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C5.16 勢力拡大 ― 16 ― 差し出されたモノ

「話し合った結果、見目の良い娘達を貴方に差し出すことにした。」


「・・・はぁ?」


おいおい、どこの世界の話だ。

そう言えば犬猫混成部隊と話を詰めさせていたのだったな・・・。

これは私が魔王だと聞いているからか?


「・・・断る。

 私は命を喰らう魔王ではない。」


「その場合、この者達は貢物としての役割を果たせない。

 かと言って差し出したと言う確固たる意思を表示したいとなれば、命を絶って貴方だけのものである事を示す必要がある。」


「ちょ、ちょっと待て!」


何?何なの!?その短絡思考!!


そこに並べられた娘達は何も言わずに懐刀を手にしている。

・・・族長の娘もいるのか。

ええい、ややこしい!


「命の貢物は拒否する。」


「ではこの場にて命を絶ち、改めて貢物とさせて頂く。」


この問答の繰り返しが続く。


・・・

・・


結局私が折れて、それでも10人もの連れは要らんと突っぱねて2人。

族長の娘の狼獣人と、牛の獣人の娘だ。


「扱いは貴方にお任せします。

 妾でも部下への褒美でもなんでも。」


「お前は村人の、いや個人の、娘達の尊厳を守ってやる責任は持ち合わせて無いのか?」


「もとより無かったはずの命、下手をすれば辱めを受け売り飛ばされていたやも知れない命に、尊厳の有無を語る権利がありましょうや?」


うん、お前、おかしい。


こうして押し切られる形で貢物を受け取り、さっさと村を後にするのだった。

あのまま居たら何を更に押し付けられるか分かったものじゃない。


「・・・デスロード。」


「はい、主。」


「骨達はどうした?」


「埋めたままにしております。」


「・・・この村に危機が訪れた時、」


「ええ、自動で動き出すように命令を与えておりますよ。」


「・・・相変わらずだな。」


「主の参謀でありますから。」


ここの獣人達は眷属とは違うが、それでも配下の身内と言えなくは無い。

彼女達の身分をどうするかは不明だが、基本的にはメイドだろうな。

・・・なんでメイドばかり増えるんだ。


「ああ、そうそう貴方達、我が主の前で人の形体を取っておられますが獣人の姿におなりなさい。」


いきなり何を言い出すんだこいつは?

と獣人達も思ってはいたようだが、実際に救ったのはデスロードの手腕であるので、その言葉に従う。

・・・すると、


 ザザザザザアァァ!


一斉に獣人達は両腕を差し出す例のポーズを取って見せた。

何事?と思っていると、


「おうお、うお、恐れもし、知らず、ふ、不遜な態度を・・・」


族長からして呂律が回っていない。

デスロードに顎をしゃくると、


「彼らは正確には魔族ではありませんが、獣人形体になれば多少なりとも魔族に近付き、そのマナの感知する能力が飛躍的に伸びます。」


成程な・・・それで私の魔王の器を感じ取ったと言う事か。


もっと早くやっとけ。


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