表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/129

3 くノ一求婚される!?2

最後ちょっとだけ付け足しました7/26

 どこからともなく届いたサミュ王子の義姉からの招待の手紙に一同が困惑しつつもその内容を確認すると、それは『一度会いたい』という文面だった。

 この時間の無い時にわざわざ出向いて数時間も割くのはどうかとか、リグレット派による何らかの罠じゃないかとか色々と検討した上で、次の日、指定された時間に赴くことになった。

 目的地はお城の奥にある離宮と呼ばれる場所だ。

 華やかな庭園や涼し気な水辺が途中に心を休ませてくれるけど、穿った見方をするといかにもお貴族様って感じの贅沢な造りだった。 

 


「余は部族連合にいたから結婚後のことは分からず、独身時代の彼女とはパーティー会場で挨拶を交わした程度なので記憶もおぼろげだが、確か聡明な人物であったと思う。このようなタイミングで手紙を送りつけてくるということは無視してはいけない気がするのだ。それにアーティー兄上が選んだ人物だ。リグレットに付いて不意打ちなど卑怯なことをする女ではないだろう」


 

 というサミュ王子の鶴の一声が結局は決まり手だった。

 ちなみに同行者として私とクレアさんの二名のみ。多すぎたり男性(アレン)がいると警戒していると取られてしまう恐れがあるというのと、他のメンバーは見た目が子供だというのが難点で厳選された。あくまでこれは歓談への誘いだからだ。

 身分の高い人からのお呼ばれだから豆太郎も最初から連れて行けない。本当は美歌ちゃんぐらいには来て欲しかったんだけどね。


 そして今は通された部屋でその元王妃様を待っている最中だ。

 きょろきょろと周りを見渡すと大体予想通りのブルジョワ家具や調度品だらけ。

 貴族の邸宅もそろそろ見慣れて来ちゃったわよもう。どこ行っても豪華なのは一緒。違うのは壁にはめ込まれた大きな姿見の鏡ぐらいか。びびる必要なし。

 ちなみにサミュ王子以外の私たちは護衛としているので、ソファに座ることもできずに後ろで待機している。なんという格差だ。


 しばし無駄な待ち時間を耐えるとようやくノックの音がして件の人物が入って来る。

 


「お待たせ致しましたわ。本日はご足労頂きましてありがとうございます。サミュ殿下。なにぶん、身重ですのでご寛恕を」



 その女性は煌びやかで胸元まで見えるドレスを身に纏う二十代半ばの女性。サミュ王子と似た金髪で髪には花柄の髪飾りをしている。

 少しおっとりそうに見えるが、少しだけお腹が膨らんでいて母になろうとしているからかどこか自信が沸き上がっているかのようだった。



「いや構わない。初めまして、ではないがほとんどそれに近いな。ご健勝で何よりだ『ミュリカ』殿。結婚式などに出られず申し訳ない」


「お気にされないで下さいまし。部族連合での重要なお仕事でしたのでしょう? 亡き……夫からお聞きしておりますわ」



 亡き、という部分で一度だけ目線を伏し目がちになったが自分のお腹を撫でて気を取り直したようで声音などには変化がない。

 すでに吹っ切れている……というよりかは赤ちゃんのために頑張ろうとしているような気丈さが伝わってくる。



「アーティー兄上は尊敬すべき人物であった。早逝されたのが悔やまれるばかりだ」


「そうおっしゃって頂けますか。アーティー様からご兄弟の中でもサミュ殿下だけは自分を慕ってくれていたと聞かされていたのでそれが本当だったとほっとしておりますわ」


「兄上がそのようなことを……。生きてご壮健でおられたらもっと教わりたいこともあった。あの方はとてもこの国のことを考えておられた。しかし今は盗人共が兄上の持っていたものを掠め取ろうとしている。誰かが兄上のその想いを継がねばならない事態にひっ迫しております」



 盗人というのはリグレット王子とあの大公たちのことで、誰かというのは自分のことだろう。

 あえて名前を出さないあたり貴族的会話というやつなのかな。この歳でよくそう気が回るわね。後ろで聞いているだけでも子供とはとても思えない。さすが王子様と言ったところか。



「……ところでこの紅茶のお味はいかがですか?」


「え、味? 美味であると思うが……月並みな感想で申し訳ないが」



 サミュ王子が上手く挨拶から国難へと話を転換させたところに不意打ちの紅茶の話題でズラされ言葉に詰まることとなった。

 変だね、ここでいきなり紅茶の話とか訳が分からない。

 横のクレアさんを見ても難しい表情をしている。



「そうですかそれは宜しぅございました。王国から取り寄せた物ですのよ。あちらは美味しい紅茶の名産地もあって種類も豊富ですの」


「そ、そうなのか。あまり茶葉のことに疎いのでそれは知らなかったな。ところで――」


「あら、そういえばそちらのお嬢さんが着ている服はどこで買われたのかしら? とても珍しい雰囲気と柄ですわね。もっと近くで見せて頂いて宜しいでしょうか?」



 ミュリカさんが私に向かっていきなり話を振ってきたもんだからちょっと焦る。

 どう反応していいのか分からないから来ないで欲しいんだけど!



