初の仲間
クエストを受けるため冒険者ギルドにやって来た。
「んー、今日はアカの実にしようかな?」
昨日の回薬草でもいいけど束にするのがちょっとめんどくさくて手抜きをしたいと思います。
これは悪いことではない。
効率を考えてのことだからこれはポジティブシンキング!
「リーサさん、今日はアカの実を集めようと思います。」
「あら、回薬草は束にするのが面倒臭いからやめちゃう感じかな〜?」
ニヤニヤと俺のことを見つめるリーサさん。
一瞬にして俺の意図を見抜いてきた...
超能力でも持ってるのかこの人?
「い、いやー、そんなわけないじゃないですか〜あはは」
多分目が泳いでたりで全然誤魔化せてないと思うけど一応言い訳を言っておく。
「まあ、そういうことにしておいてあげますね。本日はアカの実の採取ですね。頑張ってください!」
「はい、行ってきます!」
クエストに行くため扉を開けようとしたら勝手に扉が開いた。
「おぉ、ケンじゃねぇか!」
「ゴッサさんじゃないですか!」
「立派に冒険者やってるじゃねえか!その調子でランク上げていきな!」
「はい!頑張ります!」
軽く言葉を交わしゴッサさんと別れジャバの森へと向かった。
〜ジャバの森〜
「んー!やっぱり自然はいいな!空気が美味しい!」
周り一面緑に囲まれる時に言ってみたい言葉1位を言えました。嬉しいですね。ふぅー︎ ⤴︎
よくわからないテンションの中食べ慣れたアカの実を探していく...
「お!ここは沢山実ってあるな。」
周りより少し大きいアカの実の木。
ここで10個はすぐに達成できるだろう、んー、こうも簡単に終わるとは思っていなかった。
何をして時間を潰そう...
「あ、素振りでもするか...」
そのアカの実の木の下で青銅の剣を構える。
もちろん師匠も誰もいないから独学ですよ?こんなので強くなれるのかって?なれなかったら諦めるしかないだろうが。
俺は諦めることができる子だからさ、無理して体をボロボロにしたら元も子もないでしょう?
そんなこんなで素振り開始。
「1!2!3!.......」
10分後...
「98...9...9!100ーーー!」
バタッ
疲れの限界を超えて仰向けに倒れてしまった。
いや、なにこれ、マジで疲れるんだけど20回らへんから腕が少し悲鳴あげてたよ。
100回やろうって決めた時の自分をぶん殴りたいわ!
そんな元気今ないけどさ?
「はぁはぁ...」
少し木に横たわり休憩をとりギルドへ戻ることにした。
ガサガサッ!!
「え?」
物音が茂みから聞こえてきて素人っぽさを感じさせる構えをとる。
ポヨンッ
「え?」
出てきたのは半透明なプルプルでした。
なにこれ?まさか、RPG界のスタースライムパイセン?
まじ?この森におられたんですか!
あぁ!鑑定だ!鑑定しなきゃ!
ウォータースライム:プルプルで水魔法を使用する
こんな出会い方をするとは思わなかった。
パッと見で見るとただの水色のプルプルだけどなんかずっと見てると愛嬌あるな...
ちょっと戦ってみようかな。
剣を構えて思いっきり振りかぶる。
「おら!」
抵抗がほぼない感じでスライムに当たる。
プルプルッ
あ、ダメだこれ全然効いてない、これ何回攻撃してもダメージ与えれないやつだな多分。
んー、打撃ならいけるかな...でも、怖いなパンチとかだと反撃とかきそうだよなー。
迷ったらやってみるか!
剣を鞘に戻し思いっきり殴る!
パチュン!
スライムの液体状の体液?が草木に飛び散る。
本体っぽいのを見てみると少し小さくなりプルプルと震えている。
やっぱり可愛いなこいつずっと見ていたいや、観賞用で飼えないかしら。
まぁ、倒せるまで打つべしだな。
5分後...
「はぁはぁはぁはぁ...」
な、なんでこいつこんなしぶといの?めちゃくちゃ小さくなってあとすこしと思ったら飛び散った破片が戻ってくるし意味わかんねーんだけど!
