央は手を伸ばし、私の頭を撫でながら言った。


「嘘つくな。まだ大丈夫じゃないって顔してるぞ」

「だっていつまでも澪央に迷惑かけられないし、私は澪央に自分のやりたい事してほしい。澪央に頼ってばかりいらないよ」

「そういうとこ変んねーな、璃花は」

「そう?」

「あぁ、お前は強いよ。俺がどうにかして助けてやろうと思っても、いつもその先を超えてくる」

「そんな事ないよ」

「分かった、明日は来ない」

「うん」

「だけど何かあればすぐに言え。それだけはちゃんと守れ。いいな?」

「うん、分かった。守るよ」

「守らなかったら、俺の家に住ませるからな」

「澪央の家に?」

「そうだ、常に監視する。璃花の全部をな。録画もする」

「えっ、怖っ」

「嫌なら分かるな?」

「分かった。ちゃんと言います。何かあれば連絡します」

「それでよし。まぁ、俺は常に璃花のこと見てたいから、別に一緒に住んでもいいんだけどな」

「監視つきで?」

「そうだ、俺が家いない時はカメラで見る」

「澪央が言うと、本気ぽいっから嫌」

「結構、本気でやっても俺は構わない」

「やだ、もうそれ完全ストーカーじゃん」

「ストーカーされたくなきゃ、連絡よこせよ」

「てかGPSで見られてる時点で、結構マジっぽいから笑えない」

「この部屋にもカメラつけたいくらいだ」

「…彼氏が犯罪者予備軍」

「誰が犯罪者予備軍だ。何もしてねーわ」

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