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えっ、私がこの世界を守るの?  作者: 藤崎七奈
第一部 【愛と平和】

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新しい風

それから数年が経ち、オリーブは毎年夏になるとエルフの里の野営訓練に参加しメキメキと腕をあげていきました。


そしてオリーブは、もうすぐで10歳になろうとしていました。


そんな時なんとヘイデン王国の王妃クレアが懐妊し、まもなく出産が迫っていました。


息子のウィリアム王子も隣国へ留学していましたが、オリーブの誕生日祝いと母の出産の立ち会いのため帰国し、お城の中は祝賀ムードでいっぱいです。


そして5月26日、オリーブ10歳の誕生日パーティーが城で盛大に開かれました。


「オリーブ、お誕生日おめでとう!」

「ありがとう皆んな!」


城の皆から祝福されオリーブはこの日、自分はとても幸せな人間だと感じました。


その後オリーブの誕生日会もお開きになり皆が帰った後、オリーブは両親と3人で小さな花がたくさん咲いた庭のオリーブの木を見上げていました。


「また来年もこうして3人で、オリーブの木を見よう」

「そうね、カーティス」

「うん、見ようね」


その夜オリーブはベッドの中に入り考えていました。


『誕生日会とっても楽しかった。皆んなのあの笑顔を私が大切に守っていかなきゃ』


そう思いながらオリーブは目を閉じ眠りにつきました。



そして翌日のまだ夜も明けぬ早朝、城の中の騒がしい気配に気付きオリーブは目を覚ましました。


『何かあったのかしら…?』


そう思いながらオリーブはベッドを抜けると部屋のドアを開け、すぐ廊下で待機していたアイリに声をかけました。


「アイリ、何だか騒がしいけど何かあったの?」

「オリーブ様、おはようございます。クレア様が産気付いたようでございます」

「まあ!そうなのね!」


王妃クレアはオリーブの誕生日の翌日に産気づき、城の中は一斉に騒がしくなりました。


しかしウィリアム王子を産んでから約13年、久しぶりの出産ということもあり難産となりましたが、ようやくその日の夜、無事に出産しました。


子供は男の子で『クリス』と名付けられました。


ですが王妃クレアは産後の術後があまり良くなく、何と次の日から生死をさまよい続けました。


「クレア!私を残して行かないでくれ!クレア!」

「母さん!」


国王のポールと息子のウィリアムは王妃クレアの側から離れず、ずっと見守り続けました。


しかし2人の思いとは裏腹に少しずつ王妃クレアは弱っていき、そして2人が見守る中、息を引き取りました。


さらに悲劇は続き、今度はポール王が倒れました。


妻クレアの死のショックで精神を病み、ご飯も喉を通らなくなってしまい1ヶ月ほど床に伏せ、そしてそのまま眠るように息を引き取りました。


葬儀は国を挙げて盛大に執り行われ、ヘイデン王国は王と王妃を同時に失い悲しみに暮れました。


そんな中、ポール王の代わりに弟のカーティスがずっと王の役目をやってきました。


そして王位継承権第1位のカーティスがそのまま王へと即位し、妻ナディアが王妃となりました。


そんな事が立て続けに起こりオリーブはたくさんの悲しみを知りました。


「フォーレ」

「どうしたの?オリーブ」


オリーブは窓から庭のオリーブの木を見ながら、側にいるフォーレに言いました。


「私今まで皆んなを守るために、たくさん訓練してきたわ」

「そうね」

「それは私が戦う事で、皆んなを守れると思ったの」

「うん」

「でも…」

「でも?」

「それだけじゃ足りないって思ったの」

「足りない?」

「フォーレ」

「なぁに?」

「私に、回復魔法を教えて」

「回復魔法?」

「そう。回復魔法」

「どうして?」

「それで皆んなを救えるかは分からない。けれど傷付いてる人を癒やしてあげたい。そう思ったの」

「分かったわ、教えてあげる」

「私は今回、何も出来なかった。だからせめて心の傷は癒せなくても、身体の傷は癒やしてあげたいの」

「成長したわね、オリーブ」

「私に出来る?フォーレ」

「出来るわ。緑は本来癒しの魔法。オリーブが望む事で私が教えられる事は何でも教えるわ」

「フォーレ、ありがとう感謝してるわ」

「私もオリーブを選んで本当に良かったわ、ありがとう」


この日、2人の絆がよりさらに深まりました。

そしてオリーブはフォーレから回復魔法を学び、今までよりもなお一層剣術の訓練に鍛錬していきました。


「兄様、少しは手を抜いてもいいんですよ」

「何を言う、オリーブこそ手を抜いてもいいんだぞ」


悲しみに暮れていたウィリアムをオリーブは剣の稽古に誘い、そして少しずつウィリアムにも笑顔が出始めて行きました。


そしてカインも、時々姿を見せ剣の対戦をするようになっていきました。


「カイン、私より後に剣を始めたのに強くなりすぎよ」

「オリーブの方こそ、強すぎ」


そして今年も夏が来ました。

オリーブはまたエルフの里恒例の野営訓練に参加し、夜間戦闘を2夜やりました。


「もうヘトヘト、動けない」


城に戻ったオリーブは自身の部屋のベッドにダイブしそのまま眠りました。


アイリはそんなオリーブを心配そうに見守りながら肌けた布団を直し、精一杯これからもオリーブに尽そうと思いました。



そして時は過ぎてゆき、オリーブとカインは初等部を卒業しカインはそのまま中等部へ、そしてオリーブは春から隣国シンシア王国へ留学することとなりました。


新たなオリーブの物語がまた始まろうとしていました。

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