C6.appx4 星3の魔導師という人物 その1
― 星3の魔導師視点 ― クーシーに運ばれて
私の大願が成就される!
こんなに嬉しいことは無い!
しかも中々に面白い人物のようだ!
私のくそったれな人生の中でこれ程高揚したことはあったろうか!?
無かった、そう、無かったんだ。
全てのいい思い出にはくそったれな現実が付きまとっていたのだから・・・。
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私は貧乏貴族の次男坊として生を受けた。
貴族とは名ばかりで、貴族とも言えず平民でもない中途半端な存在だった。
貧乏ではあったが家族仲は良く、それなりに常識的で善良な両親に育てられた。
兄弟は姉が二人と兄が一人。
長姉は体が弱く、嫁いだ先ですぐ亡くなってしまった。
兄は逆に頑丈だったので、さっさと自ら兵に取り立てられていった。
二人とも一緒に居た期間が短く、余り覚えていない。
逆に二女の小姉はとても長く私の面倒を見てくれた。
貧乏であったため、名ばかりの貴族は野良仕事をせざるを得なかったため、私は小姉にべったりだった。
小姉は器量も良く両親は密に期待を寄せていた。
貴族にとって良い嫁ぎ先が見つかればそれは一族の安泰へとつながるため、愛の有無など関係ない。
しかし小姉には思い人が居たし、両親と私は二人の仲を祝福していた。
大好きな姉が、声を大にして大好きだと言ってはばからない男性だったのだから。
彼はうちと同じような貧乏貴族の次男坊だったが、とても優しい人で私は大好きだった。
しかしそんな幸せな我ら一家を暗闇に突き落とす出来事があった。
熊の如き力強き貴族、猛熊伯。
まだ若く強靭な肉体を持ったその男は、猛勇で手に入れた領地の広大たるや小国家並み。
姉はそんな男の目に留まってしまった。
両親は必死に猛熊伯に考え直してもらえるよう説得していたようだが、効果は無く・・・。
むしろ脅迫めいた言葉を受け、真っ青になって帰って来た。
結局、家も名声も何もかもが遥かに上の猛熊伯は、小姉を攫うかのように娶っていってしまった。
この時私は7歳だった。
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それから3年経ったが、我が家を覆う暗闇はこのまま晴れることは無かった。
小姉は、何かしら理由をつけられ離縁されてしまったからだ。
猛熊伯曰く「命があるだけましと思え」。
帰って来た小姉は別人のようにやつれ切っていた。
その変わりように私達は憤っていいやら嘆いていいやらで、訳が分からなくなってしまった。
その後小姉は塞ぎ込んで閉じ籠ってしまった。
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小姉が帰ってきてから毎日のように小姉を訪れた人物がいる。
小姉が大好きだった例の思い人だ。
彼のお陰で徐々に心を開いた小姉は、やがて部屋の外に、家の外に出てこれるようになった。
そして二年後、二人は ―ようやく― 結ばれた。
二人の婚姻は、それまで暗闇の中にあった私達にとってようやく訪れた良いニュースだった。
父は爵位を婿に譲り、隠居 ―と言っても今まで通りの生活に戻っただけだが― し、この頃私は魔法学院幼年部に入学したのだった。
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それから15年かけて魔術師の技を修め、そのまま魔法学院に研究者兼講師として就くことが決まった。
そのため一度里帰りをしていたのだが・・・。
2か3まであります。