再生とかスキルあんのかなこいつ。
こんな時間かかるとは思わなかったわ。
諦めよう、てか反撃全然してこねーしこいつ。
もういいよ!諦めます!参りましたよ!スライムかよとか思ってすみませんでした!
「はぁ、俺弱いな...」
自分の弱さを再確認できましたよ、これも成長ってやつですよね...
後ろを振り返り村の方へ歩こうとする。
バシャン!
「痛った!」
背中に硬いものが当たった感触があり振り向く、そこにいるのはスライム君。
「こいつがやったのか...?」
でも、さっきの場所から動いてないしどうやって攻撃したんだ?
あ!魔法か!さっき鑑定で使えるって書いてたような!くっそー!俺にできないことを平然とやってのける!そこに痺れる憧れる!
このプルプルしてるだけだと思ったやつに一泡吹かされたわ、こうなったらこっちもやるしかないよなぁ!?
再度やる気を出し俺はスライムに立ち向かっていく...
30分後...
「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ...」
い、息ができない...
むり、こいつ倒すなんて俺が浅はかだったわマジで倒せる気しないわ、最弱モンスターとか言ったやつ誰だよ、めちゃくちゃつえーじゃん!
え?俺が弱いだけ?知らねーよ!レベル3なら倒せるかもって思うじゃん!
「はぁ、参りました...」
スライムに頭を下げて様子を見る。
プルプルッ
少し震えるとスライムが草むらの方に帰っていく。
「何だったんだあれは...」
あんなに意思疎通ができるなんて思わなかったよ、何となくだけどここにまた来れば会える気がするな...
この世界での新たな出会いを満喫し村へと戻った。
〜冒険者ギルド〜
「そんなことがあったんですか!?」
リーサさんにジャバの森での出来事を話したらそんなリアクションを頂いた。
やはり意思疎通できる魔物は少ないらしくそこまで行くと魔族とかめちゃんこ強い存在になるらしい。
でも、今回俺が出会ったのはただのスライム。いや、まぁちゃんとした名前で言うならウォータースライムなんだけどね。
どっちみちスライム系統でそんなに頭が良いのはすごく珍しいらしい
「なかなか珍しい魔物に会いましたねケン君は。」
「そう見たいですね...」
んー、明日もとりあえずあそこに行ってみよう、そしたら確認やら特訓やら出来るだろう!
「あ!宿屋の手続き忘れてた!」
大事なことを忘れていて猛ダッシュで宿屋へと向かった。
ちなみにしっかり報酬は受け取って所持金は2000ゼニー。
〜宿屋〜
「あの!ミールさん!あと2日ほど泊まりたいです!!!」
勢いよく扉を開けてそう叫ぶと。
「はいはい、そんなに焦らなくても部屋は逃げないよ。」
と、優しい言葉が帰ってきた。
今日の稼ぎの1000ゼニーを渡し息を整えながら部屋へと向かった。
ベットに腰掛けて少し考え事をする。
「んー、レベルは敵とか倒さないとやっぱダメなのかなー?」
自分のレベルが一向に上がらないから少し不安になってくる。
まぁ、敵を倒すも何もスライムですらあの状況だからなんとも言えないけどね?
まぁ、明日考えればいいか、なるようになれって感じだよね。
その後は夜ご飯を食べて程よい体の疲れで熟睡した。
翌日
ミールさんに挨拶をし軽く朝食を食べて
「よし!今日も一日がんばるぞい!」
ポーズを取り気合を入れてギルドへ向かった。
〜冒険者ギルド〜
「あら、今日もアカの実の採取にするのね?」
「はい、良い穴場を見つけたのでそこで取ってこようと思います。」
「そうなの、やっぱりケン君は運が良いわね〜。」
この間のゴッサさんの件から運が良いと言われ続けている。
俺としてはラッキーだね!
「それじゃあ、いってきます。」
「はい、気をつけて〜」
のんびりとした平和な会話を終え森へ向かった。
〜ジャバの森〜
よし、またあの木の下で特訓だな。
どうせアカの実はあそこにあるし一石二鳥だな!
