C5.24 勢力拡大 ― 24 ― 魔王と手紙とこれからのこと
―私の送った手紙
拝啓、お師匠様、毎日いかがお過ごしでしょうか?
先日、自身を末席に連なるものと謙られてはいるものの、古竜の元魔王殿に会いました。
敬具
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「ほほ・・・古竜か・・・羨ましいのぉ。」
長い髭を蓄えた好々爺は、手紙を喜ぶやら羨むやら一人身悶えていた。
「例のお弟子さんかね?」
「ええ、ええ、そうですよ。」
問いかけられた魔王の師は、以前と同じようにニコリと微笑みながらそう返す。
「何でも古竜と出会ったそうですよ、元魔王だとか。」
「ほお・・・それはまた珍しい存在ですな。」
「ええ、ええ、あの子はいつも驚かせてくれる。
私もこうやって旅を始めたのも、あの子の影響でしたから。」
「学び舎を捨ててまで?」
「ええ、ええ。
あそこには私の居場所は殆どありませんでしたから。
私の弟子達はあの子程には私の探求に興味を持っていませんでしたし。
あの子の独立は私の新たな旅立ちのきっかけになったのです。」
「慕われていたでしょうに。」
「そう・・・でしょうか。
私はただ避難所になっていただけなんじゃないかと思います。」
「避難所ですか。」
「私は弟子達にこうしなさいああしなさいとは言いませんでした。
彼らの話を聞くばかりで・・・。
あの子だけが何も言わず、何も聞かず、ただ私のやる事を興味深げに見続けていたのです。」
「愛弟子ですか。」
「ええ、ええ、皆そうなのですが、愛弟子で直弟子なのはあの子一人でした。
さぁ、さぁ、返事を書きませんとな。」
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―師匠からの返事
やあやあ、古竜で元魔王殿に会ったんだって?
それで?会っただけ?話は?どんな方だった?
君はいつも報告だけしかしてくれないから、その詳しい内容にとても興味があるのだよ。
私も君を驚かせるために旅をしているのだけど、何一つ君を驚かせれそうなものがない。
それでもいつか君をあっと言わせたいと思っているよ。
そうそう、マナの研究はどうなっているかな?
君の研究成果を心待ちにしているよ。
―君の良き友人より
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いつもながら直ぐ返事を返してくれるお師様・・・。
次はどんな手紙を送れるだろう?
それにしてもマナの研究か。
「そうだったな・・・マナの研究は私のルーツだ。」
一刻も早く再開せねばならない。
配下は徐々に増えつつある。
そろそろこの一帯の支配を、確実なものにしても良い頃だろう。
その時、改めて魔王であることを皆の前で宣言しよう。
そうなったら次は私を狙いに来るものも増えるだろう。
そのための布石は打っておいた。
「なあ、シャドウナイト。」
私の傍で片膝をつく、新たな眷属シャドウナイト。
今回、この眷族を作り出すのにイモータルズのリンクを参考に調整した。
そのため、こいつへの指示等は頭の中で全て済ませることが出来る。
「頼りにしているよ、シャドウナイト。」
口に出す必要は無いとしても、語りかけるのは自由だろう?
そして私はこの時を境に、マナの研究を再開したのだった。