「ミュリカ殿!」



 露骨に話を遮られたサミュ王子が大きな声を発した。

 一瞬、ミュリカさんは止まってから小さな笑みを一つ作り出す。



「サミュ殿下、このような席にそのような大きな声は無礼ですわよ?」


「それは申し訳ない。しかしここには時間を作ってやって来たのだ。あまり無駄な話をしている場合ではないのだ。分かって欲しい」


「無駄な話なんてありません。貴族たるもの会話の端々から情報を取らないといけませんわ。社交界にほとんど出た経験が薄いサミュ殿下には少々難しいかもしれませんけれど」


「……どういうことだろうか?」



 どちらかというとその言葉を馬鹿にされていると受け取ったらしいサミュ王子の眉間に皺が深く寄る。

 しかしそれは真実であるため一応ぐっと怒りは飲み込んだようだ。 



「例えば今私は王国の話をして、そしてそちらのお嬢さんに話題を振りましたわ」


「む、まぁそうだが」


「何の脈絡もなくそんなことするはずありませんわ。つまりそこには意図があったということ。何かお分かりになりますか?」



 突然のクイズが始まった。

 いやお勉強会か? 私は一体何を見せられているんだろう。


 少し熟考してからサミュ王子は顔を上げる。

 


「……この者はアオイというが、王国から護衛として余が連れて来た冒険者だ。つまり、王国の紅茶の話題からこの者へシフトしたというのは暗にそれを知っているぞ、とほのめかせたということだろうか?」


「素晴らしいですわ。このお歳で僅かなヒントだけでよくそこまでお分かりになられましたわね」


「あまりに唐突な話題変換だったからな。しかしなぜこんなことを?」


「さて、なぜでしょう?」



 また質問されて渋面を作るサミュ王子。

 この王妃様がクイズ好きでないのであれば、何かを彼に伝えようとしているんだろう。たぶん。

 じゃないとこんな訳の分からない会話にはならない。

 最初こそはおっとりした優しい感じの妊婦さんに見えたけど、だんだんと面倒くさいおばさんに見えてきたわ。いや二十代でおばさんは失礼か。



「……分からん」



 しかしサミュ王子はシンキングタイムを十秒ほどで首を横に振った。

 私たちと相談したりもっと考えれば思いつくのかもしれないけれど、対面している以上、そんなに時間は与えてもらえない。


 失望されるかと思いきや、むしろミュリカさんは少し嬉しそうだった。

 自分の出した問いに答えられなかったからではさすがにないだろう。

 


「良かったですわ。それでこそ売り込みがいがあるというもの」


「売り込み?」


「そうです。私はサミュ殿下に私という駒を売り込みます」



 どんどんと訳の分からない展開に顔に刻まれる皺が深くなり余計に難しい顔になっていくサミュ王子。

 まぁ私もこれ後ろで見ているから第三者視点なので冷静に考えやすいけれど、もし当事者としての立場にいたら混乱したかもしれない。


 彼女はそのまま言葉を続ける。



「そちらのメリットは三点あります。先ほど私はそちらのお嬢さんの情報を話すことによって独自のルートで得た情報網があることを開示しました。これを得て情報共有できることが一点。そういえばリグレット王子にすり寄ったグラミスやパラミアに疎まれ閑職に回されたり、あらぬ罪を着せられ投獄されている者たちがおります。そうした恨みを抱く勢力も僅かに残っていますがそれをご存じですか?」


「いや、さすがに昨日戻って来たばかりでそのようなことは知らない」


「ではさらに貴族などの情報をお持ちならず人気も知名度も高くない殿下に代わって私がそれらとのパイプ役となって交渉をお引き受けましょう。儀式には間に合いませんが殿下が王になられたあかつきにはグラミスなどを追い落とす良い働きをしてくれるでしょう。これが二点目」


