C6.5 足場固め ― 5 ― シャドウナイト
現在謁見の間に全ての眷属・協力者の代表格を集めている。
勿論先日庇護下に置いた東の妖精女王もだ。
「我々外部の協力者まで集めてどの様なご用件なのでしょうか?」
黒のエルフ長が慇懃な態度で、そして皆の疑問を代表して私に問う。
「新たな眷属を紹介しようと思ってな。
その性質上、お前達は知る必要があると思ったのだ。
・・・シャドウナイト。」
私の呼びかけに音もなく影より姿を現す騎士。
皆が注目する中、二人程が他とは違う視線をシャドウナイトに向ける。
デスロードと偽メイドの闇エルフ長だ。
デスロードは強い視線を、闇エルフ長は最初好奇の目で、次いで驚愕の目でシャドウナイトを見つめる。
「あの・・・よろしいでしょうか?」
新たに庇護下に入った妖精女王がおずおずと手を上げる。
「どうした?」
「私の能力不足なのかもしれませんが、その新たな眷属という方のマナを感じることが出来ません。」
「君の能力の程度はともかく、僕から見ても非常に異質に見えてるんだよねぇ?」
妖精女王は口を挟んだ闇エルフ長を苦々しく見るが、偽メイドは全く気にせずむしろ苛立ちを隠さず言葉を続ける。
「まさかとは思うけど・・・そいつ、君のマナで生きてるのかぃ?」
「その通りだ。
こいつは私のマナの及ぶ範囲ならどこでも存在できる。
当然私が死ねばこいつも死ぬ。」
「一心同体じゃないのさー!何それずるいぞお!」
・・・ある意味ぶれない偽メイドに頭を抱えそうになるが、ぐっとこらえ
「・・・こいつが一方的に私に依存しているだけだ。」
一応言葉を選んでは見たが、それでも不服そうにシャドウナイトを睨み続ける。
「では主、その者の実力の程は?」
「・・・ふむ、そうだな。
模擬戦をやりたいものが居れば相手させよう。」
「では俺が。」
半巨人の巨躯を持つミノタウロス兄が身を乗り出す。
近接戦闘では最強格の名乗りに、他の者達は身を引く形となった。
・・・
・・
・
「・・・ふむ、こんなものか。」
シャドウナイトのマナを、ミノタウロス兄と同等に揃えてやり、いざ勝負が始まった。
流石に城の中でやるのは無理があるから外で、だが。
「ぶるるうぉおおおうおおおお!」
その巨躯より更に巨大な戦斧を軽々と扱い、縦横無尽に斬撃を放つ。
その凄まじい猛攻ぶりに、デスロードと偽メイドを除いた一同が青ざめていく。
「あ、あ、あれが魔王殿の側近の一人ですか?」
「ええ、私も初めて戦う所を見ましたが凄まじいですね。
貴方は弟はいえ、よくあの方に殺されませんでしたな。」
「フシュッ!?・・・手心加えられたに違いないでシュルル。」
「私・・・良く生きて・・・。」
何やら手を組んで天を仰ぐ妖精女王。
そんな場外のやり取りを尻目に模擬戦は終わりを迎える。
「ぶるううるうおおお!逃げるばかりでは勝負はつかんぞ!
かかって・・・!」
そこでミノタウロス兄の動きがピタリと止まる。
その理由は首元に剣を這わせる形で、シャドウナイトが背後を取ったからだ。
「・・・俺の負けだ。」
切られる直前に影の中に飛び込み、ミノタウロス兄の影から背後を回った。
その脅威を皆は感じ取ったはずだ。




