C6.10 足場固め ― 10 ― 召喚陣の検証
「こんなものか。」
「そうですね、前回はこんな感じでしたな。」
星3の魔導師がやって来るのを待っている間に、前回の陣を完成させておく。
途中、奴の感情が洪水のように流れ込んできて驚いたりしたが。
調整・・・できるのかな。
「主、大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ。
あれが何かしらを発見したらしくてな。
興奮が怒涛のように押し寄せてきた。
あとで調整できるか調べてみる。」
「そうですね、重要な時にそのような事態に陥るのは危険極まりないですから。」
・・・
・・
・
「ぜぇ、はぁ・・・。
お、お待たせ、致し、はぁ、ました。」
「大丈夫~ですかぁ?」
牛獣人のメイドに支えられるようにして、地下の実験場に連れられてきた星3の魔導師。
息も絶え絶えなのは、興奮しすぎたからか移動で疲れたからか・・・。
ただ今は一刻も早く私の不安定な召喚魔導のまずい所を見てもらいたい。
あの興奮の原因となった発見とやらはまた今度聞くとしよう。
「大丈夫ならこの陣を見て欲しい。
前回そのデーモンを召喚した時と全く同じ陣を用意した。」
「はぁ、はぁ、はぁ~~~~ぁ。
ふう・・・どれどれ・・・。
ふむ、ふむふむ、これがここを、ああ、こう補助して、それだとここが脆弱に・・・。
おお、ここで支えて・・・いやでもしかし・・・。」
星3の魔導師は息を整えると、かなりの勢いで熱心に解読し始めた。
・・・すぐにも解読が終わりそうだな。
「・・・・・・・・・ふう。
これはお二人の合作ですね?」
「なんと!そんなことまで分かるのですか?」
「ええ、どう説明したらいいでしょうか。
まず最初に、とても基本に忠実な魔法陣があって、それにアレンジがなされています。
この状態だと、本来呼び出したかったと思われる高次元のデーモンの世界とは接続されず、此方と彼方の狭間の世界の門が開きます。
そこは不定形の生物と無生物の間の様な存在が多く棲んでいる世界です。」
・・・それでドッペルゲンガーか。
「次に補強がなされていますが、これはある意味力任せなものでした。
そこを壊れないように補強が入っているのですが、この考え方がネクロマンシーのものです。」
驚いた。
「驚きですね・・・。」
星3の魔導師は恭しくお辞儀をすると講釈を続ける。
「ですがこれで色々無理が出て、かなり試行錯誤がなされた跡が見えます。
確かにこれでデーモンの世界への門を開くことは出来るでしょうが、とても低い確率です。」
「で?結論は?」
「よほどの幸運があった、と言うのは正直考え難いです。
恐らくはデーモンの世界からはぐれて、狭間に落ちていたこの子が自ら門に飛び込んだのでしょう。
そのまま狭間の世界に居たら、最悪食べられてしまいますからね。」
図らずとも救った、と言うことか。
「なら、この子は元の世界に戻すべきか?」
「そうでしょうね。
まずはあちらへの門を開き、そこに住まうものに引き取ってもらうのが一番かと。」
ふむ・・・どの道デーモンは召喚してみたかった。
御しきれる程度の者であれば良いのだが・・・。