「それは助かるが……」



 サミュ王子が言い淀む。

 何を言い掛けたのかはなんとなく分かる。そして彼が口からそれを出せない思いも察せられた。

 それを考えると一概にこれは良い話とは言えないだろう。


 けれどこっちの思惑とは関係なしにミュリカさんは爆弾をぶっ込んできた。



「そして三点目。最後に大公のお一人である『ヘクトール・チャード』様と顔繋ぎをさせて頂きます」


「なんと!」



 少年らしい喜色満面になったサミュ王子が一度こちらに振り返る。

 正確にはクレアさんを、だけれど。彼女も驚いていた。

 まぁアポが全く取れないって話だったのに急にここで繋がったからね。

 ただ――



「後ろから失礼致します。発言をさせて頂いても宜しいでしょうか?」



 クレアさんが声を上げた。 



「どうぞ。あなたはサミュ殿下の筆頭騎士だものね。意見の一つや二つぐらい構わないわ」


「ありがとうございます。今のお話は全て非常にこちらに有意義なものであると思いました」


「えぇそうよね。あなた方が喉から手が欲しいものばかりよ」


「では――()()()()()はなんでしょうか? 失礼ながらただの親切心などではありませんよね?」



 そう、それこそがここまでの話を大手を振って喜べない問題点だった。

 うまい話には裏がある。タダより怖いものはない。さっきサミュ王子が言い淀んだのもこれだ。助かれば助かるほどその代償は大きくなっていく。

 そして切羽詰まっている私たちはそれがどれほどのコストが掛かろうともきっと払ってしまうだろう。

 このミュリカさんはやはりただ綺麗なだけで王妃になったんじゃない。きっとこういう自分を売れる最大のチャンスを見極められる聡明なところもアーティー王子とやらに気に入られたんじゃないだろうか。

 

 クレアさんに胸の内を言い当てられたにも関わらず、ミュリカさんは笑顔を保ったまま答える。



「このお腹にいる()()()()()()()()()()()()()()()のですわ」


「そ、それは……」



 また爆弾だ。しかもさっきよりもとんでもなく大きい。

 さすがのクレアさんも言葉に詰まった。

 だって私たちはサミュ王子を王にさせるために今ここにいるのに、見返りにまだ生まれてもいない赤ん坊を王にさせろって無茶苦茶なんだもの。



「もちろん今すぐというわけではありません。サミュ殿下には後継人という形で代わりに十年ほど勤めて頂いて、その後はこの子に王位を託して退いて頂きたいのです」



 ミュリカさんはまだ笑顔を絶やさない。傍から見れとてもお上品で写真にでも撮りたいぐらいの微笑だ。

 でもそれが怖い。これは交渉どころか狂気じみた脅しだ。彼女の力を借りないと儀式に参加することもできず、もし承諾したとしてもこの無茶苦茶な要求を呑まないといけない。


 色々と問題もある。

 まだ生まれてもいない赤ちゃんを王様として認めろという無理難題。さらにここまで王様になろうと思って頑張ってきたのに後見人で収まれという酷薄な要求。

 もしその子がリグレット王子みたいに相応しくなさそうならどうするつもりだろうか。

 ミュリカさんを盗み見てもそんなことはまるで考えて無さそうな顔つきだった。


 これは究極の二択ってやつだ。

 ミュリカさんの力を借りればおそらくたいていの事は上手くいきスタート地点に立てる代わりにサミュ王子の願いは中途半端なものになってしまう。

 しかしここで断れば時間が無い私たちは窮地に立たされる。

 ハッキリ言ってどっちも選べないし選びたくない。どうすればいいんだろうか?

 どれだけ考えても良い答えは出ない。 


 そうして思索を巡らせている私をよそにサミュ王子は真直ぐにミュリカさんを見つめ問う。

 


「……ミュリカ殿の願いはそれだけか?」


「ええそうでございますわ」


「サミュ様!?」



 淡々としてサミュ王子の口からはなぜか感情が読み取れなかった。

 ひょっとして目的のために自分を押し殺しているのだろうか。とすればこの申し出を受ける気?

 クレアさんも承諾するのだと思って声を荒げた。


 確かにこの話を受けないと王様になる資格すら失う。でも駄目じゃん。あんた王様になって色々やりたいことがあるって言ってたじゃん。このままじゃそれは叶わないよ。

 手段と目的が巧妙に入れ替わっている。それを教えてあげないといけない。

 この場でただの護衛である私がそんなことをいきなり発言できる立場じゃないのは分かってる。でも言わないで後悔するよりは言って後悔を私は選ぶ。



「ち――」


「ならば断わる!」



 「ちょっと待った!」と言おうとした瞬間、サミュ王子の否定する言葉が重なった。

 あれぇ?



「な、なぜですか!? ここで敗退するよりはずっとマシなお話でしょう?」



 困るのはこっちなのにむしろ狼狽するのはミュリカさんの方だった。

 きっと自分の提案に必ず乗ってくると算段していたのだろう。

 しかしそれを盛大にサミュ王子は拒否した。

 いや断るのはいいんだけど、勢いで言ってんじゃないでしょうね?