だが木の下まで行くと何もおらず
「やっぱ、昨日が特殊だっただけなのかな?」
そう呟いていると
ガサガサッ
お!きたきた!
ポヨンッ
「おー、やっぱなんか可愛いな〜」
魔物に出会って冒険者が言わなそうランキング上位に入りそうな言葉を言ってしまった。
プルプルッ
今日もプルプルしてるだけでじっとこちらの様子を伺っているようだ、こんな何もされないと攻撃しずらいけど俺はやるぜ!
30分後...
や、やべーよ!やっぱりだめだわ、体ちょっと削るくらいで全然倒せる気しねー!
プルプルプルプルッ
1人で絶望していたらスライムがいつも以上に震え始める。
「な、なんだ?」
するとスライムの上に水がソフトボールくらいの大きさで浮かんでいる。
「あれ?これってまさか...」
そのまさかでしたわ。
次の瞬間には俺の顔面にぶち当たって、その反動で倒れ込み顔を抑える。
「痛ってー!こんなに痛いとかアホじゃね!?」
痛みで暴言がついポロッと出てしまった。
俺ちゃん別に暴言厨って訳じゃないからそこのところよろしく。
寝そべりながら顔を抑えていると不思議な触り心地が足から腰へと広がっていく。
「え?何?」
プルプルッ
目の前、本当に目の前にスライムがいて人間でいう馬乗りみたいになっており
あれ?なにこれ俺まさか魔物にヤラれちゃう!?
とくだらないことを考えていると。
ゆっくりスライムが俺の顔へと移動してきた。
まぁ、察しの良い人はどうなるか分かるよね?
相手は液状だから溺れるよねそりゃ、まぁ苦しいのなんのって声にもならないこの感じ二度と味わいたくないね。
死ぬ...マジで許さんこいつ...
スライムへの怒りを最後に意識を手放した...
《レベルが上がります》
《水中呼吸Lv1が追加されました》
《再生Lv1が追加されました》
《スライム言語解読が追加されました》
人生で3回目のその声で目覚めた。
「ぷはぁー!空気うめー!」
スライムから解放された俺は息を十分に吸っていく。
そのスライムはまだ目の前でプルプルしてるんだけどね?言うてレベル上がったし怒りはどっかに消え去りました!
早速ステータスを確認してみる。
ステータス
名前:平友 健 Lv5
年齢:17
種族:人族
称号:ぼっち
スキル:鑑定Lv2
水中呼吸Lv1
再生Lv1
ユニークスキル:死強LvMAX
耐性:アカの実
物理耐性Lv1
こんな感じになっておりレベルは2レベ上がっててスキルも3つ増えていた。
てか、スライムって話せんの?
「まじか、こんなに一気に強くなるのか...」
死ぬのも悪くないな...とは思わない!死にたくないけど死んでしまう、それが今の俺だ...
このスキル便利なんだけど勘弁して欲しいよなぁ〜。
早く魔物を倒して強くならないとなぁー。
『ご主人ー、頼むから構ってよー』
と、いきなり声が聞こえて振り返る何か言ってらっしゃるのかこのスライムくん?ちゃん?可愛いなやっぱー...
ではないよな、さっきのスキルで言葉わかるようなったのはいいけどご主人ってなんだ?ご主人殺すなよこいつ。
「えーとお前は俺のなんなんだ?」
『えー?ご主人だよー、昨日たくさん遊んでくれたの嬉しかったー。』
おお、こいつ俺のマジ殴りを遊びと言うのか。
はっはっは、なかなか愛いヤツじゃあないか!
よし!ペット欲しかったし丁度良い!
「俺についてくるか?」
『いいのー?行きたいー!』
スライムが仲間になった!
嬉しみが深い。なぜなら横に話し相手がいるからである。
喋れるペットなんてこっち特有だし、意思疎通出来るのはでかいねやっぱ。
これからのぼうけんがたのしみだぁー!!!!
そう心で叫びながらギルドへと戻った。




