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C6.appx6 星3の魔導師という人物 その3

― 星3の魔導師視点 ― 回想


それからどう魔法学院に戻ったのか、まるで覚えていない。

ありとあらゆる負の感情が洪水のように押し寄せ、心の形が変わっていく様だ。

私は今、どんな顔をしている・・・?


・・・

・・


三月程自室に引き籠った私はその間、何度も手紙を読み返した。

初めて読んだ時には気付かなかった日付は、私の帰る4年も前だった。

最初、こんな手紙だけを残した父は、本当は復讐を望んでいるのだと思った。

しかし真実を隠した場合、事実を人づてで知ったならば、私は間違いなく復讐しただろう。

間違いなく身の破滅を呼ぶ、何も成し得ない復讐を。

だから包み隠さず、それでいて復讐するな、と。


・・・

・・


更に三月過ぎ、ようやく私は心の整理を終えて教職に戻った。

私はそれなりに受けの良い講師だったらしく、半年もの間職務放棄していたのにも関わらず、何のお咎めも無かった。


仕事に戻ってみると幾人かの新顔が居て、そのうち一人とはとても気が合った。

口は乱暴だったが心優しい男で、まるで小姉の婿殿の様だった。


お互い専門は違ったが研究への熱意は本物で、酒を交わしながら良く論議したものだ。

親交をどんどん深めて3年もの付き合いとなっていた。


・・・

・・


「父は武力一辺倒な武人でね、俺の様な軟弱者は要らん!とさ。

 そのくせ度々帰省させるもんだから、学長の視線が痛い。」


「大変だね。」


「ああ、大変さ!

 兄も父に似ててね、俺は二人が大嫌いなのさ。」


「私は兄弟がいないから分からない悩みだね。」


「その方が良いさ!

 それにやつら女癖が悪くて反吐が出る。」


「はは・・・それは・・・確かに。」


嫌な思い出が蘇るのを必死に堪える。


「何が猛熊伯だ!ただの色ボケ爺さ!」


 ドクンッ


「・・・え?父上は・・・猛熊伯なの・・・か?」


「ああそうさ!

 最近のお気に入りは、兄がどこからか攫ってきて妾にした女でね。

 兄から無理やり奪って自分の女にしたんだ。」


 ドクンッ ドクンッ


「・・・・・・」


「屑の兄貴は・・・」


・・・

・・


その先の彼の話はよく覚えていない。

姪が受けているらしい屈辱を赤裸々に話していたように思う。

この日を境に、私は、また、自室に引き籠った。


・・・

・・


半年程過ぎた頃、部屋に手紙が差し込まれていたことに気付いた。

半ば無意識に手紙を開き、その内容に目を通す。




―友の手紙


やあ元気か?って、それはどうでも良いか。

何故って?お前は俺の事を友か何かだと思っていたんだろう?

残念、俺はお前を利用するつもりで近付いたのさ!


お前があの女の叔父である事は調べがついていた。

そこでお前と仲良くなるふりをして、お前が激情に駆られる言葉を選んでやったのに。

結果はこれだ・・・この腑抜けめ。


俺はお前をクーデターの手駒に加えるつもりだったが、その体たらくじゃ無理だな。


俺は親父と兄貴を殺す。

そして伯爵位を我が物とする。


                             落胆させられた者より




・・・

・・


この先もよく覚えていない。

学院長に辞意を述べて飛び出し、人目につかない山奥に居を構えたことだけは覚えている。


そして命を削るような禁呪・外法お構いなしに使って、召喚魔導の研究に没頭した。


・・・いや・・・逃げたんだ。


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