「そうだな。きっと悪い話じゃないのだろう。余も特段、金とか地位とかに興味はない。自分がその器ではないことは知っているし、王など面倒なだけだ」


「ではっ!」


「しかしだ。しかしなのだよミュリカ殿。余はやりたいことが出来た。そして友人と約束したのだ。この国を変えると。一つ訊くがミュリカ殿は今の奴隷制度に疑問はお持ちか?」


「疑問? それは必要なものでしょう。この国の安定を下から支えるために不可欠なものですわ」



 その返答がある程度予想の付いたものだったのか、サミュ王子は僅かに目を細める。



「やはりか。ならば答えは変わらん! 余は行く行くはこの国から重犯罪者の刑罰として以外の奴隷制度を廃止する考えなのだ」


「それは……! 非常に難しいと言わざるを得ませんわ。今この国が潤っているのは鉱夫の存在があったればこそ。それを減少なさるのは国力の衰えを意味するものですわ」


「かもしれん。しかし余の祖父が農奴を解放した時もそのように反対が出たのではなかったのか? だがそれは成った。そしてそのおかげで農業改革が進み格段に良くなったではないか。今の奴隷たちもそうだ。一度は落ちてしまってもあのような地獄を体験すれば外の平穏な日常こそが価値があると感じ、きっと性根を入れ替えるだろう」



 その言葉で思い起こすのはあの私たちを襲ってきた川下りの村人たちのことだ。

 あの人たちも元は奴隷で村の仕事をするようになってとても居心地が良いと言っていた。

 確かに使い捨ての道具にするよりは更生して外でしっかり働いてもらった方がもっと豊かになるかもしれない。

 もちろんそれは単なる理想だ。全員があの村の人たちのように立ち直るはずもない。だからこれは法律を変えるだけじゃなく、色々と整備していかないといけない時間の掛かる問題だ。それは数年や十年程度で終わるものじゃない。だからこそ道半ばで誰かにそのかじ取りを譲れるものではないのだ。



「それはそうなのかもしれませんが……」



 もはや攻守は交代していた。

 さっきまで攻めていたはずのミュリカさんは突然の申し出に受け手に回るばかり。



「ミュリカ殿はお子を王にしたいと言う。ならばその子に何を成して欲しいのだ?」


「何を……と言われてましても、この国を豊かにして他国に負けないよう富国強兵を目指してもらいたいですわ」


「つまり具体的には何も無く、今までと変わらないということだろう?」


「そんな言い方はあんまりですわ! 私はただ、アーティー様が受け継いだ正当なものをこの子に返して欲しいだけ」


「だが事実だ。誰もかれもが王になりたいとその野心を伸ばすが本当に国を想い国民のために何をするべきかを考えている者はおらんのではないか。余の目にはあまりに空虚に映る。だから余はリグレットたちなどにはこの国を任せておけないのだ」



 サミュ王子の問答に結局、ミュリカさんは感情でしか返していない。

 つまりそれは指摘が当たっているということだ。



「……ではどうあっても譲って頂けないと?」


「くどいぞ」


「では致し方ありません……。来なさい!」



 空気が変わったミュリカさんのその言葉を皮切りに扉が開き、彼女の護衛の騎士たちが次々と雪崩込んでくる。走る緊張。

 五……十……十五……全部で十八か。思ったよりは多いな。それに動きに無駄がない。おそらく予めこうなることを想定して訓練していたんだろうね、あっという間に抜き身の剣を持つ騎士たちに囲まれた。



