りんごと少女と神様へ
いつしか私は 真っ赤に熟れたりんごを
その誘惑に負けてかじってしまったのです
濃密で甘美なその味が
秘められた「蜜」であり「毒」である事に気付いた時には手遅れで
すでに頭の中はりんごで一杯でした
ふと気付けば 目の前に見知らぬ少女
その幾何学模様のまなざしに誘われて
不条理と哲学がいりまじる
不可思議な世界を漂っていたはずなのに
いつのまにか私は 理不尽な神の為に歌っていた
けなしてやる この命と引きかえても
犯した罪全部 ラッパに鼓膜を裂かれても
報われなかった者達の嘆きと
救われなかった者達の怒りと
見殺しにされた者達の憤りと
貶められた私が投げる石を
届けてやる この命にかえても