「どこが不意打ちはしないだろう、よ! でもそう来るんなら倍返ししちゃうし部屋は荒れるけど文句は言わないでね!」



 ただまぁ私のことを知っているくせにこんな数でどうにか出来ると思ってんなら笑っちゃうわ。

 闘志を滾らせ部屋中の騎士たちを圧倒するよう叫ぶ。



「待て。手を出すな、アオイ」



 が、体の前で拳を打つ振りをしたらサミュ王子に止められる。



「なんでよ? 向こうはやる気満々よ?」



 騎士たちの人数はざっと二十人弱程度。いくら広い部屋と言っても武器を振り回すのならそれが限界ってところだろう。

 全員が覚悟を決めた表情をしていて、つい十分前までは穏やかな雰囲気だったのに殺気の坩堝と化している。

 対して私たちは武器になりそうなものは玄関で預けており、クレアさんはこの人数差にやや押され気味の様子だ。でもサミュ王子だけは守るという意思は失われていない。

 私の場合はウィンドウからすぐに取り出せるし、徒手空拳でも負ける気がしない。

 ただ一斉に動かれると全員を無傷で守れるかどうかは自信がない。



「いいから! ミュリカ殿、これはどういうおつもりか?」


「あなたがこんなにも愚かだとは思いませんでしたサミュ殿下。そこまで権力が欲しいですか? 王という魅力に溺れましたか?」


「本来はそのようなものありがたくもなかったが、余がしたいことをするために必要なものだ。否定はせん」 


「あなたまでもが私からアーティー様のものを取り上げようとするのですか!?」



 会話が微妙に噛み合っていない気がした。

 さっき吹っ切れているかとも思ったけど違う。この人、たぶんまだ亡くなった旦那さんを忘れられないでいるんだ。

 愛情が妄執となって自身を縛っているに違いない。



「ならば問うが、ミュリカ殿の方こそアーティー兄上の遺志に反しているのではないか?」


「私がアーティー様の? あり得ませんわ!」


「そうだろうか? 兄上はこの国を良くするために父上のやったことをさらに改革しようとしていた。あの方なら自分の子供だからと言ってまだ何の評価も成果も出ていない者を次の王にするなんていう安直な考えの持ち主ではなかっただろう」



 私はそのアーティーさんというのを知らない。

 けれどサミュ王子にとっては本当に頼れるお兄さんだったんだというのは分かる。

 二人とも今はいがみ合っているけどその同じ人を慕っていたんだ。なんとも複雑で奇妙な話だよね。



「うるさいですわ!」


「聞け! 耳を塞ぐな! 兄上は国の、国民への貢献が最優先だった。おそらく奴隷制度の改革も余が気付く前にきっと兄上の口から出ていただろう。あの人はそういう人だ。なのに貴殿は優先するものをはき違え感情的になって、今何をやっている! これは兄上の意向ではなく単なる貴殿のエゴであろう!」


「聞きたくない。気に入らないですわ! それだけアーティー様のことを訳知り顔で語れるのならばなぜあの方を支えて下さらなかったのです! なぜあの方の窮地に傍にいてくれなかったのです!」



 サミュ王子の言葉に徐々に半狂乱になっていくミュリカさん。

 もはや母や元妃というよりは好きな人を失って悲嘆に暮れるどこにでもいる女性にしか見えなかった。



「それは……余の不徳の致すところだ。申し訳ない」


「謝罪なんて! もういいですわ! 騎士たち、容赦は要らないようですわ。この痴れ者共を……あっ! お、お腹が……!!」



 サミュ王子の説得が失敗しあわや乱闘の始まりが予感された直前、ミュリカさんが突然お腹を押さえて苦しみ始める。

 ちょっとどうなってんの!? まずくない!?



「ミ、ミュリカ様!?」



 周りの騎士たちも動揺し始め私たちに襲い掛かろうという雰囲気ではなくなってきた。

 こういう時、男はだらしないというが本当にオロオロしてる。

 


「そのような身重の身体でさぞ気を張ってお辛かっただろう。なれば余の方から提案する。ミュリカ殿、余に力を貸してくれぬか? おそらく余にはそなたが必要だ。それにこのようないがみ合いなど兄上は望んでおられないだろう」



 仕掛けるなら今なんだけどサミュ王子は気遣うような姿勢を見せた。

 ここは彼の顔を立ててまだ何もしないでもう少し様子を見守ろうか。



「ふ、ふざけたことをっ! 先ほど自分の方から断ったばかりではないか!」



 俯いて苦痛で返事ができないミュリカさんに代わって騎士たちが吐き捨てる。

 しかしサミュ王子は武器を持っている大人に囲まれても引き下がろうとはしない。



「ふざけてなどいない。余にはミュリカ殿が必要だし、ヘクトール・チャードと話す機会も要る。事実をありのままに言っただけだ。余に足りないものをきっとミュリカ殿が埋めてくれる」


「それで……そのくせ王位は譲らないと申されるのでしょう?」



 やや落ち着いたのかミュリカさんが少しだけ目線を上げる。

 それでもまだ辛そうだ。ぱっと見て安定期に入っているとは思うんだけど、赤ちゃんにはそういうの関係ないからね。

  


「そうだ」


「そんな虫の良い話が通るとお思いで?」


「代わりにそなたはいつでも傍にいて余を誅することができる」


「なっ!? サミュ様!?」



 みんな驚いていたが、この部屋の中で最も声を上げたのはクレアさんだった。

 それも当然。自分の守るべき人が殺されてもいいというような発言をしたのだ。気が気じゃないだろう。

 サミュ王子は周りの仰天などお構いなしに続ける。



「ミュリカ殿、力を貸して頂けるのなら貴殿は余の近くにいてもし余がアーティー兄上が失望するような真似をすればいつでもここにいる騎士に命令しその剣で刺せばいい。それでは不満か?」


「……」



 ミュリカさんもさすがに目が泳いでいた。というよりサミュ王子の真意が読めずに困惑しているという感じか。

 そりゃ年端も行かない子供に生殺与奪権を与えると言われているようなものなんだもの。そんなの答えようがないし、本気で言っているのかと混乱するのも無理はない。 



「不満? それは不満ですわ。だって仮にそんなことをしてこの子が王になれたとしても誰にも受け入れられない。いくら素晴らしい治世をしたところで不義の王として歴史に汚名を残すことになるでしょう」


「それは困った……。余には足りないものだらけなのだ。頼りになる仲間が今は一人でも多く欲しい。同じアーティー兄上を慕っていた仲でどうにか首を縦に振ってくれないか?」



 刃物を抜く大人たちに囲まれ、なおもあっけらかんとするサミュ王子。

 そんな彼を前にしてなぜかミュリカさんの目が丸くなり、ついに変化が現れる。 



「……ふふっ……ふふふふっ」


「ミュリカ殿?」


「……こうして口説かれるのはアーティー様以来ですわ」



 訝しむサミュ王子とは正反対に彼女は薄く笑った。

 反対に今まで平静だったくせに狼狽えるのはサミュ王子の方だ。

 手を振り上げ拒否のポーズを取る。



「いあっ! そ、そういうつもりではない!」


「分かっていますわ。でも、ほんの少し……そう、ほんの少しだけサミュ殿下にもアーティー様の面影があるのですわね。あの人のプロポーズの言葉をご存じかしら?」


「? さすがに知らないが」


「『僕には足りないものだらけなんだ。これからしようとしていることには見た目が綺麗だとか華やかだとかそんなお飾りの女性なんて重荷になるだけ。君のような一緒に横に立って頼りになる女性が欲しい。どうか首を縦に振ってくれないか?』。自分勝手で全くロマンチックさも女心も何一つ理解していない言葉でしょう? でもどうしてかしら、私はそれに惹かれたの。女としてではなく、パートナーとして、一緒に国を支える者として選ばれたという実感が私を駆り立てあの人に全てを捧げる気になったのですわ」



 血は確かに繋がっているし、サミュ王子はアーティーさんを慕っていた。ならサミュ王子にもそのアーティーさんという人と見た目だけでなく話し方や考え方など似ている部分はあるのだろう。

 ミュリカさんはサミュ王子を通してもういない想い人を思い返しているようだった。


 やがて、



「――負けですわ。私の負け。殿下には交渉も通じない、暴力による脅しも効果が無い。私にはどうやってもこの子を次の王にさせるやり方が思いつきませんわ」



 サミュ王子の覚悟が伝わったらしい。ようやくミュリカさんが矛を収める発言をした。

 確かにこうして取り囲まれてもビビらないのだからどうしようもないのだろう。

 そもそも、ミュリカさんの目的は()()()()()()()()()()()()()()()。自分の子供の将来を作ることだ。だからここで争ってリグレット王子が勝手に王様になればその可能性はさらに潰れて彼女には何の得にもなりやしない。

 よくよく考えれば進退窮まっていたのは彼女も同じことだったんだ。そこまでは頭が回らなかったな。 



「負けなどと。余は別に勝ち負けの勝負をしているつもりはないぞ?」


「いえ、私が負けたと言ったのは殿下にではありませんよ」


「ん? どういうことだ?」



 サミュ王子が眉毛を歪ませるが私も同様にその意味が分からない。

 話の流れ的には彼の意地に負けたってことじゃないの?



「そろそろ出て来て下さいな。もういいでしょう。『ヘクトール・チャード』様?」


「なにっ!?」



 ミュリカさんは大きな姿見の鏡がある方向を向くと、その横の壁が回転し中から老人が出て来た。

 口髭を生やして相当に高級そうな服を着ていてその眼光は鋭い。


 たぶんその鏡がマジックミラーのようになっていて、おそらく部屋の中の様子や声が聞こえるようになっていたのだろう。

 ずっと見られていたわけだ。趣味が悪いったらありゃしない。



「勝負はこちらの勝ちで良いな?」


「構いませんわ。実はさっき、この子に叱られたような気分になりましたの。こういう感覚は殿方にはお分かりにはならないかもしれませんけど」


 

 出て来た老人の言葉に対してミュリカさんはお腹を擦って答える。

 なんだろう……確かにあのお腹の膨らみ具合で陣痛が起こるのは早過ぎる気もするしタイミングがどんぴしゃでもあった。亡くなったアーティーさんが二人をいがみ合わせたくなくて赤ちゃんを通して何かしたって考えるのは乙女チック過ぎるだろうか。


 それはともかくサミュ王子の顔を盗み見ると大きく口を開いて固まっていた。

 ということはやはりこの人が――



「久しいじゃぇねぇか、サミュ殿下。前に会った時にしこたま叩いてやった尻はもう治ったか?」


「お、おお、ヘクトール。あ、あんなもの瞬きしている間に治ったぞ……」



 サミュ王子は汗が浮き出ていて明らかに落ち着きを失っていた。

 対してこのヘクトールというお爺さんは服装さえ違えば下町にいてもおかしくないぐらい口調が砕けていてとても貴族とは思えない。

 ただ威厳というかオーラみたいなものは感じられた。

 


「そりゃ結構。どうやら逃げずに目を合わせてしゃべる程度には成長したようだな」


「お、お前なんか怖くないんだからな!」



 どこのイジメられっ子の台詞よそれ。

 ちょっと前まで格好良かったのに、株価の乱高下が激しいなこの子。本当にこのお爺さんが苦手らしい。

 まぁこういう年相応なところが見れて少し安心するところもあるか。


 頼りにならないサミュ王子の代わりにクレアさんが行動を起こす。



「口を挟んで申し訳ありません。ミュリカ様、その先ほどおっしゃられた勝負というのは?」


「実はこのヘクトール卿と賭けをしていたのですわ。もしサミュ殿下が私の誘いに乗って王ではなく、後見人の座に収まることを了承すればヘクトール卿がこのお腹の子の後ろ盾となることを密約して頂いていたの」


「なっ!? それはまさか?」


「えぇ、サミュ王子の代わりにこの子を王候補として私共々玉奪の儀に参加する予定でしたわ」


「そんな無茶な!」



 クレアさんが驚くのも無理はないと思う。

 まず生まれてもいない赤ちゃんに継承権を与えるのを認めさせ、その上でこの妊婦の体で玉奪の儀という争いの場に出るつもりだったということだ。

 無理やりというか超パワープレイだよそれ。てっきり私はサミュ王子に儀式に出てもらうんだとばかり思っていた。



「少々強引ですが、この方にはそれを押し通す力がある。そうですわよね、ヘクトール卿?」


「約束は守る。が、そこの殿下は断り賭けは俺の勝ちだ。勝ったからには約束のものをもらい受けるぞ?」


「残念ですわ」



 ヘクトールさんの返答に肩を竦めるミュリカさん。 

 母の愛はすごいとは言うが、恐れ入るよそれは。

 


「約束のもの?」


「えぇ、代々王家に伝わる『鍵』のこと。これですわ」



 言ってミュリカさんが自分の首に提げて服の中に入れていたネックレスを外して見せて来る。

 チェーンの部分はなんの変哲もない金色。ただしその先に付いているのはまさしく人差し指ほどの大きさの鍵だった。

 


「王家に伝わる鍵だと? 余はそんなもの知らんぞ?」


「それはそうですわ。基本的には王から次代の王へと直接伝えられるものですから。アーティー様も予め先代の王からお教え頂いていたようですわ」


「……そうか」


 

 それを聞いて僅かにサミュ王子は寂しそうな表情をする。

 


「問題は一体どこの鍵かってことよね」


「いいところを突きますわね、そこの護衛。そう、これは王になった折に、儀礼式典として霊廟へと持って行くものらしいですわ。ですからおそらくは今回の玉奪の儀にもきっと関係あるんじゃないかしら。もしかしたらこれが無いと()()()()()()()()()()()ほどのものかもしれませんわ」


「マジ!?」


「さぁ? でもそう考えるのが妥当でしょう? そしておそらくリグレット殿下や大公であるパラミアとグラミスたちもそれを知らない」



 それってとんでもなくアドバンテージなアイテムじゃないの!? こんなところですごい切り札みたいなのが出てきちゃった。

 あれ? でもそれがこのお爺さんの手に渡るの?


 私たちの目の前でその鍵はミュリカさんからヘクトールさんの手の中に収まった。



「さてサミュ殿下、この鍵と俺の後ろ盾が欲しくないか?」


「ほ、欲しいに決まっている!」


「だよなぁ。だったら殿下は俺に何を用意してくれる?」


「ぐっ……」



 さっきのミュリカさんとの交渉の焼き回しだ。

 儀式に出れる参加権と鍵をやる代わりに何を見返りにくれるのだ? とヘクトールさんは言っている。

 たぶんミュリカさんと賭けをして鍵を得たのも自分の価値を高めるためだ。勝負師というか豪胆なお爺さんだわ。


 サミュ王子はえらく悩んでいた。

 簡単には答えが出ないらしい。まぁそれに釣り合うほどのもので、しかも大公の一人が満足するものってそうそう浮かばないわよね。



「悔しいが分からん。地位や金などは必要としていないだろうし、今更、大臣などの椅子が欲しい訳ではないだろう? 皆目見当が付かん。余に出来ることと言えば言い値で買うぐらいだ」


「言ったな?」


「い、いいからさっさと言え!」



 ジロっと睨まれどうしても押されるのはサミュ王子の方だ。

 まぁ苦手意識が刷り込まれてるっぽいからこれはもうどうしようもないね。



「だったら言うが、実は俺にはまだ結婚していない不肖の娘がいてな。少々、とうが立つがそいつを娶ってもらいたい」



 娶ってって、え? 結婚話? あ、でもこれは貴族同士のだからいわゆる、政略結婚ってやつか。王様と親戚筋になれるのならそれなりにこのお爺さんにもメリットのある話になるね。

 でもそれだけで済むなら安いもの? もしかしてすっごい行き遅れのおばさんとか紹介されたりして?



「なにを馬鹿なことを! サミュ様にはもう心に決めた人がもういるのだ!」


「ただの護衛騎士程度が口を出すな! 俺は殿下とサシで話してんだよ!」


「ぬぐっ……」



 反発するクレアさんはぴしゃりとヘクトールさんに一喝され返す言葉もなくなる。

 あぁでも確かに美歌ちゃんの件があったか。それを考えるとちょっと複雑だねぇ。片想いの子がいるのに他の女性と結婚するなんて。

 


「ふぅん。好きな女がいるのか。だが貴族に生まれた以上、自由恋愛なぞ叶う立場じゃないことぐらい理解しているだろ?」


「(あなたがそれを言いますか)」



 ボソボソっとしたミュリカさんの呟きを耳が拾う。



「……ミカのことはあるが、確かにヘクトール卿の言う通りだ。そんなことで道が拓けるのであれば安いもの。良かろう。その条件、引き受けた」


「よしなら決まりだ! この鍵は殿下に進呈しよう。二日後の儀式の開始にも殿下を推薦することを約束しようじゃないか。いやもう義息子殿か? くっくっく」


「やめてくれ、気持ちが悪い!」

 

 

 とてつもなく嫌そうな顔をしながらサミュ王子は鍵を受け取った。

 よし、これでやることをやったね。あとは儀式通りやって霊廟とやらを目指すだけだ。



「話はまとまったようですわね。なら私も当然、サミュ殿下に付かせて頂きますわ」


「ミュリカ殿? いいのか?」


「もちろんですわ。本気ではなかったとは言え失礼致しました。騎士たちもはけさせましょう。そしてこれからはお力添えさせて頂きますわ」


「そうか、それは心強い。これから宜しく頼む」



 ミュリカさんの指示で騎士たちは部屋から消えて行く。

 本気じゃなかったねぇ? ちょっとうさんくさいものはあるけどまぁいいか。



「ところでそこの護衛……」


「ん? アオイというがそれが何か?」



 ヘクトールさんは私をジロジロと眺めてくる。

 ちょっとフランクに話過ぎたかな? 怒らせちゃったらせっかく話がまとまったのに困るわ。 



「珍しい黒髪に珍しい服装。それに壁から見ていたがこれだけの人数に囲まれても物怖じ一つしない胆力。気に入った! どうだ、俺の嫁にならないか?」


「へっ!?」


「なぁに、不自由な生活はさせねぇ。歳の差を気にしているならそんなもん関係ない。どうだ?」



 やっば! まさか人生初の求婚されちゃった!

 サミュ王子の時みたいに美歌ちゃんはいないし、これ私に言ってんのよね?

 いやでもさすがに年齢もそうだし好みじゃないしノーセンキューだよ。まぁ気持ちは嬉しいからもらっとくけどさ。

 これで美歌ちゃんのモテモテ度に対抗できるかしら?



「いやぁー困るわー。そんなことこんなところで言われてもー、ねぇ?」



 皺があるけど、顔は若い時はきっとイケメンだったっぽいから惜しいのよね。

 四十年、生まれるのが早かったのよ。あぁなんて運命の悪戯かしら!



「そんなこと言わずによぉー。こんな可愛い女そうそういねぇ。人に取られるのが我慢ならねぇんだよ!」



 ヘクトールさんは無遠慮に近付いてきて肩に手を置いて触ってくる。

 これだけ熱く求められると悪い気がしないのはどうしてだろうか。


 そこにミュリカさんも静かに傍にきて私の耳元で囁く。



「(この御仁、無類の女好きで有名ですわ。泣かされた女がどれだけいるのか。さっき不肖の娘って言ってましたけど、一体何人いるのか分かったものじゃありませんわよ)」


「ん? どうした? 女同士の相談か?」



 ミュリカさんの言葉は聞こえていなかったらしく、目をぱちくりとさせるヘクトール。

 しかもさらに密着するほどにまで近寄ってきて馴れ馴れしく左手を私の肩へ置いた。

 と同時に下半身にザワザワっとした感触!

 なんと空いた右手は私のお尻へと伸びていた!


 無意識的に拳を振りかぶって――



「ぎゃあぁぁぁぁ!! 気持ち悪いぃぃ!! 触んな、あっち行け! 女の敵ーーー!!!」



 右からの強烈なフックをがら空きの頬に思いっきりお見舞いしてやった。

 反省はしていない!! 




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